ライトシート顕微鏡
オレンジサイエンスは、ライフサイエンスの中でも細胞生物学分野に関する研究機器に特化して販売およびサポートをしている会社です。このページでは、ライトシート顕微鏡とはどんな研究機器かをご説明します。
ライトシート顕微鏡とは
ライトシート顕微鏡(Light Sheet Microscopy)とは、生物学や生命科学の研究に使用される顕微鏡の一種です。ライトシート顕微鏡は、サンプルを照明する光と観察する光を分離させ、サンプルへの光の曝露を最小限に抑えながら高解像度の画像を取得するために設計されています。ライトシート顕微鏡は、特に生きた生物試料を非侵襲的に観察するために有用です。

ライトシート顕微鏡の特徴とメリット
ライトシート顕微鏡は生命科学や生物学の研究において多くのメリットを有し、特に発生生物学、神経科学、細胞生物学などの分野で広く利用されています。ライトシート顕微鏡の特徴と他顕微鏡と比較した際のメリットをご紹介します。
非侵襲的な観察
ライトシート顕微鏡はサンプルへの光曝露を最小限に抑えるため、生きた生物試料を非侵襲的に観察できます。これは、長時間の観察や生物学的プロセスのリアルタイム観察に適しています。
3Dイメージング
ライトシート顕微鏡は、サンプル全体を連続的にスキャンし、高解像度の3D画像を取得できます。これにより、サンプルの立体構造や形態、プロセスを詳細に調査できます。
高速撮影
多くのライトシート顕微鏡は高速撮影が可能で、高速で動く生物学的プロセスを捉えるのに適しています。たとえば、細胞分裂や神経細胞のシナプスの動態を観察する際に役立ちます。
光学的セクショニング
ライトシート顕微鏡は、サンプルの特定の断面に焦点を当て、他の断面をぼかすことなく観察できます。これにより、深いサンプル内の特定の領域を精密に観察できます。
低光毒性
通常の蛍光顕微鏡と比較して、ライトシート顕微鏡は生体試料に対する光毒性を低減させます。これは生きた細胞や組織にとって重要で、長時間の観察や細胞の健康保持、3D画像の取得に適しています。
プロセスのリアルタイム観察
ライトシート顕微鏡は、生物学的プロセスをリアルタイムで追跡するために使用できます。例えば、胚発生や細胞分裂の過程を観察するのに適しています。
サンプルの柔軟性
ライトシート顕微鏡は、微生物、細胞、組織、生物、植物、オルガノイド、脳など、微細な細胞から大きな生物組織まで、さまざまなサイズと種類のサンプルに適応できます。また、透明なサンプルや蛍光染色されたサンプルを観察するのにも適しています。
高感度な検出
ライトシート顕微鏡は高感度の検出器を使用し、微弱な蛍光シグナルを捉えることができます。これは、蛍光イメージングに特に適しています。

ライトシート顕微鏡の原理
ライトシート顕微鏡は、サンプルに平行な薄い光シートを使って観察対象を照明し、その光を別の角度から検出しています。
光シートの生成
ライトシート顕微鏡では、光源から発せられた光を特別な光学要素(通常はレンズやスリット)を使用して平行な光シートに整形します。この光シートは、サンプルに平行に配置されます。
サンプルと光シートの交差
サンプルはこの光シートの中に配置されます。光シートは通常サンプルを照明するために使用される唯一の光源であり、他の視野は暗い状態に保たれます。これにより、サンプルへの光曝露が最小限に抑えられます。
検出光路
サンプルを照明する光シートを通過した後、別の角度からの光路によって検出されます。この光路には、別のレンズと光検出器(通常はCMOSカメラやCCDカメラ)が含まれます。この光路は通常、サンプルの垂直方向に取り付けられます。
2Dまたは3Dイメージの生成
サンプルは光シート内でスキャンされ、検出光路によって取り込まれます。このプロセスを繰り返すことで、サンプルの2Dまたは3D画像が生成されます。ステップごとに2Dスライスを取得し、これらを積み重ねて3Dデータを構築することができます。
この原理により、ライトシート顕微鏡は非侵襲的で高速かつ高解像度の3Dイメージングを実現できます。光シートの使用により、サンプルへの光曝露が最小限に抑えられ、生きた生物や感光性の試料の観察に特に適しています。また、光学的セクショニング(サンプルの特定の断面に焦点を当てること)も可能で、サンプル内の特定の領域を詳細に調査できます。