嚢胞性線維症
嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう、Cystic Fibrosis・CF) は、常染色体劣性遺伝性疾患であり、CFTR(CF Transmembrane Conductance Regulator)遺伝子の変異に起因します。CFTRが肺で機能しなくなると、分泌物が濃くなり、適切に排泄・除去できなくなります。その結果、細菌が蓄積し、最終的には気管支拡張症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、さらには呼吸不全に至ります。
嚢胞性線維症の研究は多岐にわたり進展しています。CFTRタンパク質を標的とする治療、遺伝子治療、幹細胞研究、抗生物質と抗炎症薬の開発、粘液の特性を改善する治療、栄養管理と消化酵素補充、患者支援技術などの多くの分野で研究が進んでおり、これらの研究が生活の質を向上させ、将来的には完全な治療法の確立が期待されています。
この分野の実験的研究は、疾患の発現と進行に関連する基礎的な病態生理学的メカニズムに関する知識を深めるとともに、治療的介入と疾患の早期発見という課題に取り組むことを目的としています。
嚢胞性線維症の研究には、様々な先端技術や装置が使用されており、遺伝子解析装置、細胞培養装置、呼吸機能検査装置、生化学分析装置、動物モデル装置、薬物投与システムなどが研究に活用されています。
flexiVent
関連性があり、トランスレーショナルで再現性のある結果
嚢胞性線維化肺に形成される肥厚した粘液の蓄積の結果、気道が閉塞し、肺機能が阻害されます。また、粘液斑や粘液栓による気流閉塞が進行し、一般的に感染や炎症を引き起こします。
ヒトの場合、CFは通常、発汗検査、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、肺機能検査で診断されます。flexiVent(フレキシベント)システムは、マイクロCTスキャナーと同期し、呼吸メカニクスの静的・動的測定が可能で、特定の肺容積や肺流量の情報を取得できるため、前臨床レベルでCFを調査するのに非常に有益なツールです。一例として、感度の高い圧容積曲線を用いて 得られた静的コンプライアンスの変化により、疾患の重症度や治療効果を区別することができました。
flexiVentは、静的コンプライアンスや組織力学など、CFに関連する主要な肺パラメータを測定するだけでなく、気流(FEV)や肺活量(FVC)など、嚢胞性線維症の結果としての肺リモデリングの進行の鋭敏な指標となり、臨床的に応用可能な呼気測定を研究する能力を備えています。
論文
TissueBath・オーガン灌流システム
追加の洞察
肺実質は、気道平滑筋と同様に収縮特性を有しており、単離した組織浴を用いてin vitroで研究することも可能です。CFでは、粘液栓やプラークの蓄積が、肺実質の収縮性を変化させる可能性があります。病態生理学的メカニズムの解明、前臨床疾患モデルの特性評価、潜在的治療の有効性評価において、外部からの影響を受けない状態でこの組織を研究することで、さらなる知見を得ることができます。収縮剤に応答して、線維化モデルの肺実質では、対応する対照群と比較して収縮性の増加が一貫して観察されています。
また、CFTRが気道平滑筋に直接関与していることを示す証拠も増えています。単離された気管リングまたはストリップの反応性を、組織浴中で生体外で測定することにより、外部からの影響がない状態での機能評価が可能になります。 このアプローチは、ヒト気道平滑筋に対するCFTR機能の影響を研究し、気管支弛緩におけるCFTRの役割を確認するために行われました。
論文
emka TECHNOLOGIES社は、1992年にフランスで設立され、当初は、アイソレーテッドオーガンバスやランゲンドルフ灌流装置を開発、製造しており、2000年には非侵襲性のテレメトリーをリリース、2014年には、SCIREQ社(カナダ)をグループに入れることにより、呼吸器研究用機器を製品ポートフォリオに加え、幅広い分野の機器を、世界の研究者の方々に提供しています。
オレンジサイエンスはemka TECHNOLOGIESの日本総代理店です。日本では唯一emka TECHNOLOGIES社と取引できる窓口となっております。日本国内で展開される様々な研究プロジェクトを支え、研究者の皆様がより効果的かつ効率的に研究を進められるよう、迅速で専門的なサポートを提供しています。
主な製品
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マウス・ラット用テレメトリー
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ジャケットテレメトリー
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オーガンバス
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ランゲンドルフ
主な製品
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マウス・ラット肺機能測定装置
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マウス・ラット呼吸測定装置
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吸入暴露装置
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細胞暴露装置