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マウス用血圧デジタルテレメトリー

  • Orange Science
  • 24 時間前
  • 読了時間: 12分

マウス用血圧デジタルテレメトリーとは


マウス用血圧デジタルテレメトリーとは

マウス用血圧デジタルテレメトリーとは、マウスの動脈血圧や心拍などの生体信号を、無拘束・非ストレス状態で長時間かつ連続的に記録するための無線計測システムのことです。動物の体内に小型の送信機(テレメータ)を留置し、そこから得られるアナログ信号をデジタル形式で送信・収集する仕組みになっています。


特徴

  1. 生理的に自然な状態で測定できる 拘束や尾カフ測定と異なり、ストレスや動きによる影響が少ない。

  2. 連続かつ高精度の動脈血圧測定が可能 典型的には大動脈や頸動脈にカテーテルを留置し、拍動ごとの血圧波形(収縮期・拡張期・平均血圧、脈圧)を取得できる。

  3. 心拍、活動量、体温などと併せた多指標同時計測も可能 多くのシステムは血圧以外のセンサーも搭載しており、マルチパラメータ解析が可能。

  4. デジタル伝送によるノイズの低減 アナログ方式に比べて外乱の影響を受けにくく、精度が高い。


仕組み

  • 体内に埋め込む送信機(デジタルテレメータ)

    • 大動脈へ挿入したカテーテルで血圧波形を取得

    • 心拍や体温のセンサーを内蔵する機種もある

  • 受信アンテナ・レシーバー

    • ケージ外部に置かれ、無線で信号を受信する

  • データ収集・解析ソフトウェア

    • 血圧波形、心拍変動、日内リズム、薬剤反応などを解析


どんな研究で使われるか

  • 高血圧モデルマウス研究

  • 心血管疾患研究(心不全、不整脈、動脈硬化など)

  • 代謝・肥満研究(体温・活動量との組み合わせ)

  • 自律神経系研究(心拍変動解析)

  • 薬理試験・毒性試験(血圧反応の長期観察)

  • 睡眠・概日リズム研究


この方式は、マウスの血圧と心拍を「最も生理的に自然な状態で」「長期間」「高精度」で得られる方法として、心血管研究や薬理評価に広く採用されています。


マウス用血圧デジタルテレメトリーの目的

マウス用血圧デジタルテレメトリーの目的は、マウスの動脈血圧を生理的に自然な状態で、連続的かつ高精度に測定し、心血管系の機能や薬剤反応を正確に評価することです。具体的には、以下の目的があります。


1. ストレスのない状態で正確な血圧を測定する

尾カフ法のような拘束や加圧によるストレスを避け、自然な行動下で実際の血圧動態を取得するため。


2. 24時間連続測定による日内リズムの解析

血圧は昼夜で変動するため、長期間の連続記録から概日リズムや生理的変動を正確に把握する


3. 心拍や活動量とあわせたマルチパラメータ解析

血圧と心拍、活動量、体温などの生体指標を同時計測し、心血管・代謝・自律神経系の総合的な機能解析に役立てる。


4. 疾患モデルの表現型評価

  • 高血圧モデルマウス

  • 心不全、不整脈、動脈硬化モデルなどにおける血圧調節異常や病態進行の指標として利用する。


5. 薬剤・治療介入の効果検証

薬物投与、遺伝子改変、デバイス介入などに対してリアルタイムで血圧反応を評価し、作用機序や毒性を検討する


6. 長期観察による慢性影響の評価

数週間から数カ月にわたり慢性疾患モデルや長期薬効の解析に用いることができる。


デジタルテレメトリーの最大の目的は、ノイズやストレスを最小化した生理状態で、高品質の血圧データを得ることであり、これにより心血管研究、薬理研究、毒性評価の信頼性が大きく向上します。



マウス用血圧デジタルテレメトリーの活用分野

マウス用血圧デジタルテレメトリーは、心血管系・代謝系・神経系・毒性評価など、広範な生命科学研究で重要な計測手法として利用されています。特に「血圧を自然行動下で長時間、精密に測定できる」という特性が、以下の分野で高く評価されています。


1. 心血管研究

最も典型的な用途で、血圧や心拍の制御機構を詳細に解析するために用いられます。

  • 高血圧モデル(腎血管性、遺伝性、食塩負荷など)

  • 心不全モデル

  • 動脈硬化モデル

  • 不整脈研究(波形解析を併用)


2. 薬理学研究(薬効評価・毒性評価)

血管拡張薬、交感神経作動薬、降圧薬などの作用機序評価、用量反応、薬効持続時間の解析に不可欠です。また、心血管毒性の安全性評価研究でも使用されます。


3. 代謝・肥満・糖尿病研究

血圧と心拍は代謝異常と深く関連しており、以下の研究で重要な指標になります。

  • 肥満・メタボリックシンドロームモデル

  • 糖尿病性血管障害モデル

  • 食餌介入研究(高脂肪食・高塩食など)


4. 自律神経系研究

心拍変動(HRV)や血圧変動解析を通じて交感神経・副交感神経バランスの評価に利用されます。


5. 神経科学・ストレス研究

ストレス負荷や睡眠/覚醒状態が血圧に与える影響を非拘束でモニタリングできるため、行動神経科学にも応用されます。


6. 概日リズム・睡眠研究

24時間連続測定から

  • 血圧の日内変動

  • 活動量リズム

  • 体温変動 を解析でき、サーカディアンリズム研究に適しています


7. 遺伝子改変マウスの表現型解析

ノックアウト・ノックインなど遺伝子改変の表現型が血圧や心拍にどう影響するかを評価するために広く使用されています。


8. 毒性試験・安全性薬理

GLP対応装置を用いることで

  • 血圧変動

  • QT延長リスク(心拍解析)

  • 血管反応 などの安全性評価に応用されます。


マウス用血圧デジタルテレメトリーは、 「動物に負担をかけず、自然な状態で正確な循環動態データを得る」という強みから、心血管研究を中心に生命科学・薬理学・毒性評価まで幅広い研究分野で活用されています。


マウス用血圧デジタルテレメトリーのアプリケーション例

マウス用血圧デジタルテレメトリーは、自然行動下で高精度の血圧・心拍データを取得できる特性から、以下のような多様なアプリケーションに利用されています。


1. 高血圧モデルの病態解析

  • 遺伝性高血圧モデル

  • 腎血管性高血圧

  • 食塩負荷による高血圧誘導モデル これらのマウスにおける 血圧上昇の経時変化や治療効果の評価に使用されます。


2. 降圧薬・心血管薬の薬効評価

血管拡張薬、利尿薬、交感神経遮断薬などを投与し、

  • 血圧低下の即時反応

  • 効果持続時間

  • 用量依存性 を 連続波形データで解析できます。


3. 血圧の日内リズム(サーカディアンリズム)解析

24〜72時間以上の連続測定により、

  • 活動期(夜)

  • 休息期(昼) における 血圧変動のパターンや乱れを評価します。


4. 心拍変動(HRV)解析による自律神経機能評価

血圧と同時に心拍も取得できる機種では、

  • 交感神経亢進

  • 副交感神経低下

  • ストレス反応 などを HRV解析から定量化できます。


5. 心不全・不整脈モデルの循環動態評価

心機能低下や不整脈発生に伴う

  • 血圧波形の変化

  • 血圧の拍動振幅

  • 心拍数変動 を 自然状態でモニタリングできます。


6. 糖尿病・肥満モデルでの血管機能評価

  • 糖尿病性高血圧

  • メタボリックシンドローム

  • 高脂肪食モデル などで、代謝異常が血圧変動に与える影響を解析します。


7. 遺伝子改変マウスの表現型解析

遺伝子欠損・変異が

  • 血圧調節

  • 心拍制御

  • 自律神経 に与える影響を評価するため、テレメトリーは重要な表現型指標となります。


8. 毒性・安全性薬理試験

GLP環境での安全性薬理では、

  • 急性毒性による血圧低下

  • QT延長リスク(心拍解析)

  • 血管トーン変化 などの 循環動態の安全性評価に用いられます。


9. ストレス・行動研究

拘束ストレス、音刺激、環境変化などが血圧に与える影響を非拘束でリアルタイムに解析できます。


10. 温度・活動量との統合解析

活動量センサーや体温計測付きデジタルテレメーターでは、

  • 行動変化と血圧

  • 発熱や低体温時の循環反応 などを 多指標で総合的に評価できます。


このように、マウス用血圧デジタルテレメトリーは

 心血管、代謝、神経、薬理、毒性といった多領域で必須の解析ツールとして活用されています。




製品紹介

easyTEL+デジタルテレメトリー


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埋め込み型テレメトリー

easyTEL+ デジタルテレメトリーは、小型動物から大型動物まで、複数の生体電位、体温、活動量、呼吸数を測定可能です。また、全身プレチスモグラフィーと組み合わせることで、心肺機能の測定にも利用できます。


easyTEL+ RP

再利用可能なテレメータ

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easyTEL+RP 再利用可能なテレメータは、最大4つの低ノイズ生体電位(皮質または穿刺型EEG、EMG、ECG、EOG)および200g以上のげっ歯類の活動を測定できます。また、全身プレチスモグラフィーと組み合わせて心肺機能測定にも使用可能です。


大型動物では、テレメータの外科的埋め込みなしで神経学的変化と活動変化を収集します。被験者は、ジャケットやヘルメットに収納された外部送信機と、頭皮に配置された表面電極を装着します。


外部送信機は、被験者、コホート、研究間で再利用可能であり、大規模な被験者プールを要する行動研究の初期費用を削減します。emka TECHNOLOGIES社の送信機のカスタム設計(電極、電極線、極性)と、ユーザーが設定可能なサンプリングレート、解像度、ゲインを組み合わせることで、ユーザーは多様な研究設計オプションを利用できます。交換可能なバッテリーは、連続記録で最大150時間持続します。









vivoFlow+


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げっ歯類用全身プレチスモグラフィー

動物モデルを用いた非臨床研究において、全身プレチスモグラフィーは重要な役割を果たします。呼吸のモニタリングにより、呼吸パターンの変化や呼吸系に与える生理学的影響を測定できます。


vivoFlow+全身プレチスモグラフィーは、同じ被験体でストレスや不快感を与えることなく繰り返し測定が可能です。刺激を導入する前のリラックスした状態において、正常な呼吸機能の基準データ(潮式呼吸量、呼吸頻度、空気の流れパターン)を提供し、その後、実験手順中の呼吸変化を継続的に追跡できます。


全身プレチスモグラフィーとデジタルテレメトリーを同期化されたプラットフォーム上で組み合わせることで、呼吸データと神経学的データの同時分析が可能です。






emka TECHNOLOGIES 小動物用テレメトリー easyTELシリーズ


マウス用テレメトリー easyTELは完全に埋め込み可能なテレメトリー・遠隔測定システムで、意識下で自由に動く体重20g以上の小型被験体から生理学データを送信します。前臨床研究で使用することを目的としたeasyTEL-Sサイズのインプラントはマウスに最適で、生体電位(ECG、EEG、EMG、EOG)*、体温、活動を継続的に記録する能力を提供します。


ラット用テレメトリー easyTEL+は完全に埋め込み可能なデジタルテレメトリー・遠隔測定システムで、意識を持って自由に動く実験動物から生理学的データを送信します。前臨床研究(主に毒性学、薬理学、安全性薬理学研究)やバイオディフェンスで使用することを目的としたeasyTEL+インプラントは、ラットのような200gを超えるげっ歯類に最適です。さまざまなモデルで、生体電位(ECG*、EEG*、EMG*、EOG*)、血圧(動脈圧および/または左心室圧)、呼吸数**、体温、加速度を連続的に記録できます。

 

オレンジサイエンスはemka TECHNOLOGIESの日本総代理店です。日本では唯一emka TECHNOLOGIES社と取引できる窓口となっております。日本国内で展開される様々な研究プロジェクトを支え、研究者の皆様がより効果的かつ効率的に研究を進められるよう、迅速で専門的なサポートを提供しています。


*心電図(ECG)、脳波(EEG)、筋電図(EMG)、眼電図(EOG)

**胸膜または血圧または横隔膜EMGに由来します。



easyTEL+S マウス用テレメトリー


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マウス用テレメトリー easyTEL+Sは完全に埋め込み可能なテレメトリー・遠隔測定システムで、意識下で自由に動く約20gまで小動物から生理学データを送信します。

 

前臨床研究で使用することを目的としたeasyTEL+Sのインプラントはマウスに最適で、生体電位(ECG、EEG、EMG、EOG)*、体温、活動を継続的に記録する能力を提供します。




easyTEL+ラット用テレメトリー

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ラット用テレメトリー easyTEL+は完全に埋め込み可能なデジタルテレメトリー・遠隔測定システムで、意識を持って自由に動く実験動物から生理学的データを送信します。


前臨床研究(主に毒性学、薬理学、安全性薬理学研究)やバイオディフェンスで使用することを目的としたeasyTEL+インプラントは、ラットのような200gを超えるげっ歯類に最適です。






easyTEL+ 大型動物用テレメトリー

大型動物用テレメトリー easyTEL+は完全に埋め込み可能な大型動物用デジタルテレメトリーシステムです。

意識を持って自由に動く実験動物から生理学的データを送信します。遠隔で管理・設定することができます。

前臨床研究(主に毒性学、薬理学、安全性薬理学研究)やバイオディフェンスでの使用を想定したeasyTEL+インプラントは、1kgを超える大型動物に最適です。

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emka TECHNOLOGIES

emka TECHNOLOGIES社は、1992年にフランスで設立され、当初は、アイソレーテッドオーガンバスやランゲンドルフ灌流装置を開発、製造しており、2000年には非侵襲性のテレメトリーをリリース、2014年には、SCIREQ社(カナダ)をグループに入れることにより、呼吸器研究用機器を製品ポートフォリオに加え、幅広い分野の機器を、世界の研究者の方々に提供しています。

 

オレンジサイエンスはemka TECHNOLOGIESの日本総代理店です。日本では唯一emka TECHNOLOGIES社と取引できる窓口となっております。日本国内で展開される様々な研究プロジェクトを支え、研究者の皆様がより効果的かつ効率的に研究を進められるよう、迅速で専門的なサポートを提供しています。



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​​主な製品

  • マウス・ラット用テレメトリー

  • ジャケットテレメトリー

  • オーガンバス

  • ランゲンドルフ





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主な製品

  • マウス・ラット肺機能測定装置

  • マウス・ラット呼吸測定装置

  • 吸入暴露装置

  • ​細胞暴露装置




その他の製品


Precisionary ビブラトーム(振動式ミクロトーム)

組織切片作製


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Precisionary ビブラトームは細胞や組織の切片を特許取得済みの圧縮技術によりビビリなしで作製し、急性組織上の多くの生存細胞を維持します。肺機能を解析した後、肺を取り出しスライスしたり、肺1つから複数の組織サンプルを取得することが可能です。

  • 従来のビブラトームの5倍の速さで切開し、ブレードを組織に当てる時間を短縮し、より良い切開を実現

  • Auto Zero-Zテクノロジーにより、Z軸のたわみを1 µm未満に低減

  • 高周波振動メカニズムにより、ビビリマークを低減または除去

  • 持ち運びに便利な軽量設計

  • 完全自動化:切開+厚み調整

  • 360度のアガロース包埋により、切断プロセス中に組織を安定化






Etaluma Lumascope

インキュベーター内で使用できる3色蛍光ライブセルイメージング蛍光顕微鏡



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EtalumaのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。日々顕微鏡を使用する科学者によって考案、設計され、そのコンセプトデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。

多点観察モデル、定点観察モデルがあり、様々な観察シーンに対応できます。







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