弾性率測定
オレンジサイエンスは、ライフサイエンスの中でも細胞生物学分野に関する研究機器に特化して販売およびサポートをしている会社です。
このページでは、弾性率について、微粒子の弾性率計測が可能なシステム「MicroTester」を例に、弾性率とは何か、弾性率測定の種類や方法、関連動画や論文などをご紹介します。
弾性率とは
弾性率とは、物質が力を受けた際にその変形に対してどの程度弾性的に反応するかを示す物理量です。物質が力を受けて変形した場合に、その力が取り除かれた後に元の形状に戻る力を表します。
弾性率は、ヤング率、剪断弾性率、ポアソン比など、様々な種類があります。例えば、ヤング率は、物質が引っ張られた際にどの程度伸びるかを表す値であり、剪断弾性率は物質がねじられた際にどの程度変形するかを表す値です。ポアソン比は、物質が引っ張られた際に幅が狭くなるか広くなるかを示す比率です。
弾性率は、物質の種類や形状、温度、湿度、圧力などによって異なります。一般に、弾性率が高いほど物質は硬く、剛性が高いことを示します。弾性率は、材料工学や機械工学、土木工学、物理学、医療などの分野で重要な役割を果たし、材料の選定や設計の最適化に役立っています。
弾性率測定とは
弾性率測定とは、物質が受けた力に対する変形の程度を表す物理量である弾性率を測定することです。物質が力を受けて変形すると、その変形量に対して物質がどの程度弾性的に応じるかが示されます。弾性率は物質の種類や形状、温度、湿度、圧力などによって異なります。
一般的に、弾性率測定は、物質に外力を加えて変形させ、その応力とひずみの関係を測定することで行われます。具体的には、試験片を張力や圧力で引っ張ったり押したりして変形を与え、その際に生じる応力(引っ張りや圧縮に対する単位面積あたりの力)とひずみ(試験片の長さの変化を表す物理量)を測定します。これらのデータから、試験片の弾性率を計算することができます。
弾性率測定は、材料工学や機械工学、土木工学、物理学などの分野で重要な役割を果たしています。例えば、弾性率は、物質の強度や剛性、振動特性、音響特性などを決定するために必要な物理量であり、材料の選定や設計の最適化に役立ちます。
弾性率測定の種類
弾性率測定には、様々な方法があります。一般的な弾性率測定の方法には、以下のようなものがあります。
引っ張り試験
試験片を引っ張って伸ばすことで、ヤング率を測定します。試験片に力が加わると、試験片は長さが伸び、その伸びた量に対する応力とひずみの関係を測定することで、ヤング率を求めることができます。
圧縮試験
試験片を圧縮して変形させ、圧縮弾性率を測定します。試験片に力が加わると、試験片は厚み方向に圧縮され、その圧縮された量に対する応力とひずみの関係を測定することで、圧縮弾性率を求めることができます。
三点曲げ試験
試験片を三点支持で曲げて変形させ、曲げ弾性率を測定します。曲げ弾性率は、試験片が曲がった際に生じる応力と曲げひずみの比率として求めることができます。
剪断試験
試験片を剪断して変形させ、剪断弾性率を測定します。剪断弾性率は、試験片が剪断された際に生じる応力と剪断ひずみの比率として求めることができます。
これらの試験を用いることで、物質の弾性率を測定することができます。また、試験条件や装置の設計によっては、複合的な力の作用に対応できるような試験方法もあります。
MicroTesterによる弾性率測定
CellScaleのMicroTesterは1㎜以下径のビーム(カンチレバー)とプレートで直接サンプルに接触して、マイクロスケールサンプルの非破壊検査や弾性率測定が可能な装置です。より小さなサンプル、より優れた力分解能、より簡単な試験セットアップ、そして優れた視覚性。測定用途としては、小さな組織サンプル、ハイドロゲルマイクロスフィア、細胞スフェロイド、人工のマイクロ組織などがあります。お客様のニーズに合わせて、2つのバージョンをご用意しています。
下の写真は、マイクロテスターG2が、ユーザーテストのプロトコルに沿って、2枚の平行なプレートの間で微小球を圧縮しているところです。荷重と変位のデータ、および試験中の時間相関画像が出力されます。
弾性率測定に関連する動画
ハイドロゲル微小球の圧縮試験デモ
マイクロスケールメカニカルテスト事例
弾性率測定の例(サンプル)
プレートでの圧縮
300µm hydrogel microsphere (30KPa)
Peak Force: 20mN
プレートでの圧縮
2mm diameter hydrogel cylinder (12KPa) Peak Force: 20mN
Bend-Induced Tension
spider silk Peak Force: 2mN
ワイヤーでの繊維押込み
20µm thick by 4mm wide foil strip (70MPa) Peak Force: 3mN
球状での押込み試験
1.5mm diameter indenter into hydrogel (2KPa) Peak Force: 12mN
Puncture-Attached Tension
3.5mm wide by 1.5mm thick hydrogel (0.5KPa) Peak Force: 1.4mN
論文の紹介
ここでは、弾性率測定に MicroTester が使われた論文を紹介します。
化粧品、インプラント、その他の消費財から、日々私たちの体内に混入する、様々なナノパーティクルの危険性を十分理解する必要があります。
NCATSUの Bhattarrai Lab の研究者は、静電カプセル化を利用して、合成繊維、自然繊維のナノファイバー構造体を持つハイドロゲルベースのスフェロイドを作成しています。彼らのミッションは、ハイスループットの3D in vivo プラットフォームを作ることで、最初のアプリケーションは一般的なナノパーティクルの毒性を研究することでした。
これまでの研究では、PLGAナノファイバーでスフェロイドを作成し、エレクトロスプレーやその他の製造パラメータの最適化に焦点を当てていました。
先月発表された彼らの新しい研究では、キチンナノフィブリルをスフェロイドに添加した結果、安定性、均一性、長期的な物理的完全性が向上することが分かりました。
この、300~500μmのスフェロイドの機械的特性を評価するために、CellScale社の MicroTester G2 が使用されました。スフェロイドを圧縮し、15~45 kPa の範囲の弾性率を測定するには、10~40 uN のピーク力が必要ですが、MircoTester G2 は、小さな力の分解能、温度制御された液体中でのサンプルの操作、リアルタイムでの試験の可視化というユニークな機能を備えており、この研究には理想的でした。
MicroTesterによる弾性率測定
セルスケール社のMicroTester(マイクロテスター)は、サンプルを押し込むカンチレバー(ビーム)の径を変えることにより、約0.005~500µNの試験が可能です。
ビームの先端にサンプルのサイズに合わせたプレートを取り付けることにより、より確実にサンプル全体に力をかけて、測定をすることが出来ます。
生体サンプルの試験に特化し、工業用の試験機では実現できないコンパクトさ、試験レンジを実現し、精度の高い弾性率測定・解析が可能となりました。
ソフトウェアによる解析、画像分析、リアルタイムモニタリングにも対応し、幅が約60cm、高さが約30cmと非常にコンパクトなため、試験室だけでなく、あらゆる場所で試験を行うことができます。
MicroTesterは研究者によって開発されたため、生体系サンプルの試験を得意とし、生体サンプル試験の豊富な応用例を有します。
ステージ、ビームを変えることで、幅広い強度のサンプルを、様々な方法で試験することが可能です。
弾性率測定時のソフトウェア画面
弾性率測定時の動画
ヒト線維芽細胞100%で作成した
細胞ブロック(厚さ0.5~1.4㎜)を測定
Tissue By Net社提供
0.4㎜径のワイヤーに4㎟のプレートを取り付け、通常のCompress, Hold, Recoverの流れで測定しました。
iPS心筋チューブを測定
CellFiber社提供
200µm径のチューブを0.4㎜径のワイヤーで押し込み、通常Compress, Hold, Recoverの流れで測定しますが、この場合はHoldのフェーズを長く設定し、心筋チューブが自発収縮する際にワイヤーを押し返す力を測定しました。
Tissue By Net社では、簡単に3D 培養ができるキットを販売しております。ご興味のある方は下記リンクからご確認ください。
弾性率測定 - MicroTesterの強み
コンパクトなパッケージであらゆる場所で簡単に弾性率測定試験を実施できます。幅広い試験用途に対応でき、コンポーネントやビーム(カンチレバー)の交換も簡単にできます。
ソフトウェアを使用し、リアルタイムでテストプロトコルをグラフ化・モニタリングでき、高品質で費用対効果の高い圧縮試験を実施できます。
また、測定チャンバー正面には高解像度のカメラが搭載されておりますので、測定時の画像を記録することも可能です。
MicroTesterの特徴
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高品質で費用対効果の高い試験をコンパクトなパッケージで実施できます
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コンポーネントやビーム(カンチレバー)の交換が簡単にでき、幅広い試験用途に対応できます
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高解像度カメラにより、測定の画像を記録できます
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ソフトウェアを使用し、リアルタイムでテストプロトコルをグラフ化・モニタリング
MicroTesterで測定可能なサンプル
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スキャフォールド
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ハイドロゲル
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3D培養モデル
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細胞スフェロイド
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弾性物(ポリマーなど)
など
MicroTester ソフトウェア
MicroTesterのソフトウェアは、HPから無償でダウンロードできます。このソフトウェアによって、テストプロトコルの総合的な管理が可能となります。リアルタイムでのグラフ化やモニタリングによって、テスト中のフィードバックが見れるだけでなく、力と変位のデータの記録を残すこともできるので、後の分析も可能です。
ソフトウェアもモジュラーコンポーネントも簡単に使用でき、特別なトレーニングは必要ありません。
弾性率測定 - ビーム
弾性率測定の際に使用するビームはタングステンで出来ており、径0.07~1.57㎜の中から選べます。ビームの径により、測定できる力が変わってきますので、ビームの選定は下記の表を参考にして下さい。
動画
クライアントレビュー
ジャスティン・リュー博士 - Justin Liu, PHD Candidate
カリフォルニア大学サンディエゴ校 - Shaochen Chen Lab, University of California San Diego
組織工学アプリケーションのためのソフトハイドロゲルのマイクロ/ナノスケールの3Dプリントに焦点を当てています。MicroTester は、他の方法では正確に測定することが難しいサンプルを、正確に測定することができるユニークな装置です。提供されるソフトウェアは使いやすく、ラボの多様なニーズに柔軟に対応します。
レアンダ・バプティスタ教授 - Prof. Leandra S. Baptista
リオデジャネイロ大学 - Federal University of Rio de Janeiro
Delivery of Human Adipose Stem Cells Spheroids into Lockyballs.
MicroTester は、多機能な光学システムと、機械特性試験により、細胞スフェロイドの測定を可能にするユニークな装置です。また、CellScaleのカスタマーサポートにも大変満足しています。
ローラン・フィン博士 - Lauren Flynn, Ph.D., P.Eng
ウエスタン大学 - Western University
CellScale 社の装置(MicroTester, UniVertなど)は、私たちの研究を大きく前進させ、さまざまな人工バイオフレームの特性を生理的条件下で正確に測定することを可能にしました。このシステムは堅牢で使いやすく、測定できる生体材料や組織の種類に柔軟性があります。また、様々なサポートや、質問にも常に迅速に対応してくれます。
デモ機貸し出しについて
MicroTesterは無料にてデモが可能です。実際の実験環境や使用環境でお試しいただき、MicroTesterの機能や性能、使いやすさ、製品の大きさ等を事前にご確認いただけます。デモ可能な機種や貸出期間等につきましてはお問い合わせください。
オレンジサイエンスについて
私たちは、ライフサイエンスの中でも
細胞生物学分野に関する研究機器に特化して
販売およびサポートをしています。
多種多様な装置を取り扱うのではなく、装置とその用途について深い知識を持ち、ユーザの皆様の研究をよりよく理解することを心掛けています。研究者の皆様への技術サポートを通じて、ライフサイエンスの発展に貢献することを目指す会社です。
この分野の装置は、日本が常に一番というわけではありません。日本では国内メーカーの製品が好まれていますが、おそらくアフターサービスの良さが大きな要因だと考えられます。欧米で、より顕著な発展を見せている研究機器を国内メーカーと同じレベルのサポート体制でお使いいただければ、皆様の研究をさらに効率化することができるはずです。
オレンジサイエンスのスタッフは日本で研究する皆様の研究の効率化を実現するために、アメリカとヨーロッパから研究に有用な製品の情報を収集し横浜オフィスに集めています。横浜のスタッフは、各地のメーカーを訪れて技術力を向上させています。皆様の御研究が実を結び、我々が間接的にでも多くの人々のクオリティーオブライフの向上に貢献できることを願っております。