iPS心筋細胞を用いた心毒性(Cardiotoxicity)評価
- 3月17日
- 読了時間: 10分
IonOptix CytoMotion / MultiCellによる心筋収縮解析
創薬研究や安全性評価において、薬剤による心毒性(Cardiotoxicity)は開発中止の主要因の一つとされています。特に臨床試験段階で心毒性が発見された場合、開発コストや時間への影響は非常に大きくなります。こうした背景から、前臨床段階で心毒性リスクを検出するin vitro評価系の重要性が高まっています。
近年、ヒト由来の生理学的反応を再現できるモデルとして、iPS心筋細胞(hiPSC-derived cardiomyocytes)を用いた評価系が広く利用されています。これらの細胞は自発的に拍動し、ヒト心筋に近い電気生理・収縮特性を示すため、薬剤の心機能への影響を評価する有力なモデルとされています。
IonOptix社の CytoMotion と MultiCell は、こうしたiPS心筋細胞を用いた研究において、心筋収縮機能とカルシウム動態を定量的に解析するためのプラットフォームとして活用されています。
心毒性評価におけるiPS心筋細胞モデル
従来の動物モデルや細胞株では、ヒト心筋の反応を十分に再現できないケースがあります。そのため現在では、以下のような研究領域でiPS心筋細胞モデルが利用されています。
主な用途
創薬候補化合物の安全性評価
心毒性スクリーニング
不整脈誘発性の評価
心筋収縮力への影響解析
Ca²⁺ハンドリング異常の研究
iPS心筋細胞は拍動するため、薬剤の影響は以下のような機能的変化として観察されます。
代表的な評価指標
収縮振幅の変化
収縮・弛緩速度
拍動周期の変化
カルシウムトランジェント
不整拍動(arrhythmia)
これらのパラメータを定量化することにより、薬剤の心毒性リスクを評価することが可能になります。
IonOptix CytoMotionによる心筋収縮解析
IonOptix CytoMotion は、顕微鏡画像から心筋細胞の収縮運動を解析するための解析技術です。
CytoMotionは、画像のピクセル強度変化を追跡することで、心筋細胞の収縮・弛緩運動をリアルタイムに定量化します。これにより、iPS心筋細胞のような細胞密度が高い培養系やコントラストが低い細胞でも収縮解析が可能になります。
取得可能な主な解析パラメータには次のようなものがあります。
主な解析指標
収縮振幅(contractility amplitude)
最大収縮速度
最大弛緩速度
収縮時間
弛緩時間
拍動周期
拍動頻度とその変化
これらの指標は、薬剤が心筋機能に与える影響を評価するうえで重要な情報となります。
例えば、薬剤による心毒性は以下のような変化として観察される場合があります。
心毒性の影響 | 観察される変化 |
|---|---|
収縮力低下 | 収縮振幅の低下 |
心拍リズム異常 | 拍動周期の変動 |
Ca²⁺調節異常 | 収縮・弛緩速度の変化 |
CytoMotionは、これらの変化を定量データとして取得できる解析ツールです。
MultiCellによるハイスループット測定
IonOptix MultiCell は、複数の心筋細胞を自動的に測定するためのハイスループット測定システムです。
MultiCellには以下のような機能があります。
主な機能
モーター制御ステージによる自動測定
多数の細胞を連続的に測定
高速カメラによる動画取得
カルシウム蛍光測定との統合
これにより、同一サンプル内の多数のiPS心筋細胞を測定し、統計的に信頼性の高いデータを取得することができます。
特に創薬研究では、複数の薬剤濃度や化合物を比較する必要があるため、ハイスループット解析が重要な要件となります。
CytoMotion × MultiCellによる心毒性評価プラットフォーム
CytoMotionとMultiCellは、組み合わせて使用することで、iPS心筋細胞を用いた心毒性評価の統合プラットフォームとして機能します。
役割分担は次のようになります。
システム | 役割 |
|---|---|
MultiCell | 多数の心筋細胞を自動撮影 |
CytoMotion | 心筋収縮運動を定量解析 |
この組み合わせにより、
心筋収縮機能
カルシウム動態
拍動リズム
といった複数の指標を同時に解析することが可能になります。
心毒性評価の研究ワークフロー
iPS心筋細胞を用いた心毒性評価の典型的なワークフローは次の通りです。
iPS心筋細胞を培養
評価対象の薬剤を添加
MultiCellで動画を取得
CytoMotionで収縮解析
収縮パラメータを比較評価
この解析により、薬剤による
収縮機能障害
不整拍動
Ca²⁺ハンドリング異常
などの心毒性シグナルを検出することが可能になります。
研究分野での活用例
CytoMotion / MultiCellは、以下の研究分野で活用されています。
主な応用分野
創薬研究
前臨床心毒性スクリーニング
薬剤安全性評価
心筋生理研究
興奮収縮連関
Ca²⁺シグナリング研究
疾患モデル研究
iPS心筋細胞による心疾患モデル
遺伝性心筋疾患研究
毒性学研究
環境化学物質の心毒性評価
iPS心筋細胞による心毒性評価を支える解析プラットフォーム
iPS心筋細胞を用いた心毒性評価では、心筋収縮機能を定量的に評価できる解析技術が重要になります。
IonOptix CytoMotion / MultiCellは
心筋収縮解析
Ca²⁺動態測定
ハイスループット解析
を組み合わせた解析環境を提供し、創薬研究や毒性学研究における心毒性評価の定量化を支援します。
iPS心筋細胞を用いたin vitro心毒性評価において、これらのシステムは心筋機能の変化を客観的なデータとして取得するための有用なツールとなります。
よくあるご質問(FAQ)
心毒性(Cardiotoxicity)評価とは何ですか?
心毒性評価とは、薬剤や化学物質が心臓の機能に悪影響を与える可能性を調べる安全性試験です。創薬研究では、薬剤が以下のような影響を引き起こす可能性があるため評価が重要です。
不整脈(arrhythmia)
心筋収縮力の低下
カルシウムハンドリング異常
心筋細胞の機能障害
これらの影響は、心筋細胞の収縮運動やカルシウム動態を測定することで評価されます。
iPS心筋細胞とは何ですか?
iPS心筋細胞とは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から分化させた心筋細胞です。ヒト由来の細胞であるため、次のような研究に広く利用されています。
創薬研究
心毒性評価
心疾患モデル研究
個別化医療研究
iPS心筋細胞は培養環境でも自発的に拍動するため、薬剤が心筋機能に与える影響をin vitroで解析できるモデルとして重要視されています。
なぜ心毒性評価にiPS心筋細胞が使われるのですか?
iPS心筋細胞が心毒性評価に使われる理由は、ヒト心筋に近い反応を示すためです。
従来の評価方法には以下の課題がありました。
従来モデル | 課題 |
|---|---|
動物モデル | ヒトとの種差 |
細胞株 | 心筋機能を十分再現できない |
iPS心筋細胞はヒト由来であり、
拍動
電気生理特性
Ca²⁺動態
などを再現できるため、ヒト心毒性を予測するin vitroモデルとして利用されています。
心毒性評価ではどのようなパラメータを測定しますか?
iPS心筋細胞を用いた心毒性評価では、主に次のパラメータが測定されます。
主な評価指標
心筋収縮振幅
収縮速度
弛緩速度
拍動周期
拍動頻度とその変化
カルシウムトランジェント
これらの指標を解析することで、薬剤による心筋機能への影響を定量評価できます。
IonOptix CytoMotionとはどのようなシステムですか?
CytoMotionは、顕微鏡画像から心筋細胞の収縮運動を解析する技術です。画像のピクセル変化を解析することで、次のような情報を取得できます。
心筋収縮振幅
収縮速度
弛緩速度
拍動周期
CytoMotionは、iPS心筋細胞の収縮ダイナミクスを定量解析するツールとして利用されています。
MultiCellとはどのようなシステムですか?
MultiCellは、複数の心筋細胞を自動的に測定するハイスループット測定システムです。
主な機能
自動ステージによる測定
複数細胞の連続解析
高速動画取得
Ca²⁺蛍光測定
これにより、多数の細胞から統計的に信頼性の高いデータを取得できます。
CytoMotionとMultiCellはどのように組み合わせて使用されますか?
CytoMotionとMultiCellは、心毒性評価の統合解析プラットフォームとして組み合わせて使用されます。
システム | 役割 |
|---|---|
MultiCell | 心筋細胞の動画取得 |
CytoMotion | 収縮運動の解析 |
この組み合わせにより、
心筋収縮
カルシウム動態
拍動リズム
などの複数の指標を同時に解析できます。
iPS心筋細胞を用いた心毒性評価はどの研究分野で利用されていますか?
主に以下の研究分野で利用されています。
主な研究領域
創薬安全性評価
前臨床心毒性スクリーニング
心疾患研究
心筋生理研究
化学物質毒性研究
特に創薬研究では、臨床段階での心毒性リスクを早期に検出するための重要な評価系として利用されています。
iPS心筋細胞の心毒性評価を支える
IonOptix CytoMotion / MultiCell
iPS心筋細胞を用いた心毒性(Cardiotoxicity)評価では、薬剤による心筋機能の変化を定量的に測定できる解析技術が重要になります。特に、心筋細胞の拍動や収縮運動は薬剤の影響を受けやすく、これらの変化を正確に解析することが、信頼性の高い評価につながります。
IonOptix社の CytoMotion と MultiCell は、iPS心筋細胞を用いた研究において、心筋収縮機能とカルシウム動態を解析するためのプラットフォームとして活用されています。
CytoMotionによる心筋収縮解析
CytoMotionは、顕微鏡画像から心筋細胞の収縮運動を解析するシステムです。画像のピクセル変化を解析することで、心筋細胞の収縮・弛緩運動を定量的に測定することができます。


iPS心筋細胞は細胞密度が高く、コントラストが低い条件で培養されることも多いため、従来の解析方法では収縮解析が難しい場合があります。CytoMotionはこのような条件でも収縮運動を解析できるため、iPS心筋細胞の拍動解析や心毒性評価研究に適した解析ツールとして利用されています。
取得可能な主な解析パラメータには以下が含まれます。
収縮振幅
最大収縮速度
最大弛緩速度
収縮時間
弛緩時間
拍動周期
これらの指標は、薬剤による心筋機能の変化を評価するうえで重要な情報となります。
MultiCellによるハイスループット解析
IonOptix MultiCell は、複数の心筋細胞を自動的に測定するハイスループット解析システムです。

モーター制御ステージと高速イメージングを組み合わせることで、同一サンプル内の多数の心筋細胞を連続的に測定することが可能になります。これにより、iPS心筋細胞を用いた心毒性評価において、統計的に信頼性の高いデータを効率的に取得できます。
また、心筋収縮解析に加えてカルシウム蛍光測定を組み合わせることで、収縮機能とCa²⁺動態を同時に解析する研究にも利用されています。
CytoMotion × MultiCellによる統合解析
CytoMotionとMultiCellを組み合わせることで、iPS心筋細胞を用いた心毒性評価において以下のような解析が可能になります。
主な解析項目
心筋収縮機能
拍動リズム
カルシウムトランジェント
薬剤による収縮動態の変化
MultiCellによる自動測定とCytoMotionによる収縮解析を組み合わせることで、多数の心筋細胞から得られる機能データを効率的に解析できます。
このような解析環境は、創薬研究における心毒性スクリーニングや心筋機能研究において有用なツールとなります。
iPS心筋細胞研究を支える解析プラットフォーム
iPS心筋細胞を用いた研究では、心筋細胞の拍動や収縮機能を定量的に評価することが重要です。IonOptix CytoMotion / MultiCellは、心筋収縮解析とハイスループット測定を組み合わせた解析環境を提供し、創薬研究や毒性学研究における心毒性評価を支援します。
iPS心筋細胞による心筋機能解析や心毒性評価の研究において、CytoMotionとMultiCellは心筋収縮ダイナミクスを定量的に解析するための有用なツールとして活用されています。
ー IonOptix社 製品紹介 ー
MultiCellシステム
MultiCell(マルチセル)システムは、筐体に自動制御のXYZステージ、カメラ、照明が内蔵されており、IonOptixの周辺機器やソフトウェアをアドオンすることにより、さまざまな測定が自動でハイスループットで行えます。データ取得の手間がかからず、研究に集中するこができます。

MyoCyteシステム
MyoCyte(マイオサイト)システムは20年以上、国内外で数多くの実績があり、画像解析による、細胞の収縮、サルコメアの測定、また2波長光源でレシオメトリックス方による細胞の蛍光測定が可能です。

C-Pace/ 筋細胞電気刺激培養装置
イオンオプティクス社のシーペースシステム(C-Pace EM)は、筋細胞へ電気刺激を与えながら培養することができるシステムです。4~24wellまでの専用電極(C-Dish)により、同時に大量の細胞へ電気刺激が可能で、バイポーラ波形の刺激により、電気分解を防ぎ、長時間の刺激培養が可能です。
設置も非常に簡単で、汎用培養プレート(※使用可能なリストはこちら)もそのままお使い頂けますので、装置に電源を接続するだけで、すぐにご使用頂けます!

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