加圧細胞刺激培養チャンバー装置とは
加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、細胞や組織の培養において、物理的な圧力を加えたり、特定の環境条件を制御したりするための装置です。このような装置は、細胞に対する圧力刺激がどのように影響を与えるかを研究するために使われます。
具体的には、加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、以下のような特徴を持っています。
圧力制御
装置は、細胞や組織に一定の圧力を加えることができ、圧力の強さやパターンを制御することが可能です。これにより、圧力刺激が細胞の成長や機能に与える影響を研究することができます。
酸素や二酸化炭素のレベル調整
一部の装置では、培養環境内の酸素や二酸化炭素のレベルを制御することができます。これは、細胞の生理学的反応を研究する際に役立ちます。
多目的な刺激
圧力以外にも、振動や引っ張りなどの他の物理的な刺激を加えること ができる装置もあります。これにより、様々なタイプの物理的刺激が細胞に与える影響を研究できます。
加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、細胞生物学、再生医療、組織工学、バイオメカニクスなど、さまざまな分野で使用され、細胞の応答メカニズムを解明するために活用されています。
加圧細胞刺激培養チャンバー装置の応用例やアプリケーション例
加圧細胞刺激培養チャンバー装置のアプリケーション例や応用例には、様々な分野での研究や開発に関わるものがあります。以下にいくつかの例を挙げてみます。
再生医療
加圧細胞刺激培養は、再生医療において組織の成長や機能の向上を目指す際に用いられます。圧力刺激によって、骨や軟骨、腱、靭帯などの組織の成長を促進することができるため、骨折治療や軟骨損傷の修復に役立ちます。
バイオメカニクス
加圧細胞刺激培養は、組織にかかる力や応力の影響を研究するためにも使われます。例えば、骨や筋肉がどのように応力に適応するかを理解するために、圧力をかけた培養環境で細胞を育てることがあります。これにより、運動学習やリハビリテーションの改善に役立つ情報を得ることができます。
組織工学
組織工学では、バイオエンジニアリングによって人工組織や人工臓器を作り出す際に、加圧細胞刺激培養が使われます。圧力を加えることで、細胞が特定の組織特性を持つように誘導できるため、骨や筋肉、血管などの組織の形成に役立ちます。
血管生物学
加圧細胞刺激培養は、血管生物学の研究にも活用されます。血管内壁に圧力をかけることで、血管細胞の応答を研究し、動脈硬化などの血管疾患の理解を深めることができます。
皮膚科学
圧力刺激が皮膚細胞に与える影響を研究するため にも、加圧細胞刺激培養が利用されます。例えば、圧力による皮膚の損傷や圧力による皮膚の再生能力などを調べるためです。
以上のように、加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、様々な分野での研究と応用に役立っています。これらの応用例は、医学、バイオメカニクス、組織工学などの分野での新たな発見や技術開発を促進する重要な役割を果たしています。
加圧細胞刺激培養チャンバー装置を使用する目的やメリット
加圧細胞刺激培養チャンバー装置を使用する目的とメリットには、さまざまな科学的および工学的な目標が含まれます。これらは、細胞や組織の生理学的特性を理解し、さまざまな状況での細胞の挙動を研究するために重要です。
目的
物理的刺激の影響の研究
圧力、引っ張り、圧縮、振動などの物理的刺激が細胞や組織にどのような影響を与えるかを調査するために使用されます。これは、バイオメカニクスや組織工学の研究で特に重要です。
特定の組織の環境再現
血管、骨、軟骨、筋肉など、特定の組織の環境を再現し、細胞がどのように反応するかを研究するために使われます。これにより、臨床アプリケーションの開発に役立ちます。
薬物試験
圧力などの条件を変えることで、薬物が細胞や組織にどのような影響を与えるかをテストできます。これは、薬物開発や薬物反応の予測に役立ちます。
メリット
リアルな条件のシミュレーション
加圧細胞刺激培養チャンバー装置を使用することで、体内のリアルな条件をシミュレーションできます 。これにより、細胞が体内でどのように反応するかをより正確に予測できます。
再生医療への応用
圧力を加えることによって、組織や臓器の成長を促進できるため、再生医療に役立ちます。特に、骨や軟骨、腱、靭帯などの組織の再生に効果的です。
バイオメカニクスの理解
圧力や他の物理的な刺激が骨や筋肉、血管などの組織に与える影響を研究することで、バイオメカニクスの理解が深まります。これにより、リハビリテーションや運動療法の改善につながる可能性があります。
多様な刺激に対応可能
加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、圧力だけでなく、他の物理的な刺激にも対応できるため、幅広い研究に利用できます。圧力、引っ張り、振動、剪断など、さまざまな刺激を細胞に与えることが可能です。
これらの目的とメリットにより、加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、バイオメカニクス、組織工学、再生医療などの多くの分野で不可欠なツールとなっています。
STREX(ストレックス)加圧細胞刺激培養チャンバー装置
生体内の組織・細胞は、常時メカニカルストレス(力学的刺激)を受けています。これに対し、通常の静的培養系(in vitro)ではこのような刺激は存在せず、生体内細胞とは多くの点で異なっています。
血管内皮細胞・心臓内皮細胞・腎臓細胞・網膜神経細胞等を生体内と同等の環境で培養するには、ガス圧力負荷による力学的刺激が重要です。
STREX SP-1000 加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、メカニカルストレス感知機構、細胞内シグナル伝達、タンパク質発現、再生医療等の研究に最適です。
加圧細胞刺激培養チャンバー装置
STREX社の加圧細胞刺激培養チャンバー装置は、専用耐圧チャンバーとコントローラーから成るシステムです。
コントローラーを通して、インキュベーター内のエアーをチャンバー内に置換し、その後、コントローラーで設定した圧で、チャンバー内を加圧します。一定の加圧だけでなく、サイクリックに加圧することも可能です。
別売りのステンレスチャンバーを使用することにより、より高い圧力での刺激も可能です。
別売りのステンレスチャンバーを使用することにより、より高い圧力での刺激も可能です。
加圧細胞刺激培養チャンバー装置 - 紹介動画
加圧細胞刺激培養チャンバー装置の特徴
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システム構成:圧力チャンバー、コントローラー
※ 本装置を使用するためにはCO2 5%+Air95%ブレンドガスボンベが必要な場合があります。 -
1ch仕様と2ch仕様があります。(右上写真は2ch仕様)
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120~300mmHgの圧力範囲で、2種圧力値設定し加減圧できます。
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連続加圧モード、加圧・減圧繰り返しモードがあります。
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CO2インキュベータ内に設置して、長期間の加圧培養が可能です。
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連続加圧モード時に自動ガス交換を行います。
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圧力パターンのプログラムの書き換えにより、希望の圧力パターンが製作可能です。(別途費用)
顕微鏡モデル SP-1010
ガス加圧刺激培養時に顕微鏡で観察ができる1チャンバーモデルです。使い方は SP-1000 とほぼ同じです。加圧チャンバーの代わりに、このチャンバーにチューブを接続し て使用します。
使用論文
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Nagamatsu, G., Shimamoto, S., Hamazaki, N., Nishimura, Y., & Hayashi, K. (2019). Mechanical stress accompanied with nuclear rotation is involved in the dormant state of mouse oocytes. Science Advances, 5(6), eaav9960.
関連製品
高圧刺激装置 メカノカルチャーTR
より高い圧力刺激を加えたい場合は、メカノカルチャーTR(MCTR)が最適です。メカノカルチャーTRは、9つの個別ウェルに収容された検体に対して、静水圧を用いた圧迫を行うことができるハイスループットの静水圧圧縮刺激装置です。最大500kPaという非常に高い圧力をプログラムすることが可能で、圧力レベルを微細に調整しながら多様な実験に対応します。透明な培養ウェルを採用しているため、実験開始前に検体が正しくセットされているかどうかを目視で簡単に確認できるだけでなく、実験中にリアルタイムでの観察や画像化も行えます。これにより、試験中の検体の状態を常に把握することができ、データの精度が向上します。さらに、検体チャンバープレートは滅菌処理が可能で、長期的な細胞培養にも対応しているため、インキュベーター内での使用にも適しています。このため、再現性の高いデータ取得と、細胞や組織に対する圧力刺激の効果を精密に評価するための信頼性の高い装置として、多くの研究分野で利用されています。
特徴
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最大9ウェルまでの静水圧圧縮刺激
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0.5Hzで500kPaまでの圧力制御負荷
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シンプル、周期的、断続的な刺激プロトコルを指定し、装置コントローラにアップロードするためのユーザーフレンドリーなインターフェースソフトウェア
刺激プロトコル
メカノカルチャーTRは、等速あるいは正弦波の圧縮パターンをプログラムすることができます。マグニチュード、周波数、休止時間、サイクルカウントはすべてソフトウェアアプリケーションで指定し、装置にプログラムすることができます。
Preload, Stretch, Hold, Recover, Restの5フェーズで1サイクルとなり、それぞれのフェーズを秒単位で設定することが可能です。