MEA(マイクロエレクトロードアレイ)測定のための切片の切り出し
MEA(マイクロエレクトロードアレイ)とは
MEA(Micro-Electrode Array、マイクロエレクトロードアレイ)とは、「微小電極アレイ」とも呼ばれる多数の微小電極が格子状に配置されたデバイスで、生体細胞の電気的活動を非侵襲的にかつ同時多点で記録・刺激するためのツールです。主に神経細胞や心筋細胞の研究に用いられます。
MEAの主な用途
神経科学
神経スパイクの検出、神経回路の解析、シナプス伝達の研究
心臓研究
心筋細胞の収縮リズム、QT延長試験、安全性薬理試験
幹細胞研究
iPS細胞由来の神経・心筋細胞の機能評価
薬理学
薬剤による細胞活動への影響の解析(薬効・毒性評価)
生理学
組織スライス(脳、網膜など)の電気的応答の記録
MEAの利点
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非侵襲的:細胞を傷つけずに長時間観察が可能。
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多点同時計測:数十~数百の電極で、空間的に広がる活動を同時に捉えられる。
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長期間の観察が可能:細胞培養と併用して、発達や可塑性の研究に適している。
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高い時間分解能:ミリ秒単位の高速な電気活動も捉えられる。
MEAシステムのアプリケーション例
MEA(Micro-Electrode Array)システムは、多点電極で細胞外電位をリアルタイムに計測・刺激できる強力なツールであり、さまざまな生命科学・医薬・工学分野で活用されています。以下に、代表的なアプリケーション例を分野別に紹介します。
1. 神経科学(Neuroscience)
神経スパイク・ネットワーク解析
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例:神経細胞培養や脳スライスを用いて、活動電位(スパイク)やバースト発火のパターンを記録。
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用途:神経回路網の発達、可塑性、同期性の研究。
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モデル:てんかん、発達障害、アルツハイマー病モデルの評価。
薬理作用の評価
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例:興奮性や抑制性伝達の薬剤(NMDA、GABA作動薬など)による神経活動の変化を評価。
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用途:薬効・毒性・神経過敏性のスクリーニング。
2. 心臓電気生理(Cardiac Electrophysiology)
心筋細胞の電気活動記録
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例:ヒトiPS細胞由来心筋細胞をMEA上で培養し、拍動リズムや電位波形を記録。
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測定指標:拍動頻度、拍動間隔、伝導速度、Field Potential Duration(FPD)など。
安全性薬理試験
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例:QT延長作用を持つ薬剤のス クリーニング(ICH S7Bガイドライン対応)。
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用途:心毒性(Cardiotoxicity)の予測、ハイコンテントな薬剤評価。
3. 幹細胞・再生医療研究
iPS/ES細胞由来神経・心筋細胞の評価
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例:機能的成熟度の確認、分化後の電気活動の有無や特徴をモニタリング。
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用途:細胞品質管理、疾患モデル構築、患者由来細胞の表現型スクリーニング。
4. 薬剤スクリーニング(Drug Screening)
ハイスループットMEAでの試験
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例:多ウェルプレート形式で多数の細胞サンプルを同時に評価。
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用途:
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薬剤の電気生理的作用のスクリーニング。
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有害事象(神経毒性・心毒性)予測。
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