強度測定
オレンジサイエンスは、ライフサイエンスの中でも細胞生物学分野に関する研究機器に特化して販売およびサポートをしている会社です。
このページでは、細胞生物分野に関する強度測定について、微細なサンプルの強度測定が可能な「MicroTester」と、最大 10kN までの引張強度、圧縮強度、3点曲げ強度測定可能な「UniVert」を例に、強度測定の仕組みや強度測定が用いられるアプリケーション、細胞例・サンプル例、使い方などをご説明します。
強度測定とは
強度測定とは、引張試験機や圧縮測定器などの測定器を用いて細胞や生体サンプルにかかる圧縮の力や引張の力、曲げの力、収縮力、弾性力などの強度を測定することです。
測定された値を細胞研究に用いることで、サンプルの機械特性の予測や研究、仮説の証明、実証、サンプルの実用性の検証、サンプルの品質保証のためのデータの提供、複数サンプルの数値による比較、法的に有効な書類の提出などができ、様々な目的で実施されます。
強度測定の種類
引張強度測定
サンプルに張力をかけた際の機械的特性の数値を測定します。
圧縮強度測定
サンプルを押しつぶした際の機械的特性の数値を測定します。
曲げ強度測定
サンプルに曲げる力を加えた際の機械的特性の数値を測定します。
強度測定の仕組み
「MicroTester」では、約0.07~1.5㎜径のビーム(カンチレバー)でサンプルを変位させ、カンチレバーのセンサーで読み取ったデータと、前方のカメラでとらえたサンプルの変位データから、サンプルにかかる力を測定します。MicroTesterでは、50µm以上のサイズであれば、あらゆるサンプルや細胞などの強度をほぼ測定可能です。
「UniVert」では、サンプルに引張や圧縮、曲げの力をかけていき、ロードセルによってその力の大きさを電気信号に変え、機械的特性の各種数値を計測します。ソフトウェアを使用してリアルタイムでグラフ化したりモニタリングしたりすることも可能で、強度測定中にフィードバックを確認しながら分析・解析することも可能です。
ロードセルを変えることで、1N~10kNまでの強度試験が可能で、幅が22cm、高さが54cmと非常にコンパクトな測定器です。
強度測定のアプリケーション例
「MicroTester」
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iPS心筋組織(収縮力測定)
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スフェロイド(圧縮強度測定)
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ハイドロゲル(圧縮強度、弾性率測定)
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ファイバー(強度測定)
など
「UniVert」
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弾性ポリマー素材(引張強度測定)
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マウスのアキレス腱(引張強度測定)
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スキャフォールド
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ハイドロゲル
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3D培養モデル
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非弾性セラミック球(圧縮強度測定)
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人工骨(曲げ強度)
など
強度測定器の使い方
ここではオレンジサイエンスが取り扱う「MicroTester」を例に強度測定器の使い方をご説明します。
MicroTesterは非常に簡単に使用できる強度測定器で、マイクロビーム(カンチレバー)でサンプルを圧縮し、前方にあるカメラでその変位を捉え、様々なアウトプットから、サンプルの強度を測定できる測定器です。
1. 測定器のセットアップ
測定器にビームを取り付けます。面で押し込む測定をする場合は、ビームの先端にプレートを付けて使用します。ビームの取り付けが完了したら、測定時にしようするため、クランプからビームの先端までの長さを測ります。
2. 初めて測定器を使用する時、ビームを変更した時、別のパソコンを接続した時はオプティカルキャリブレーションとピエゾキャリブレーションを行います。
3. パソコンでテストファイル名、ビーム設定、パラメーター設定を行い、測定を開始します。パラメーター設定では、Load, Hold Recover, Restの各フェーズの秒数や、制御方法が設定でき、設定方法を変えることにより、様々な測定が可能となります。
強度測定例(サンプル)
プレートでの圧縮
300µm hydrogel microsphere (30KPa)
Peak Force: 20mN
プレートでの圧縮
2mm diameter hydrogel cylinder (12KPa) Peak Force: 20mN
Bend-Induced Tension
spider silk Peak Force: 2mN
ワイヤーでの繊維押込み
20µm thick by 4mm wide foil strip (70MPa) Peak Force: 3mN
球状での押込み試験
1.5mm diameter indenter into hydrogel (2KPa) Peak Force: 12mN
Puncture-Attached Tension
3.5mm wide by 1.5mm thick hydrogel (0.5KPa) Peak Force: 1.4mN
強度測定の動画
ヒト線維芽細胞100%で作成した
細胞ブロック(厚さ0.5~1.4㎜)を測定
Tissue By Net社提供
0.4㎜径のワイヤーに4㎟のプレートを取り付け、通常のCompress, Hold, Recoverの流れで測定しました。
iPS心筋チューブを測定
CellFiber社提供
200µm径のチューブを0.4㎜径のワイヤーで押し込み、通常Compress, Hold, Recoverの流れで測定しますが、この場合はHoldのフェーズを長く設定し、心筋チューブが自発収縮する際にワイヤーを押し返す力を測定しました。
強度測定の画面動画
実際の測定の動画です。サンプルをビームに取り付けられたプレートで、20秒間に100µm圧縮している様子です。画面中央には、チャンバーを正面から見たカメラの映像、画面右には、Force/Time、Displacement/Time、Force/Displacementのトレースがリアルタイムで確認できます。
強度測定器 -MicroTester モデル一覧
LT モデル
G2 モデル
強度測定器-UniVert
多様なアタッチメントにより、生体から取り出したサンプルの引張強度測定や圧縮強度測定など、様々なサンプル・テストモードで測定ができます。
生体サンプルは試験時のグリップが難しいですが、ばね・ネジで締め付けるグリップで簡単・的確にサンプルを固定できます。
簡単なモジュール交換で多様な強度測定に対応
引張強度測定
弾性ポリマー素材など
圧縮強度測定
非弾性セラミック球など
3点曲げ強度測定
人工骨など
ニュース
オレンジサイエンスのニュースページでは、セルスケール社製品の最新情報や製品を使用した論文、ユースケース、国内の実例などをご紹介しています。
オレンジサイエンスについて
私たちは、ライフサイエンスの中でも
細胞生物学分野に関する研究機器に特化して
販売およびサポートをしています。
多種多様な装置を取り扱うのではなく、装置とその用途について深い知識を持ち、ユーザの皆様の研究をよりよく理解することを心掛けています。研究者の皆様への技術サポートを通じて、ライフサイエンスの発展に貢献することを目指す会社です。
この分野の装置は、日本が常に一番というわけではありません。日本では国内メーカーの製品が好まれていますが、おそらくアフターサービスの良さが大きな要因だと考えられます。欧米で、より顕著な発展を見せている研究機器を国内メーカーと同じレベルのサポート体制でお使いいただければ、皆様の研究をさらに効率化することができるはずです。
オレンジサイエンスのスタッフは日本で研究する皆様の研究の効率化を実現するために、アメリカとヨーロッパから研究に有用な製品の情報を収集し横浜オフィスに集めています。横浜のスタッフは、各地のメーカーを訪れて技術力を向上させています。皆様の御研究が実を結び、我々が間接的にでも多くの人々のクオリティーオブライフの向上に貢献できることを願っております。