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静水圧刺激

静水圧刺激とは

静水圧刺激とは、細胞を培養する際に、より体内に近い環境で細胞を培養するために用いられる手法で、水の圧力を利用して細胞に力学的刺激を与えることです。静水圧刺激を与えるには、静水圧刺激装置を用い、細胞へ機械的に水上で圧縮刺激を一定間隔で与えながら細胞を培養します。静水圧刺激は、細胞が水中で刺激を受けることで生じます。

 

静水圧刺激は、細胞の形態や機能を調節するために利用されます。例えば、骨細胞や軟骨細胞を培養する際には、適切な静水圧刺激を与えることで、細胞が骨や軟骨などの組織を形成する能力を高めることができます。また、血管内皮細胞を培養する際には、静水圧刺激によって血管内皮細胞の生長や分化が促進され、血管壁の形成や修復に関する研究に応用されます。

 

一方で、静水圧刺激が過剰に加わると、細胞に損傷を与えることがあるため、適切な刺激強度や刺激時間を調節する必要があります。

静水圧刺激とは

静水圧刺激を行うことで得られるメリット

静水圧刺激を与える細胞と刺激を与えない細胞の活動を比較することで、最終的な形態の違いや細胞活動の違いの比較などができます。
また、細胞が成熟する効果や遺伝子・タンパク質発現が見られる、静水圧刺激を与えている際の細胞の様子を観察できる、など、細胞に静水圧刺激を与えることで、多くのメリットが得られます。

他にも以下のようなメリットがあります。

細胞の形態や機能の向上

静水圧刺激を与えることで、細胞の形態や機能が向上することがあります。例えば、骨細胞や軟骨細胞を培養する際には、適切な静水圧刺激を与えることで、細胞が骨や軟骨などの組織を形成する能力を高めることができます。

細胞の増殖や分化の促進

静水圧刺激を与えることで、細胞の増殖や分化が促進されることがあります。例えば、血管内皮細胞を培養する際には、静水圧刺激によって血管内皮細胞の生長や分化が促進され、血管壁の形成や修復に関する研究に応用されます。

細胞のストレス応答の解析

静水圧刺激を与えることで、細胞のストレス応答を解析することができます。例えば、心筋細胞を培養する際には、静水圧刺激によって心筋細胞の収縮力や細胞内カルシウム濃度が変化することがあり、心臓病などの研究に応用されます。

3D細胞培養の向上

静水圧刺激を与えることで、3D細胞培養の向上が期待されます。例えば、人工的に作られた血管や骨などの組織を作る際に、静水圧刺激を与えることで、より自然な組織形成が促進されることが期待されます。

静水圧刺激を行う細胞やサンプル

静水圧刺激はあらゆる細胞に応用でき、血管内皮細胞、心臓内皮細胞、心筋細胞、ips細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、網膜神経細胞、骨組織、血管前駆細胞、腎臓細胞、幹細胞、脂肪、上皮細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、などの各種細胞の研究や、再生医療に関する研究に用いられます。

骨細胞や軟骨細胞

骨や軟骨などの組織を形成する細胞に対して、静水圧刺激を与えることで、組織の形成や再生を促進することができます。

血管内皮細胞

血管内皮細胞は、血管の内壁を形成する細胞です。静水圧刺激を与えることで、血管内皮細胞の増殖や分化が促進され、血管壁の形成や修復に関する研究に応用されます。

心筋細胞

心筋細胞は、心臓の筋肉を構成する細胞です。静水圧刺激を与えることで、心筋細胞の収縮力や細胞内カルシウム濃度が変化することがあり、心臓病などの研究に応用されます。

神経細胞

神経細胞は、脳や神経系を構成する細胞です。静水圧刺激を与えることで、神経細胞の形態や機能が変化することがあり、神経学的研究に応用されます。

細胞外マトリックス(ECM)

細胞外マトリックスは、細胞が存在する組織の構成要素の一つで、細胞の成長や移動、細胞間相互作用を調節する役割があります。静水圧刺激を与えることで、細胞外マトリックスの構造や機能が変化することがあり、組織工学や再生医療の研究に応用されます。

静水圧刺激の応用例やアプリケーション例

静水圧刺激はリアルタイムでの細胞観察、細胞形態の研究、再生医療に関わる細胞の研究や、各細胞への静水圧刺激実験、細胞内のシグナル伝達研究、タンパク質発現の研究、遺伝子発現、イオンチャンネル、細胞への短時間・長時間刺激による研究・観察など、さまざまな研究に応用できます。

組織工学や再生医療

静水圧刺激を用いた培養法は、骨や軟骨、血管、神経など、様々な組織の再生や修復に応用されます。例えば、静水圧刺激を与えながら骨細胞を培養することで、骨形成を促進することができます。

細胞の形態変化や細胞外マトリックスの解析

静水圧刺激下で細胞を培養することで、細胞形態や細胞外マトリックスの構造や機能が変化することがあります。これらの変化を解析することで、細胞の機能や相互作用の解明に役立ちます。

生理学的研究

静水圧刺激を用いた培養法は、生理学的研究にも応用されます。例えば、静水圧刺激下で神経細胞を培養することで、神経系の発生や機能解析に役立ちます。

薬剤のスクリーニング

静水圧刺激下で細胞を培養することで、細胞の生理的状態や応答性が変化するため、薬剤のスクリーニングに応用されます。例えば、静水圧刺激下で心筋細胞を培養することで、心臓病の治療に有効な薬剤の開発に役立ちます。

材料研究

静水圧刺激下で材料を評価することで、材料の物性や耐久性などを解析することができます。例えば、静水圧刺激下で材料を検査することで、人工関節や歯科材料などの開発に役立ちます。

メカノカルチャーによる静水圧刺激圧縮

セルスケール社のメカノカルチャーシリーズは、静水圧刺激を与えながらの圧縮培養が可能です。
お使いのパソコンと接続し圧縮培養プロトコルを設定可能で、設定後はパソコンを切り離して、インキュベーターの中に入れてのご使用も可能です
ソフトウェアで、プリロード、ストレッチ、ホールド、リカバー、レストの5フェーズを秒数単位で設定でき、周期的、断続的な圧縮培養プロトコルを指定可能なため、各研究に応じて圧縮パターンを柔軟に設定できます。
このページでは静水圧刺激装置とともに、伸展培養装置や関連する製品もご紹介しています。
​各製品のボタンをクリックして製品詳細をぜひご覧ください。

MCTR - 静水圧圧縮刺激培養装置

MCTR - 流体圧縮刺激培養装置

MCTRは、9個のWellの上に敷かれた薄い膜の上から圧力を与え、Well内のサンプルに圧縮刺激を与えながら、培養ができる装置です。
プレート内に液体を入れ、シリコンシートをかぶせた状態で上から圧縮刺激を与え細胞を培養します。骨細胞や心筋細胞への応用例を豊富に有します。

流体圧縮は、培地を上部まで充填することで達成されます。トップチャンバーを加圧すると、柔軟性のある膜が下向きにたわみ、液体の表面に押し付けられます。

MCTRの特徴

  • 最大9つの培養ウェルに対応した流体圧縮刺激

  • 0.5Hzで500kPaまでの圧力制御負荷

  • ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、Preload, Stretch, Hold, Recover, Restの5フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能

MCTX - 圧縮刺激培養+Force測定

MCTXは、6個のWellにメカニカルな圧力を与えながら培養し、Well内のサンプルのForceを測定できる装置で、骨細胞の培養などに応用されます。

MCTX - 圧縮刺激培養+Force測定

MCTXの特徴

  • 再利用可能なホルダーで6つの培養ウェルを圧縮刺激

  • 2Hzで最大2mmまでの変位制御負荷

  • 分解能1µmの全ウェルでの同時位置測定

  • ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、各フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能

MCB1 - 360度(均等二軸)細胞伸展刺激装置

MCB1は3層の特殊な構造により、360度全方向均等にステージを伸展することが可能な細胞伸展装置です。  
35㎜のステージの周囲には24本の針があり、そこにメンブレン、スキャフォールド、細胞組織などを固定することもでき、様々なタイプのサンプル・細胞に活用できます。また固定されたシリコンなどの薄い膜上に播種した細胞を伸展培養することもできます。

MCB1 - 360度(均等二軸)細胞伸展刺激

MCB1の特徴

  • 20%までの二軸ストレッチ

  • シリコン膜、脱細胞組織、ハイドロゲル、エレクトロスピン材料など幅広い材料に対応

  • PCに依存しない操作性

  • ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、引張、ホールド、リカバーを秒数単位で設定、周期的、断続的な刺激プロトコルを指定可能

MCT6 - シートマテリアル1軸細胞伸展刺激装置

MCT6は、最大幅10㎜、長さ5~55㎜のシート状のマテリアルをグリップで固定し、最大25㎜(装置許容範囲最大80㎜)まで伸展しながら培養することが可能です。  
最大、250N、5Hzの刺激が可能で、プレートがセットされていないため、材料を選んでストレッチすることができ、シート状のマテリアルの他、ファイバー、ハイドロゲル、脱細胞などにも使用頂けます。
プレートの開発や足場・培養材料、スキャフォールドの開発などにも活用できます。

MCT6 - シートマテリアル1軸細胞伸展刺激

MCT6の特徴

  • グリップ幅80mmまでの一軸ストレッチ

  • シリコン膜、脱細胞組織、ハイドロゲル、エレクトロスピン材料など幅広い材料に対応
    PCに依存しない操作性

  • ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、引張、ホールド、リカバーを秒数単位で設定、周期的、断続的な刺激プロトコルを指定可能

MCJ1 - 細胞伸展刺激+張力強度測定

MCJ1は、6個のWellにサンプルを固定し伸展刺激を与えながら、それぞれのWellに設置されたアクチュエーターでシート状のサンプルや組織、足場材などの張力を測定できる装置です。

MCJ1 - 細胞伸展刺激+張力強度測定

MCJ1の特徴

  • 6つの独立プログラムされたテストプロトコル

  • オンボードデータストレージを備えた6つの力/変位データ出力

  • ロードセルオプション 10N、20N、50N、100N

  • 25mmのアクチュエータートラベル、グリップ分離は55mmまで

  • 把持力調整可能なスプリング式試験片グリップ

  • 各ウェルの流体交換用ポート

  • オートクレーブ可能なチャンバー

  • 流体冷却インキュベーター対応設計

  • PCに依存しない操作性

  • ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、各フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能

メカノカルチャー・シリーズ 使用論文一覧

※instrumentの欄をMechanoCulture xxでソートしてください。

メカノカルチャー・シリーズ 仕様

​伸展刺激・圧縮刺激装置
​CellScale・STREX・IonOptix

 オレンジサイエンスでは、3つのメーカーの伸展・圧縮刺激装置を取り扱っております。メーカーそれぞれにユニークな特徴がございますので、お客様のご要望に近い製品をご提供できます。

CellScale/セルスケール社

Mechano Cultureシリーズの機械的刺激培養装置はモデルにより、360度伸展、シリコンチャンバー伸展、マテリアル伸展、流体圧縮、機械的圧縮+データ測定、マテリアル伸展+データ測定が可能です。

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STREX/ストレックス社

​独自のシリコンチャンバーを伸展させることにより、チャンバー上の細胞に伸展刺激を与えることが可能な細胞伸展刺激装置です。顕微鏡搭載モデルは、倒立顕微鏡での伸展細胞の観察も可能です。

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IonOptix/イオンオプティクス社

C-Stretchシステムはシリコンチャンバーを採用した伸展培養装置です。C-Pace EMシステムと使用することにより、伸展刺激と同時に、電気刺激を与えることも可能です。

C-Stretch.jpg

用途別

1軸方向の伸展刺激

2軸方向の伸展刺激

シート状マテリアルの伸展

圧縮・加圧刺激

伸展・圧縮刺激+負荷測定

伸展刺激+電気刺激

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