リピドミクスの脂質前処理を支える窒素エバポレーター
- 6 日前
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脂質抽出後の有機溶媒除去とサンプル濃縮を、穏やかに、効率よく。
Organomation社の窒素エバポレーターは、窒素ガスを試料表面へ吹き付ける「窒素ブローダウン」により、リピドミクスにおける抽出液の濃縮、乾固、溶媒置換をサポートします。
検体数や容器、サンプル量に合わせて、N-EVAP、MICROVAP、MULTIVAPの3製品ラインから選択できます。

リピドミクスとは
リピドミクス(Lipidomics)とは、生体や試料中に存在する脂質の総体である「リピドーム」を網羅的または選択的に解析する研究分野です。
脂質には、脂肪酸、リン脂質、スフィンゴ脂質、トリアシルグリセロール、ステロールなど、構造や物性の異なる多様な分子が含まれます。これらは細胞膜の構成、エネルギーの貯蔵、細胞内シグナル伝達など、さまざまな生理機能に関与しています。
リピドミクスは、がん、糖尿病、肥満、肝疾患、心血管疾患、神経変性疾患などに関連する脂質代謝の理解や、バイオマーカー・治療標的の探索、医薬品開発、食品研究、植物研究などに活用されています。
リピドミクスでは質量分析法が広く用いられており、目的に応じて次のような解析方法が選択されます。
幅広い脂質分子を探索するアンターゲットリピドミクス
特定の脂質分子を高感度に測定するターゲットリピドミクス
LC-MSまたはLC-MS/MSを用いた脂質プロファイリング
GC-MSを用いた脂肪酸・脂肪酸メチルエステル(FAME)分析
抽出液を直接導入するショットガンリピドミクス
組織内の脂質分布を調べる空間リピドミクス
参考論文では、組織、体液、植物、加工食品などから脂質を抽出し、必要に応じて溶媒を蒸発させた後、MSまたはLC-MSで測定する一般的なバルクリピドミクスの流れが解説されています。
リピドミクスでは測定前の脂質抽出・濃縮が重要です
高性能な質量分析計を使用しても、サンプルの採取、保存、抽出、濃縮、再溶解の条件が揃っていなければ、脂質プロファイルの比較や定量に影響する可能性があります。
一般的なバルクリピドミクスでは、次のようなサンプル前処理が行われます。
1.試料の採取・保存
血漿、血清、細胞、組織、植物、食品などの試料を採取し、脂質代謝や酸化が進まないよう、目的に適した条件で保存します。
2.試料の均質化・内部標準の添加
組織などをホモジナイズし、必要に応じて脂質クラスごとの内部標準や酸化防止剤を添加します。内部標準は、抽出効率やイオン化効率の差を補正し、定量性を高めるうえで重要です。
3.脂質の抽出・精製
液液抽出法や固相抽出法を用いて、試料から脂質を分離します。液液抽出では、Folch法やBligh–Dyer法など、クロロホルムやメタノールを使用する方法が知られています。実際の抽出法は、対象となる脂質クラス、試料量、測定装置、ターゲット分析かアンターゲット分析かによって異なります。
4.有機溶媒の除去・サンプル濃縮
抽出液から有機溶媒を除去し、脂質を乾固または所定の容量まで濃縮します。この工程で窒素エバポレーターを使用すると、複数の抽出液へ窒素ガスを安定して供給し、設定した条件で並列処理できます。
5.再溶解
乾固または濃縮した脂質を、LC-MS、GC-MS、ショットガンリピドミクスなど、後工程に適した溶媒へ再溶解します。
6.機器分析・データ解析
LC-MS/MS、GC-MS、SFC-MSなどで脂質を測定し、同定、相対定量または絶対定量を行います。
※すべてのリピドミクスで同じ工程が必要になるわけではありません。空間リピドミクスや直接導入法など、抽出・乾固工程が異なる解析方法もあります。
脂質抽出後の濃縮で、このような課題はありませんか?
抽出後の有機溶媒を1本ずつ手作業で除去している
サンプル数が増えると、窒素吹き付け条件にばらつきが生じる
サンプルごとに初期液量や蒸発終了時間が異なる
多価不飽和脂肪酸や脂質メディエーターなど、酸化しやすい脂質を扱っている
加熱による脂質の分解や変性をできるだけ抑えたい
微量サンプルの飛散や過乾燥を防ぎたい
96ウェルプレートを使用した多検体処理に対応したい
LC-MS/MS測定に合わせて、一定容量へ再溶解したい
研究室内でサンプル濃縮工程を標準化したい
Organomation社の窒素エバポレーターは、これらの課題に対応できるよう、処理本数、容器、ガス流量制御、加熱方式の異なる製品を用意しています。
窒素エバポレーターの原理
窒素エバポレーターは、ニードルまたはガラスピペットから窒素ガスを試料の液面へ吹き付け、溶媒の蒸発を促進する装置です。
液面付近に滞留する溶媒蒸気を窒素ガスで連続的に置換することで、自然蒸発よりも効率よく溶媒を除去できます。必要に応じてウォーターバスやドライブロックによる加熱を組み合わせることも可能です。
窒素は不活性ガスであるため、空気中での乾燥と比較して酸素への曝露を抑えながら処理できる点も、脂質抽出物の濃縮に適しています。
詳しい仕組みは「窒素エバポレーターの原理」のページもご覧ください。
リピドミクス前処理に窒素ブローダウンを使用するメリット
酸化や熱分解のリスク低減をサポート
脂質の中には、酸化や加熱の影響を受けやすい分子が含まれます。
窒素雰囲気と穏やかな温度条件を組み合わせることで、空気中での加熱乾燥と比較して、酸化や熱分解のリスクを抑えた溶媒除去が可能になります。
ただし、窒素ブローダウンだけで酸化を完全に防止できるわけではありません。試料の低温保存、遮光、酸化防止剤の使用、処理時間の短縮などを含め、ワークフロー全体を管理することが重要です。
複数サンプルの並列処理
複数の抽出液へ同時に窒素ガスを供給できるため、手作業による1本ずつの濃縮を削減できます。
処理本数に応じて、少数検体、96ウェルプレート、中~大規模バッチに対応するモデルを選択できます。
ガス流量と温度条件の管理
モデルに応じてガス流量、温度、処理時間を調整できます。N-EVAPでは、サンプルポジションごとにガス流量とニードル位置を調整できます。
サンプル量や蒸発速度が異なる場合でも、それぞれの状態を確認しながら処理できます。
目視による終点確認
窒素ブローダウンではサンプルの状態を確認しながら濃縮できるため、完全乾固または所定容量までの濃縮など、プロトコルに合わせて終点を管理できます。
多様な容器・処理量に対応
試験管、バイアル、ビーカー、96ウェルマイクロプレートなどに対応する製品があり、初期液量や1バッチ当たりの検体数に合わせた構成を選べます。
Organomation社の窒素エバポレーター
Organomation社は、窒素ブローダウン技術を中心としたラボ用エバポレーターを提供しています。
リピドミクスのサンプル前処理には、N-EVAP、MICROVAP、MULTIVAPの3製品ラインから、容器、サンプル数、液量、濃縮条件に適したモデルを選択できます。
※対応本数、容器サイズ、温度範囲、加熱方式、デジタル制御の有無はモデルによって異なります。
N-EVAP|条件の異なるサンプルを柔軟に濃縮

N-EVAPは、サンプルごとにガス流量を調整できる窒素エバポレーターです。
各ポジションに個別のニードルバルブを備えているため、初期液量、溶媒、蒸発速度、終了時間が異なるサンプルを同じバッチで処理できます。
標準的なN-EVAPは外径10~30mmのチューブに対応し、スプリング式サンプルホルダーにより、複数サイズの容器を同時に保持できます。モデルやオプションにより、さらに小型または大型の容器にも対応可能です。
N-EVAPが適したケース
サンプルごとに初期液量が異なる
複数サイズのチューブやバイアルを使用する
サンプルごとに蒸発終点を確認したい
少数~中規模の検体を処理する
プロトコルの検討や条件変更が多い
多様な研究テーマで装置を共用する
MICROVAP|96ウェルプレートと微量サンプルに対応

MICROVAPは、マイクロプレートや少量の試験管サンプル向けに設計されたコンパクトな窒素エバポレーターです。
96ウェルマイクロプレートに窒素ガスを供給できるシングルプレートモデルとトリプルプレートモデルのほか、15本または24本の試験管に対応するモデルがあります。
ドライブロックによって容器を加熱しながら、共通マニホールドから各ウェルまたは試験管へ窒素ガスを供給します。加熱を必要としない用途向けの構成も選択できます。
MICROVAPが適したケース
96ウェルプレートで脂質抽出物を処理する
微量サンプルを多数扱う
小さな設置面積を重視する
同一条件でサンプルを一括処理する
創薬スクリーニングや多検体分析を行う
再溶解前のプレート内乾固を効率化したい
MULTIVAP|中~大規模バッチの脂質抽出物を一括濃縮

MULTIVAPは、多数の類似サンプルを同じ条件で濃縮する用途に適した窒素エバポレーターです。
50mLビーカー9個に対応するモデルから、最大100本の少量試料を処理できるモデルまで用意されています。窒素分配マニホールドを一括で昇降できるため、複数サンプルの蒸発を同時に開始・停止できます。
同じ種類の容器と一定の前処理条件を使用する研究室では、バッチ処理の効率化と条件統一に役立ちます。
MULTIVAPが適したケース
1回に多数の抽出液を処理する
同じサイズの試験管を使用する
類似した液量と溶媒のサンプルを扱う
バッチ間の処理条件を揃えたい
植物、食品、環境、医薬品などの多検体分析を行う
手作業による濃縮時間を削減したい
目的別・窒素エバポレーターの選び方
異なるサイズの容器を同時に使用したい
サンプルごとに容器、液量、蒸発速度が異なる場合は、個別流量制御が可能なN-EVAPが適しています。
96ウェルプレートを使用したい
マイクロプレート内で脂質抽出物を濃縮または乾固する場合は、MICROVAPをご検討ください。
50検体以上を一括処理したい
同じ容器と条件で多数のサンプルを処理する場合は、MULTIVAPが候補となります。
酸化・熱分解しやすい脂質を扱いたい
低温または非加熱での窒素ブローダウンを検討します。対象脂質と使用溶媒に合わせて、温度、流量、処理時間を事前に検証することが重要です。
完全乾固ではなく、所定容量まで濃縮したい
サンプルを目視しながら個別に流量を調整できるN-EVAPが適しています。過乾燥を避けたい場合にも、サンプルごとの終点を管理しやすい構成です。
リピドミクスにおける主な活用分野
疾患・バイオマーカー研究
血漿、血清、細胞、組織などの脂質プロファイルを比較し、代謝疾患、がん、心血管疾患、肝疾患、神経疾患などに関連する脂質変化を探索します。
医薬品・創薬研究
薬剤投与による脂質代謝の変化、治療標的候補、薬効・毒性評価、脂質を利用したドラッグデリバリーシステムなどの研究に利用されます。
脂肪酸・FAME分析
脂肪酸を脂肪酸メチルエステルへ誘導体化し、GCまたはGC-MSで測定します。食品、植物油、飼料、化粧品、医薬品、バイオ燃料などの研究・品質評価に利用されています。
食品・栄養研究
食品中の脂肪酸組成、リン脂質、トリアシルグリセロールなどを分析し、栄養特性、品質、保存による変化などを評価します。
植物・農業研究
植物組織の脂質組成や脂肪滴を分析し、乾燥、温度、栄養条件などの環境ストレスに対する応答を研究します。
脂質メディエーター研究
プロスタグランジン、ロイコトリエン、レゾルビンなどの低濃度脂質を分析します。これらの脂質は酸化や分解の影響を受けやすいため、抽出から濃縮までの条件管理が特に重要です。
LC-MS/MSを用いたリピドミクス前処理
LC-MS/MSによる脂質分析では、液液抽出または固相抽出で得られた脂質画分から溶媒を除去し、移動相や注入溶媒に適した組成へ再溶解する工程が用いられます。
窒素ブローダウンは、次の目的で利用できます。
抽出溶媒の除去
微量脂質の濃縮
LC-MSに適した溶媒への置換
複数サンプルの並列処理
再溶解容量の統一
残留溶媒による測定への影響の低減
ターゲットリピドミクス、アンターゲットリピドミクスのいずれの場合も、分析対象とプロトコルに合わせて乾固条件を設定する必要があります。
GC-MS・FAME分析の前処理
GC-MSを用いる脂肪酸分析では、脂質抽出後に脂肪酸をFAMEへ変換する誘導体化処理が広く行われています。
プロトコルによっては、誘導体化の前後に溶媒除去や溶媒置換が必要です。窒素エバポレーターを使用することで、複数サンプルの抽出液やFAME溶液を同じ条件で濃縮できます。
FAME分析は次の分野で活用されています。
食品・食用油脂の脂肪酸組成評価
栄養研究
植物・微生物の脂質研究
医薬品・化粧品原料の評価
バイオディーゼルの品質評価
環境試料の脂質・脂肪酸分析
Organomation社の公式サイトでも、リピドミクスとFAME分析における窒素エバポレーターの活用が紹介されています。Lipidomics Sample Preparation
脂質濃縮の再現性を高めるためのポイント
内部標準を適切な段階で添加する
抽出効率を補正する場合は、原則として抽出前に内部標準を添加します。使用する脂質クラスや定量レベルに応じて、内部標準の種類と数を設定します。
ガス流量とニードル位置を統一する
強すぎる窒素流量は、微量サンプルの飛散や容器壁面への付着につながる可能性があります。液量に合わせて流量を調整し、ニードルの高さを一定にします。
温度条件を記録する
高温にすれば必ずよいわけではありません。溶媒の沸点、対象脂質の安定性、初期液量を考慮して条件を設定します。
乾固の終点を定義する
完全乾固するのか、一定容量まで濃縮するのかをプロトコルで明確にします。乾固後に再溶解しにくい脂質を扱う場合は、過乾燥にも注意が必要です。
酸化対策を前処理全体で行う
窒素ブローダウンに加えて、低温保存、遮光、酸化防止剤、処理時間の短縮などを検討します。
ブランク試料とQC試料を設定する
抽出ブランク、溶媒ブランク、プールQCなどを使用し、コンタミネーションやバッチ間変動を確認します。
導入前に確認したい項目
最適な窒素エバポレーターを選定するため、次の情報をご確認ください。
血漿、血清、組織、細胞、植物、食品などの試料種類
対象となる脂質クラス
使用する抽出法と溶媒
サンプルの初期液量と目標液量
完全乾固または濃縮のどちらが必要か
1バッチ当たりの検体数
使用するチューブ、バイアル、プレートの種類と寸法
許容できる加熱温度
サンプルごとの個別流量制御の必要性
研究室の窒素供給設備
将来的な検体数の増加予定
オレンジサイエンスでは、これらの条件をもとに、N-EVAP、MICROVAP、MULTIVAPから適したモデルと構成をご提案します。
よくある質問
リピドミクスとは何ですか?
生体や試料に含まれる脂質の総体であるリピドームを解析する研究分野です。LC-MS/MSやGC-MSなどを用いて、脂質分子の同定、プロファイリング、定量を行います。
すべてのリピドミクスで窒素エバポレーターが必要ですか?
いいえ。必要性は抽出法と測定法によって異なります。液液抽出や固相抽出後に有機溶媒を除去・置換するワークフローでは、窒素エバポレーターが有効です。空間リピドミクスなど、異なる前処理を使用する解析もあります。
窒素ブローダウンで脂質の酸化を完全に防げますか?
完全に防止できるわけではありません。ただし、空気中での乾燥と比較して酸素への曝露を抑えられるため、酸化リスクの低減に役立ちます。低温保存、遮光、酸化防止剤なども併用してください。
熱に弱い脂質にも使用できますか?
対象脂質に応じて、低温加熱または非加熱での窒素ブローダウンを検討できます。製品ラインには非加熱構成もあります。適切な温度は溶媒と分析対象によって異なるため、事前の条件検討が必要です。
完全に乾固させる必要がありますか?
必ずしも必要ではありません。完全乾固、一定容量までの濃縮、別溶媒への置換など、後工程に合わせて終点を設定します。過乾燥によって再溶解が難しくなる場合もあります。
LC-MSとGC-MSの両方に使用できますか?
はい。LC-MS前の抽出溶媒除去・再溶解や、GC-MS・FAME分析における乾固・溶媒置換などに使用できます。ただし、具体的な条件は各分析プロトコルに従ってください。
96ウェルプレートにはどの製品が適していますか?
96ウェルマイクロプレートを使用する場合はMICROVAPが適しています。プレート1枚用と3枚用のモデルがあります。
N-EVAPとMULTIVAPの違いは何ですか?
N-EVAPは、各サンプルのガス流量を個別に調整でき、異なるサイズや条件のサンプルを同時に処理できます。MULTIVAPは、同じ容器と条件のサンプルを多数まとめて処理する用途に適しています。
ロータリーエバポレーターとの違いは何ですか?
ロータリーエバポレーターは比較的大容量の溶媒除去に適しています。窒素エバポレーターは、複数の小容量サンプルを個別の容器内で濃縮する用途に適しています。大容量抽出液をロータリーエバポレーターで予備濃縮し、最後の少量を窒素ブローダウンで処理する方法もあります。
リピドミクスの脂質抽出・濃縮を効率化
リピドミクスでは、質量分析計による測定だけでなく、その前段階となる脂質抽出、溶媒除去、濃縮、再溶解の条件管理が重要です。
Organomation社の窒素エバポレーターは、少数検体から96ウェルプレート、大規模バッチまで、研究室の処理量とワークフローに合わせた構成を選択できます。
「どのモデルが適しているかわからない」「現在の手作業による窒素濃縮を効率化したい」といった場合も、お気軽にオレンジサイエンスへお問い合わせください。
参考文献・関連情報
Organomation社 窒素エバポレーターの主な製品ライン
N-EVAP
N-EVAPは、小規模から中規模のサンプル数を扱う研究室・検査室に適した窒素エバポレーターです。各サンプル位置でガス流量を調整できるモデルもあり、サンプル量や容器サイズが異なる場合にも柔軟に対応しやすい点が特長です。

MULTIVAP
MULTIVAPは、多検体処理に適した窒素エバポレーターです。同一条件で多数のサンプルを並行処理したい検査機関、研究所に適しています。ルーチンで多数検体を扱うワークフローに有効です。

MICROVAP
MICROVAPは、小容量サンプルやマイクロプレート形式の処理に対応するコンパクトな窒素エバポレーターです。少量サンプルの濃縮や、研究用途での小スケール前処理に適しています。

Organomation - 窒素エバポレーター
オレンジサイエンスでは世界的に有名なOrganomation社の窒素エバポレーターを取り扱っています。Organomation社は、窒素ブローダウン技術を中心とした窒素エバポレーター・窒素ブローダウン蒸発装置を専門としている機器開発メーカーです。1959年に設立され、60年以上にわたり、世界中の研究・試験機関向けに窒素エバポレーター・窒素蒸発装置を提供してきました。Organomation社の高品質な窒素エバポレーター装置は、世界中で信頼性が高く、メンテナンスの手間がかからない実験装置であると高く評価されています。また、耐用年数が長いため、今日の多忙な研究室にとって、非常に費用対効果の高いソリューションとなっています。
窒素エバポレーターとは、分析用サンプルの前処理によく使用される実験装置です。環境試験、農業、食品・飲料、医薬、品質保証、科学捜査、オイル・グリースなど、様々な業界で使用されており、質量分析を行う前にサンプルを乾燥・濃縮するために使用されます。試料は窒素エバポレーターに充填され、窒素ブローダウンが、時には熱と併用されながら、試料の水分を除去するために使用されます。
Organomationの卓上型窒素エバポレーターは、窒素ガスの穏やかな流れをサンプルに直接供給します。一定のガス流は、蒸気が飽和した空気層を押し流し、蒸気が液体に戻るのを防ぎます。これにより、過剰な溶媒蒸気の量が減少し、圧力が下がり、サンプルがより速く蒸発することが可能になります。これは、少量、揮発性、半揮発性のサンプルには特に重要です。
窒素ブローダウンは消耗品を必要としない方法であり、サンプルに非常に優しく、代替オプションと比較して非常に手頃な価格です。
Organomationは、N-EVAPライン、MULTIVAPライン、MICROVAPラインの3つの主要製品ラインを通じて、少量サンプル用の窒素ブローダウン蒸発器の多くのバリエーションを提供しています。
N-EVAP
N-EVAPは調整可能な窒素ブローダウン技術を利用しており、窒素ガスを無駄にすることなく、サンプルへの窒素フローを完全にコントロールできます。柔軟性がN-EVAPの特徴です。他の少量サンプルエバポレーターと異なり、N-EVAPは、別々のヒートブロックを必要とせず、一度に数種類のバイアルやチューブを保持することができます。非加熱モデルだけでなく、ウォーターバスまたはドライビーズ付きの加熱モデルもあります。

MULTIVAP
MULTIVAPは、一度に多数のサンプルのバッチ濃縮に一貫性を提供します。チューブは、加熱された特注アルミブロックまたはウォーターバスに設置されます。窒素分配マニホールドはユニットとして昇降し、1回の動作で全サンプルへの蒸発を開始または停止します。

MICROVAP
MICROVAPは、96ウェルマイクロプレートや小ロット用に設計されたコンパクトな装置で、ライフサイエンスや製薬業界のお客様によく使用されています。サンプルは、サンプルチューブに合うように特注加工された加熱アルミニウムブロックに収まります。常温での蒸発用に、加熱なしのモデルもあります。

窒素ブローダウン蒸発器は、少量のサンプルや大量のサンプルの蒸発、複数のサンプル前処理方法の同時実行を可能にすることで、ラボに利益をもたらします。
動画
時間計算・溶媒除去方法判別ツール
Organomation社の日本語Webサイトでは溶媒除去に関する時間計算ツール・溶媒除去方法判別ツールを用意しています。手作業で処理していた濃縮除去の時間を濃縮器を使うことでどれだけ時間短縮できるか、ラボに必要な溶媒除去方法、濃縮器が必要か、など、いくつかの質問に答えるだけですぐに回答が得られます。ぜひご活用ください。
Organomationの窒素エバポレーターの違い
Organomation社は、窒素ブローダウン技術を中心としたラボ用窒素エバポレーターのメーカーです。N-EVAP、MICROVAP、MULTIVAPの3つの主要なブローダウン製品ラインがあります。各製品ラインは、容量、制御、機能が異なるため、さまざまな用途に対応できるように設計されています。ここでは、各エバポレーターの主な違いを説明し、どのエバポレーターがお客様のラボに最適かを判断できるようにします。

加熱媒体

全てのエバポレーターには加熱機能が標準装備されていますが、小さなサンプルや熱に敏感なサンプルを扱う場合は、非加熱タイプも選択できます。加熱オプションが必要な場合は、各ユニットで使用される加熱媒体を知ることが重要です。
N-EVAP
全ユニットにウォーターバスが標準装備されています。6、12、24ポジションのN-EVAPには、アルミビーズまたはガラスビーズを使用したドライバスのオプションがあります。ウォーターバスとドライバスの違いと、それぞれの利点を生かすアプリケーションについてご覧ください。
MICROVAP
すべてのユニットがアルミニウム製ヒートブロックを使用しています。15ポジションと24ポジションのMICROVAPには、チューブやバイアル用の特注ドリル付きアルミインサートも付属しています。
MULTIVAP
64ポジションと100ポジションのMULTIVAPを除き、カスタムドリルアルミヒートブロックを使用しています。
サンプルサイズと容量

各ユニットには、対応可能なサンプルサイズの範囲があります。この範囲内で複数のチューブサイズを保持できるように設計されているエバポレーターもあれば、1つのチューブサイズしか保持できないように設計されているエバポレーターもあります。エバポレーターを選択する前に、ご希望のチューブサイズと容量を把握しておくことが重要です。
N-EVAP
すべてのN-EVAPエバポレーターは、外径10~30mmのチューブに対応します。これらの装置には、一度に複数のサイズのチューブを保持できるユニークなスプリングアシストサンプルホルダーがあります。6~45のサンプルポジションのオプションがあり、小規模から中規模のバッチを扱う場合に最適です。
MICROVAP
マイクロプレートと小バッチの試験管の両方に対応します。マイクロプレート用には、96ウェルプレート1枚または3枚を収納できるシングルプレートユニットとトリプルプレートユニットがあります。試験管用には、小~中サイズの試験管用に設計された15ポジションまたは24ポジションのモデルがあります。試験管用MICROVAPは、1~2本の試験管サイズに最適です。試験管MICROVAPには、1本の試験管サイズに適合するよう特注で穴あけされたインサートが1セット標準装備されています。2本目のチューブサイズを使用する場合は、2セット目のカスタムインサートを購入できます。
MULTIVAP
MULTIVAPユニットは、1-2サイズのチューブのみを扱う場合に理想的ですが、装置モデルにより幅広いチューブサイズ(外径10-30 mm)に対応できます。ドライブロックモデルには1本のチューブサイズに適合する特注の穴あきヒートブロックが付属し、ウォーターバスモデルには1本のチューブサイズに適合する特注の穴あきラックが付属します。2本目のチューブサイズを使用する場合は、2本目のヒートブロックまたはラックを購入することができます。
ガス流量制御

窒素エバポレーターにとって、ガス制御は非常に重要な機能です。エンドユーザーによっては、各サンプル位置でのガス流量制御が便利な場合もあれば、全サンプル位置のガス流量を一度に調整したい場合もあります。
N-EVAP
各サンプルポジションには個別のバルブがあり、サンプルのサイズや量に応じてガスの流量を調整できます。また、異なるチューブの高さに対応できるよう、各ニードルの位置を調整できます。
MICROVAP・MULTIVAP
これらのブローダウンユニットはどちらも、すべてのニードルが1つのマニホールドに接続されている同じ設計です。これにより、1つのスイッチですべてのサンプル位置へのガスフローを開始および停止できます。エバポレーションセッション中にすべてのサンプルポジションを使用しない場合、MULTIVAPにはマニホールドにトグルスイッチがあり、各列へのガスフローを停止して窒素ガスを節約することができます。
デジタル制御

タイマーや温度制御システムなどのデジタル制御を搭載することで、エンドユーザーはより柔軟で高度な設定を行うことができますが、エンドユーザーの中には、必要な機能と設定だけが搭載された、よりシンプルな機器を好む方もいます。
N-EVAP
6、12、24ポジションのN-EVAPにはデジタル制御装置は付属していませんが、34および45ポジションのN-EVAPには、温度制御装置とガスおよびヒート用のタイマーが付いたサイドコントロールボックスが付属しています。
MICROVAP
すべてのMICROVAPユニットには、LEDディスプレイ付きデジタル温度コントローラーがバスケースに直接組み込まれています。
MULTIVAP
すべてのMULTIVAPユニットには、デジタル温度コントローラーとガスおよびヒート用タイマーがバスケースに直接組み込まれています。
Organomation社の窒素エバポレーターはすべて、エンドユーザーを念頭に置いてシンプルに設計されています。各製品ラインは、ブローダウン技術という基本的な要素は同じですが、わずかに異なるニーズや用途に対応するためのものです。
PFASサンプル前処理におけるOrganomationエバポレーターの活用

サンプル濃縮の役割
PFASサンプル前処理における極めて重要な段階の一つは、サンプルの濃縮です。濃縮は、しばしば微量レベルで存在するPFASの検出を強化するために不可欠です。特に、水、土壌、生物学的サンプルのような複雑なマトリクスを扱う場合、効果的な濃縮方法は極めて重要です。
Organomationエバポレーター: EPAメソッド533、537.1、および1633のソリューション
Organomationエバポレーターは、EPAメソッド533、537.1、および1633に合わせてPFASサンプルを濃縮するための効率的で信頼性の高いソリューションを提供します。これらのメソッドは、さまざまなマトリックス中のPFAS分析の規制枠組みに不可欠であり、効果的なサンプル濃縮は重要な要件です。
EPAメソッド533
EPAメソッド533は、飲料水中の短鎖PFASの分析に重点を置いています。このメソッドでは、低レベルのPFASを検出するために水サンプルを濃縮する必要があります。Organomationのエバポレーター、特にN-EVAP窒素エバポレーターは、水性サンプルの一貫した迅速な蒸発を提供するように設計されています。穏やかな窒素の流れと制御された加熱を利用することで、これらの蒸発器は、揮発性PFAS化合物の損失を引き起こすことなく、サンプル量を効率的に減少させます。
EPAメソッド537.1
EPAメソッド537.1は、メソッド533と比較して、より広範な化合物を含む飲料水中のPFASを測定することを目的としています。このメソッドでは、その感度要件を満たすための正確な濃縮技術の必要性も強調されています。Organomationのエバポレーターは、調製プロセス全体を通してPFASの完全性と濃度を維持するために重要な、均一なサンプル減少を保証します。調整可能な窒素流量と温度制御機能は、さまざまなサンプルサイズと種類を扱うのに特に有益です。
EPAメソッド1633
EPAメソッド1633は、廃水、地表水、バイオソリッド、魚組織など、水以外のマトリックスにおけるPFAS分析に対応しています。これらのサンプルの複雑さを考えると、効果的な濃縮がさらに重要になります。OrganomationのMULTIVAPエバポレーターは、大量のサンプルや複数のサンプルを同時に取り扱うのに理想的です。これらのエバポレーターは、メソッド1633に規定された必要な検出下限を達成するために不可欠な、制御された効率的な蒸発を提供することにより、複雑な環境サンプルの濃縮を容易にします。
NITRO-GEN™ 窒素発生装置
NITRO-GEN™は、既存の圧縮空気供給と組み合わせて高純度窒素をオンデマンドで生成する窒素発生装置です。
ガスボンベや液体窒素デュワーへの依存を減らし、窒素エバポレーター運用に必要な安定した窒素供給を支援します。

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