top of page

骨は身体の構造と支持を提供し、内臓を保護し、運動を可能にします。骨組織切片は、骨粗鬆症や骨がんなどの骨の病気や障害を研究したり、骨の発生や成長を理解するために使用されます。しかし、骨組織は石灰化しているため、顕微鏡分析用の薄い組織切片を得ることが困難です。組織を切片にするためには、脱灰が必要です。脱灰済みの骨組織は通常、ビブラトームなどを使用して4-10 μmの厚さに薄切し観察します。

骨の組織切片を研究で使用する目的

骨組織切片は、骨の構造や機能、細胞レベルでの変化を詳細に観察するために研究で使用されます。具体的な目的は以下の通りです。

骨の構造解析

  • 骨組織の全体的な構造や形態を把握するために使用します。特に、骨の皮質骨(硬い外層)と海綿骨(内側の多孔質の骨)を観察することで、骨の組織的な特徴を理解できます。

骨の発生と成長の研究

  • 骨が発生し成長する過程で、骨芽細胞(骨を作る細胞)や破骨細胞(骨を分解する細胞)の活動を観察できます。これにより、骨の形成と再生のメカニズムを解明し、発育異常や成長障害の理解に貢献します。

骨疾患の理解

  • 骨粗鬆症、骨軟化症、関節リウマチなど、骨や関節に関連する疾患の研究で使用されます。病気による骨密度の低下や骨構造の変化、細胞の異常な働きを確認することで、病因の解明や治療法の開発に役立ちます。

骨のリモデリングと再生研究

  • 骨は日常的に破骨細胞による分解と骨芽細胞による新生のリモデリングが行われています。切片を用いてこれらの細胞の分布や働き具合を観察することで、骨の再生や修復の過程を理解します。

  • 骨折後の修復過程や骨移植の成功度を評価するためにも、切片を用いることがあります。

バイオマテリアルとインプラントの評価

  • 骨に埋め込むインプラントや生体材料の適合性や影響を評価するために、切片が用いられます。骨組織がインプラントにどのように結合し、周囲の組織にどのような変化が生じるかを観察します。

骨代謝とミネラルの研究

  • 骨はカルシウムやリンといったミネラルの貯蔵庫として重要な役割を果たしています。カルシウムやリンの分布を染色で確認することで、骨代謝の調査やミネラルバランスの研究に用いられます。

薬剤の影響の評価

  • 新しい薬剤が骨に与える影響(例:骨密度の変化、骨折予防効果など)を評価するために骨切片を使います。抗骨粗鬆症薬や抗リウマチ薬の効果や副作用を観察する研究で役立ちます。

このように、骨組織切片は、骨の基本構造から細胞レベルでの活動や病態の研究に至るまで、幅広い分野で重要なツールとして用いられています。

骨の組織切片研究の活用例やアプリケーション例

骨の組織切片研究は、基礎研究から臨床応用に至るまで、様々な分野で活用されています。以下に具体的なアプリケーション例をいくつか挙げます。

骨粗鬆症の研究と新薬開発

  • 骨粗鬆症では骨密度の低下や骨構造の脆弱化が起こります。組織切片によって骨の微細構造や細胞活動を観察することで、病気の進行やリスク因子が理解され、新しい治療法や薬剤の開発に役立ちます。

  • 切片研究では、抗骨粗鬆症薬の効果が骨組織にどのように現れるかを評価することができます。

関節炎やリウマチ性疾患の研究

  • 骨と関節の切片研究により、関節リウマチや変形性関節症などで見られる骨の破壊過程が観察されます。炎症性サイトカインや破骨細胞の活動がどのように骨に影響するかを明らかにすることができ、これにより抗炎症薬や抗リウマチ薬の開発が進められます。

骨の再生医療と組織工学

  • 骨再生医療の研究では、骨の再生や修復を促進するためのバイオマテリアルや人工骨の評価に骨切片が使用されます。人工骨の適合性、再生のスピード、組織との結合状態などが確認され、新しい骨再生技術や移植材料の開発が促進されます。

  • 組織工学においては、幹細胞がどのように骨組織として分化し成長するかを、切片で追跡することも行われます。

骨折修復過程の研究

  • 骨折の治癒プロセスの理解には、破骨細胞や骨芽細胞がどのように働き、新しい骨組織が形成されるかを切片で観察します。特に、骨折部位の修復の各段階での細胞分布やコラーゲン繊維の形成が確認されます。

  • 骨折治療における固定法の比較や新しい手術法の評価にも、切片研究が役立っています。

インプラントの適合性評価

  • 歯科インプラントや整形外科インプラントが周囲の骨組織とどのように結合するか、また骨のリモデリングがどう起こるかを確認するために切片が用いられます。

  • 特に、インプラントの表面加工や材料の違いが骨形成に与える影響を評価し、最適な材料や形状を選定するための研究に貢献しています。

加齢に伴う骨の変化研究

  • 加齢による骨の微細構造や骨密度の変化を調査し、老化に伴う骨質劣化のメカニズムを明らかにするために、骨組織切片が使用されます。

  • 高齢者での骨折リスク増加や骨のリモデリング機能の低下を理解することで、骨の健康維持に役立つ介入法や予防法の開発が可能になります。

がんの骨転移研究

  • 骨に転移するがん(例:乳がん、前立腺がん)は骨組織に特有の破壊や変化をもたらします。組織切片を用いることで、がん細胞が骨に侵入し、増殖し、骨構造をどのように変化させるかを観察できます。

  • 骨転移を抑制する薬剤や治療法の開発においても、切片研究が重要な役割を果たしています。

骨代謝とホルモンの影響研究

  • 骨代謝に関連するホルモン(例:副甲状腺ホルモン、エストロゲン、テストステロンなど)の影響を調べるため、骨組織切片が使われます。

  • 骨形成と骨吸収のバランスがホルモンによってどのように変化するかを明らかにすることで、ホルモンバランスの乱れによる骨疾患の理解と治療につながります。

これらの例のように、骨の組織切片研究は、基礎的な生理学的理解から、臨床応用まで幅広く活用され、骨疾患の予防や治療、さらには再生医療やがん治療の分野においても重要な役割を果たしています。

Compresstome®ビブラトームの利点

  • 優れた形態:組織の安定化により、組織の構造的完全性が保たれます。

  • 滑らかな切片:組織安定化=アーチファクトなし 

  • 高速:圧縮による組織の安定化により、切片作製が格段に速くなります。

  • メンテナンスが簡単:オートZero-Zは、キャリブレーション不要のZero-Zを意味します。

  • 使いさすさ:多くの研究室ではCompresstomeによって1回目または2回目で多くの生細胞を含む非常に滑らかなスライスを得ることができます。

従来の振動ミクロトームの問題点

  • 形態の変化:組織の断裂、折れ曲がり、破砕により、組織に歪みが生じる。

  • スライス厚のばらつき:不均一な厚みはタンパク質の可視化に影響を与える。

  • 切断アーチファクト:タンパク質染色に影響を与える明らかな切断アーチファクト。 

  • メンテナンスとキャリブレーション:専門的な知識を必要とし、メンテナンスに時間がかかる。

  • 習得の難しさ:特に組織前処理に慣れていないユーザーにとっては、完璧な結果を得るには多くの練習が必要。

Compresstome® ビブラトーム

実験の質は、組織切片の質に左右されます。Compresstome® ビブラトームは、他のビブラトームと比較して、薄切片をより安定的に、より信頼性高く作製できる ことが科学的に証明されています。

Compresstome® のビブラトームは、以下のような方法で、ビビリ痕のない安定した厚さの組織切片を作成します。

  • 360度のアガロース包埋により、切断プロセス中に組織を安定化させる。

  • 高速スライスを可能にすることで、連続切片作製の時間を短縮します。

  • 高周波振動メカニズムにより、ビビリマークを低減または除去。

  • 特許取得のAuto Zero-Z®テクノロジーにより、カッティングブレードのZ軸方向のたわみをなくすことで、ビビリマークを低減。

Comparison-Compresstome-Leice-Slices.jpg

Compresstome® 振動式ミクロトームと他社製振動式ミクロトームで切断した組織切片の比較画像

Compresstome® 振動式ミクロトームと他社製振動式ミクロトームの切片の比較(A, C)。他社製ビブラトームで同じ切削速度と振動で組織スライスを作製した場合、組織スライスの表面にビビリマークが発生している。

骨組織切片作製 - 推奨モデル

VF-510-0Z

振動ミクロトームCompresstome® VF-510-0Zは特許取得済みの圧縮技術によりビビリ・チャタリングなしで切片を作製し、急性組織上の多くの生存細胞を維持。良質な実験結果を保証します。

  • 従来のビブラトームの5倍の速さで切開し、ブレードを組織に当てる時間を短縮し、より良い切開を実現

  • Auto Zero-Zテクノロジーにより、Z軸のたわみを1 µm未満に低減

  • 持ち運びに便利な軽量設計

  • 完全自動化:切開+厚み調整

組織切片作成スライサー

RF-1000

回転式ミクロトームRF-1000は、繰り返し組織スライスに最適な全自動モデルです。このモデルは、病理組織検査用のミクロトームおよび組織スライサーの最上位機種です。完全自動化により、信頼性と優れた操作性を提供します。RF-1000ロータリーミクロトームは、安定性と高精度の切断を実現し、研究室や臨床ラボでのパラフィンワックス包埋切片の切断など、多目的に使用できます。

振動ミクロトーム・ビブラトームのモデル

VF-510-0Z

全自動

アプリケーション

  • 電気生理学

  • スライス培養

  • イメージング

VF-210-0Z

半自動・手動厚み送り

アプリケーション

  • 電気生理学

  • イメージング

  • スライス培養

VF-300

全自動

アプリケーション

  • 電気生理学

  • イメージング

VF-800-0Z

大口径ビブラトーム、ヒト、霊長類、全臓器用

アプリケーション

  • 脳(固定)

  • 免疫組織化学

  • ハイスループット切片作製

回転式ミクロトームのモデル

RF-600

手動

アプリケーション

  • 病理組織学

  • 免疫組織化学

  • 植物研究

回転式ミクロトーム RF-600

RF-800

半自動、手動による厚さ調整

アプリケーション

  • 病理組織学

  • 免疫組織化学

  • 植物研究

RF-1000

全自動

アプリケーション

  • 病理組織学

  • 免疫組織化学

  • 植物研究

アプリケーション

臓器システム

脂肪
副腎
乳房
心臓
腎臓
肝臓
筋肉
膵臓

実験

オルガノイド
大サンプル(全臓器)切片化
病理組織学
ハイスループットセクショニング
遺伝子シーケンス(単一細胞分離)
電気生理学
電子顕微鏡

動物モデル

ひよこ
魚類
モルモット
ヒト
マウス
ブタ
ラット

その他の製品

flexiVent

肺機能測定・解析

flexiVent肺機能測定・解析ソリューションは、in vivo呼吸力学測定のゴールドスタンダードとして広く知られています。従来の肺換気の抵抗とコンプライアンス力学を超え、中枢気道、末端気道、実質の力学的特性に関する重要な詳細を測定・解析します。

flexiVentは実験条件を精密にコントロールすることで、最高の感度と再現性を実現しています。

オレンジサイエンスはemka TECHNOLOGIESの日本総代理店であり、日本国内においてemka TECHNOLOGIES社との唯一の取引窓口です。

flexiVent肺機能測定・解析ソリューション
flexiVent肺機能測定・解析ソリューション-オプション
flexiVent肺機能測定・解析ソリューション-拡張
flexiVent肺機能測定・解析ソリューション-サイズ

vivoFlow

呼吸機能解析

vivoFlowは無拘束での呼吸機能解析装置です。全身、ヘッドアウト、ダブルチャンバーでの呼吸機能解析を提供します。

プレチスモグラフィは、意識のある自発呼吸の実験室被験者の肺機能を研究するための標準的な方法です。気圧脈波法では、被験者が呼吸している間、薬物やその他の刺激にさらされる前後に生じる流量と圧力の変化を測定します。さまざまな被験者のサイズやタイプに容易に適応でき、被験者を連続した実験日に何時間も研究する縦断的研究によく使用されます。

vivoflow.jpg
rat-vivoflow.jpg
plethscreen.jpg
Mouse-vivoFlow-System_Camera_Custom-angle-2.jpg

Etaluma Lumascope

インキュベーター内で使用できる3色蛍光ライブセルイメージング蛍光顕微鏡

EtalumaのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。日々顕微鏡を使用する科学者によって考案、設計され、そのコンセプトデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。

多点観察モデル、定点観察モデルがあり、様々な観察シーンに対応できます。

Etaluma Lumascope LS850
Etaluma Lumascope LS820
Etaluma Lumascope 観察画像1
Etaluma Lumascope 観察画像2
bottom of page