細胞・組織における「伸展」を再現するメカノバイオロジー研究
- 5月20日
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伸展刺激とは?
細胞や組織は、体内で常に「伸展(Stretch)」や圧縮、せん断応力などの力学刺激を受けています。特に血管、心筋、肺、腱、骨格筋などの組織では、周期的な伸展刺激が細胞機能や遺伝子発現、分化、炎症応答に大きな影響を与えることが知られています。
近年では、このような物理刺激を培養環境下で再現する「メカノバイオロジー(Mechanobiology)」研究が加速しており、細胞伸展システムを用いた研究ニーズが高まっています。
伸展刺激が重要な研究分野
心血管研究
血管内皮細胞や心筋細胞は、拍動による周期的な伸展刺激を常に受けています。そのため、心肥大、血管リモデリング、高血圧、動脈硬化などの研究では、伸展刺激を再現した培養系が重要です。
筋肉・腱・靭帯研究
骨格筋や腱細胞は、運動や負荷によって機械的な伸展を受けています。筋萎縮、再生医療、スポーツ医学、組織工学などの研究でも伸展刺激モデルが活用されています。
肺・呼吸器研究
肺胞細胞は呼吸に伴い周期的に伸展しています。そのため、人工呼吸器関連肺障害(VILI)や肺線維症研究においても、細胞伸展システムが利用されています。
幹細胞・再生医療
細胞は「どの程度引っ張られるか」によって分化方向が変化することがあります。伸展刺激は、幹細胞分化や組織形成、細胞配向制御にも重要です。
なぜ通常培養では不十分なのか
一般的な細胞培養は静的環境です。しかし、生体内では細胞は常に動的な力学刺激を受けています。
そのため、通常培養のみでは以下の再現が困難です。
生理的な細胞応答
力学刺激による遺伝子発現変化
メカノトランスダクション(mechanotransduction)
細胞配向性
ストレスファイバー形成
力学依存シグナル伝達
STREXの細胞伸展システムは、この「生体内に近い力学環境」をin vitroで再現可能です。
メカノトランスダクション研究と伸展刺激
細胞は単に引っ張られるだけではありません。力学刺激を「生化学シグナル」に変換しています。
この現象は「メカノトランスダクション(Mechanotransduction)」と呼ばれています。
伸展刺激によって、
イオンチャネル活性化
細胞骨格再構築
接着分子変化
遺伝子発現変化
分化誘導
炎症応答
などが引き起こされます。
特に近年では、Piezoチャネルなどの機械刺激応答分子研究も活発化しています。
STREX 細胞伸展システムとは

STREXの細胞伸展システムは、培養細胞へ伸展刺激を付与するための研究装置です。
細胞を培養したシリコーンチャンバーを伸展させることで、生体内に近い力学刺激環境を再現します。
STREX 細胞伸展システムの特長
周期的な伸展刺激を再現
拍動や呼吸のような周期的伸展刺激を再現可能です。
一軸・二軸伸展に対応
研究内容に応じて、一軸伸展・二軸伸展を選択できます。
生細胞観察に対応
顕微鏡観察と組み合わせたライブセルイメージングにも対応可能です。
多様な細胞種に対応
心筋細胞
血管内皮細胞
線維芽細胞
平滑筋細胞
骨細胞
幹細胞
など幅広い細胞研究で利用されています。
伸展刺激を活用した研究例
心筋細胞の拍動模倣
周期的伸展による心筋応答解析
血管内皮細胞の力学応答
高血圧・血流変化モデル研究
幹細胞分化制御
力学刺激による細胞運命決定研究
細胞配向解析
伸展方向への細胞アライメント解析
がん研究
腫瘍微小環境における力学刺激評価
伸展刺激研究で注目される評価項目
細胞形態変化
細胞配向
増殖率
遺伝子発現
タンパク質発現
カルシウム応答
ストレスファイバー形成
focal adhesion解析
YAP/TAZシグナル
Piezoチャネル応答
STREXシステムが活用される研究分野
メカノバイオロジー
再生医療
組織工学
循環器研究
整形外科研究
呼吸器研究
幹細胞研究
創薬研究
がん研究
伸展刺激研究の今後
近年では、細胞は「化学刺激」だけでなく、「力学刺激」によっても運命が決まることが明らかになってきています。
そのため、今後の創薬・再生医療・疾患研究では、より生体環境に近い「動的培養モデル」の重要性がさらに高まると考えられます。
STREXの細胞伸展システムは、その中核となるメカノバイオロジー研究ツールとして、多くの研究分野で利用されています。
よくあるご質問(FAQ)
伸展刺激とは何ですか?
細胞や組織に対して「引っ張る力」を加える物理刺激です。血管、筋肉、肺などでは、生体内で常に伸展刺激が発生しています。
メカノバイオロジーとは何ですか?
細胞が力学刺激をどのように感知し応答するかを研究する分野です。
一軸伸展と二軸伸展の違いは?
一軸伸展は1方向への伸展、二軸伸展は全方向への伸展を指します。研究対象組織によって適切なモデルが異なります。
どのような細胞で利用できますか?
心筋細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、幹細胞など幅広く利用されています。
ライブセルイメージングは可能ですか?
はい。STREXシステムは顕微鏡観察と組み合わせた実験にも対応しています。
なぜ伸展刺激が重要なのですか?
通常の静的培養では、生体内で細胞が受けている力学刺激を再現できないためです。伸展刺激を加えることで、より生理的に近い細胞応答を観察できます。
オレンジサイエンスが取り扱うその他の製品
オレンジサイエンスでは、伸展刺激装置・圧縮刺激装置を取り扱っております。ご不明点や取り扱い装置に関する詳細など、お気軽にお問い合わせください。
CellScale/セルスケール社
Mechano Cultureシリーズの機械的刺激培養装置はモデルにより、360度伸展、シリコンチャンバー伸展、マテリアル伸展、流体圧縮、機械的圧縮+データ測定、マテリアル伸展+データ測定が可能です。

STREX/ストレックス社
独自のシリコンチャンバーを伸展させることにより、チャンバー上の細胞に伸展刺激を与えることが可能です。顕微鏡搭載モデルは、倒立顕微鏡での伸展細胞の観察も可能です。

IonOptix/イオンオプティクス社
C-Stretchシステムはシリコンチャンバーを採用した伸展培養装置です。C-Pace EMシステムと使用することにより、伸展刺激と同時に、電気刺激を与えることも可能です。





