セルストレッチャー
セルストレッチャーとは
セルストレッチャー(Cell Stretcher)とは、生体サンプルである細胞や組織を伸張するために使用される装置です。セルストレッチャーで生体サンプルを伸張させることで、細胞や組織の力学的性質や生理学的反応を調べることができます。
細胞や組織は、身体内で多様な力学的ストレスにさらされるため、セルストレッチャーは生体力学の研究において重要なツールとなっています。また、細胞や組織の応答を調べることで、細胞や組織の疾患や治療法の開発にも役立てられています。
また、複数のストレッチャーを組み合わせたり、自動化されたストレッチングプロトコルを設定することができるストレッチャーシステムもあります。
セルストレッチャーを使用するメリット
細胞や組織の力学的性質を研究できる
セルストレッチャーを使用することで、細胞や組織の力学的性質を研究することができます。細胞や組織は、外力や変形に敏感に反応するため、ストレッチャーを使用して伸張させることで、それらの反応を調べることができます。これにより、細胞や組織の機能や疾患のメカニズムを理解することができます。
生理学的な研究に適している
セルストレッチャーは、生体内での細胞や組織の力学的な状態に近い環境を再現することができます。そのため、セルストレッチャーを使用することで、生体内での細胞や組織の動きや反応を模倣することができます。これにより、生理学的な研究に適した環境を作り出すことができます。
実験の再現性が高い
セルストレッチャーは、電子制御などにより正確にストレッチングをコントロールできます。そのため、実験の再現性が高く結果の信頼性が向上します。また、自動化されたストレッチングプロトコルを設定することができるため、繰り返し実験を行う場合にも効率的に実験を進めることができます。
多様なアプリケーションがある
セルストレッチャーは、細胞や組織の研究だけでなく、創傷治療や再生医療、医療材料の開発など、様々な分野で使用されています。そのため、セルストレッチャーを使用することで、幅広いアプリケーションに対応することができます。
セルストレッチャーのアプリケーション例
セルストレッチャーは、細胞や組織の力学的性質を研究するだけでなく、様々なアプリケーションに利用されています。
再生医療
セルストレッチャーを使用して、幹細胞や組織工学的な方法で作製した組織を伸張させることで、より高度な機能を持つ組織を作り出すことができます。これにより、再生医療の分野において、より高度な治療法の開発が可能になります。
創傷治療
セルストレッチャーを使用して、創傷部位の細胞を伸張させることで、細胞の増殖や分化を促進することができます。これにより、創傷治療の効果を確認することができます。
医療材料の開発
セルストレッチャーを使用して、細胞が伸張する環境下で、医療材料の効果を評価することができます。例えば、人工関節や人工心臓などの医療材料を、細胞が伸張する環境下でテストすることができます。
神経学研究
セルストレッチャーを使用して、神経細胞を伸張させることで、神経系の発生や機能に関する研究を進めることができます。また、神経細胞が伸張する環境下で、神経障害や脳損傷などの研究も行うことができます。
循環器学研究
セルストレッチャーを使用して、心臓や血管の細胞を伸張させることで、循環器系の研究を進めることができます。例えば、心臓筋細胞が伸張する環境下で、心臓疾患のメカニズムを解明することができます。
セルストレッチャーが活用できる細胞や生体サンプル例
セルストレッチャーは、様々な細胞や生体サンプルに対して活用できます。以下に、セルストレッチャーが活用できる細胞や生体サンプルの例をいくつか紹介します。
線維芽細胞
線維芽細胞は、組織修復や再生に関与する細胞であり、セルストレッチャーを使用して、細胞増殖や分化を誘導する研究が行われています。
幹細胞
幹細胞は、再生医療や組織工学などの分野で注目されている細胞です。セルストレッチャーを使用して、幹細胞の増殖や分化を制御する研究が行われています。
筋肉細胞
セルストレッチャーを使用して、筋肉の収縮や弛緩に関与する分子機構の解明や、筋肉の疾患メカニズムの研究が行われています。
神経細胞
神経細胞はセルストレッチャーによって神経系の発生や機能に関する研究が行われています。また、神経細胞が伸張する環境下で、神経障害や脳損傷などの研究も行うことができます。
血管内皮細胞
血管内皮細胞は、血管内膜に存在する細胞であり、血管壁の構成や機能に関わっています。セルストレッチャーを使用して、血管内皮細胞が伸張する環境下で、血管機能の研究が行われています。
セルストレッチャー
STREX・CellScale・IonOptix
オレンジサイエンスではセルストレッチャーをアプリケーションに応じてご用意しております。1軸方向の伸展刺激、2軸方向の伸展刺激、3D組織伸展刺激、シート状マテリアルの伸展、伸展刺激+電気刺激、伸展・圧縮刺激+負荷測定など、多様な伸展刺激装置を研究用途に合わせてご使用できます。
STREX/ストレックス社
独自のシリコンチャンバーを伸展させることにより、チャンバー上の細胞に伸展刺激を与えることが可能な細胞伸展刺激装置です。顕微鏡搭載モデルは、倒立顕微鏡での伸展細胞の観察も可能です。

CellScale/セルスケール社
Mechano Cultureシリーズの機械的刺激培養装置はモデルにより、360度伸展、シリコンチャンバー伸展、マテリアル伸展、流体圧縮、機械的圧縮+データ測定、マテリアル伸展+データ測定が可能です。

IonOptix/イオンオプティクス社
C-Stretchシステムはシリコンチャンバーを採用した伸展培養装置です。C-Pace EMシステムと使用することにより、伸展刺激と同時に、電気刺激を与えることも可能です。

用途別
1軸方向の伸展刺激
2軸方向の伸展刺激
3D組織伸展刺激
シート状マテリアルの伸展
圧縮・加圧刺激
伸展・圧縮刺激+負荷測定
伸展刺激+電気刺激
細胞伸展刺激システム - STREX
In-Vitro 培養細胞の機械的伸展刺激
専門的な伸展装置を用いての細胞伸展・物理状態のシミュレート
生きている細胞はダイナミックな物理学的な環境に存在し、様々な機械的な刺激により変化します。
例えば、心筋細胞、上皮細胞、平滑筋細胞それに骨細胞等の細胞は、常に伸展を行っています。
細胞は、機械的受容体と呼ばれる受容体とチャンネルを通して、その機械的環境を把握しており、接着、増殖、運動、形態または人工物の変化による刺激に反応します。しかしながら、自然下でこれらの刺激に取って代わる物が試験管内分析にはありませんが、STREX社製の細胞伸展装置は、特殊なPDMSストレッチチャンバーに細胞を接着させ、それを伸展させることにより、培養細胞に機械的に刺激を加える事ができます。STREXでは、生産性の高い長期間の伸展刺激モデルと、倒立顕微鏡にセットして使用できる生細胞イメージングモデルがあります。
自動伸展刺激装置
手動伸展刺激装置
一軸伸展刺激システム
二軸性伸展刺激装置
伸展刺激装置 - メカノカルチャー
セルスケール社のメカノカルチャーシリーズを使えば、伸展刺激を与えながらの細胞培養が可能です。
お使いのパソコンと接続し伸展刺激プロトコルを設定可能で、設定後はパソコンを切り離して、インキュベーターの中に入れてのご使用も可能です
ソフトウェアで、引張、ホールド、リカバーを秒数単位で設定でき、周期的、断続的な伸展刺激プロトコルを指定可能なため、各研究に応じてストレッチパターンを柔軟に設定できます。
各製品のボタンをクリックして製品詳細をご覧ください。
MCB1 - 360度(均等二軸)細胞伸展刺激装置
MCB1は3層の特殊な構造により、360度全方向均等にステージを伸展することが可能な細胞伸展装置です。
35㎜のステージの周囲には24本の針があり、そこにメンブレン、スキャフォールド、細胞組織などを固定することもでき、様々なタイプのサンプル・細胞に活用できます。また固定されたシリコンなどの薄い膜上に播種した細胞を伸展培養することもできます。

MCB1の特徴
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20%までの二軸ストレッチ
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シリコン膜、脱細胞組織、ハイドロゲル、エレクトロスピン材料など幅広い材料に対応
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PCに依存しない操作性
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ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、引張、ホールド、リカバーを秒数単位で設定、周期的、断続的な刺激プロトコルを指定可能
MCT6 - シートマテリアル1軸細胞伸展刺激装置
MCT6は、最大幅10㎜、長さ5~55㎜のシート状のマテリアルをグリップで固定し、最大25㎜(装置許容範囲最大80㎜)まで伸展しながら培養することが可能です。
最大、250N、5Hzの刺激が可能で、プレートがセットされていないため、材料を選んでストレッチすることができ、シート状のマテリアルの他、ファイバー、ハイドロゲル、脱細胞などにも使用頂けます。
プレートの開発や足場・培養材料、スキャフォールドの開発などにも活用できます。

MCT6の特徴
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グリップ幅80mmまでの一軸ストレッチ
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シリコン膜、脱細胞組織、ハイドロゲル、エレクトロスピン材料など幅広い材料に対応
PCに依存しない操作性 -
ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、引張、ホールド、リカバーを秒数単位で設定、周期的、断続的な刺激プロトコルを指定可能
MCTR - 流体圧縮刺激培養装置
MCTRは、9個のWellの上に敷かれた薄い膜の上から圧力を与え、Well内のサンプルに圧縮刺激を与えながら、培養ができる装置です。
プレート内に液体を入れ、シリコンシートをかぶせた状態で上から圧縮刺激を与え細胞を培養します。骨細胞や心筋細胞への応用例を豊富に有します。

流体圧縮は、培地を上部まで充填することで達成されます。トップチャンバーを加圧すると、柔軟性のある膜が下向きにたわみ、液体の表面に押し付けられます。
MCTRの特徴
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最大9つの培養ウェルに対応した流体圧縮刺激
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0.5Hzで500kPaまでの圧力制御負荷
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ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、Preload, Stretch, Hold, Recover, Restの5フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能
MCTX - 圧縮刺激培養+Force測定
MCTXは、6個のWellにメカニカルな圧力を与えながら培養し、Well内のサンプルのForceを測定できる装置で、骨細胞の培養などに応用されます。

MCTXの特徴
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再利用可能なホルダーで6つの培養ウェルを圧縮刺激
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2Hzで最大2mmまでの変位制御負荷
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分解能1µmの全ウェルでの同時位置測定
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ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、各フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能
MCJ1 - 細胞伸展刺激+張力強度測定
MCJ1は、6個のWellにサンプルを固定し伸展刺激を与えながら、それぞれのWellに設置されたアクチュエーターでシート状のサンプルや組織、足場材などの張力を測定できる装置です。

MCJ1の特徴
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6つの独立プログラムされたテストプロトコル
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オンボードデータストレージを備えた6つの力/変位データ出力
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ロードセルオプション 10N、20N、50N、100N
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25mmのアクチュエータートラベル、グリップ分離は55mmまで
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把持力調整可能なスプリング式試験片グリップ
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各ウェルの流体交換用ポート
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オートクレーブ可能なチャンバー
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流体冷却インキュベーター対応設計
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PCに依存しない操作性
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ユーザーフレンドリーなソフトウェアで、各フェーズを秒数単位で設定、周期的、断続的な圧縮プロトコルを指定可能
メカノカルチャー・シリーズ 使用論文一覧
※instrumentの欄をMechanoCulture xxでソートしてください。