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間葉系間質細胞スフェロイドの比較チャートと力学特性評価

  • 19 時間前
  • 読了時間: 10分

間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells:MSCs)を三次元的に凝集させたMSCスフェロイドは、創傷治癒、組織再生、細胞治療、オルガノイド研究など、さまざまな再生医療研究で注目されています。

スフェロイドの評価では、VEGFやPGE2などの分泌因子、細胞生存率、遊走促進作用といった生物学的指標だけでなく、サイズ、圧縮特性、弾性率、粘弾性などの物理的・力学的指標も重要です。

CellScale社のMicroTesterは、スフェロイドやオルガノイド、ハイドロゲルなどの微小で柔らかい試料に微小荷重を加え、変形挙動や弾性率を評価するマイクロスケール力学試験装置です。

MSCスフェロイドの生物学的機能と力学特性を組み合わせて評価し、目的に適したスフェロイド設計を支援します。



MicroTester







間葉系間質細胞スフェロイドとは

MSCスフェロイドは、間葉系間質細胞を三次元的に凝集させた細胞集合体です。

単分散状態のMSCと比較して、スフェロイド化によって細胞間相互作用や微小環境が変化し、厳しい環境下での細胞生存や、組織修復に関係する分泌因子の産生が向上する可能性があります。

特に創傷治癒研究では、次のような因子が注目されています。

  • VEGF:血管新生や血管内皮細胞の遊走を促進

  • PGE2:炎症調節や上皮化に関与

  • HGF:組織修復や細胞遊走に関与

  • EGF:上皮細胞の増殖や創傷閉鎖に関与

ただし、すべての機能をひとつのスフェロイドに持たせるだけでなく、特定の機能に合わせてスフェロイドを最適化するというアプローチも考えられます。



MSCスフェロイドの比較チャート

カリフォルニア大学デービス校の研究では、MSCスフェロイドの微小環境を調整し、異なる創傷治癒機能に特化した2種類のスフェロイドが作製されました。

評価項目

VEGFMAXスフェロイド

PGE2,MAXスフェロイド

主な目的

VEGF分泌・血管新生

PGE2分泌・上皮修復

総細胞数

8,000個

60,000個

ECFC含有率

0%

33%

生化学的刺激

95.4 µM CoCl₂

1 µg/mL Pam3CSK4

48時間後の直径

約323.6 ± 59.9 µm

約750.9 ± 28.6 µm

弾性率

約3,674 ± 1,924 Pa

約1,741 ± 887 Pa

力学的特徴

小さく、比較的硬い

大きく、比較的柔らかい

強く促進した細胞応答

血管内皮系細胞の遊走

ケラチノサイトの遊走

※数値は当該論文における特定の細胞、培養条件および測定条件に基づく結果であり、すべてのMSCスフェロイドに共通する値ではありません。


この比較から、分泌因子の違いだけでなく、スフェロイドのサイズや硬さにも明確な違いがあることが示されました。原著論文


MSCスフェロイドの比較チャート


異なる創傷治癒機能を持つスフェロイドを設計

研究では、Box-Behnken法による実験計画法を使用し、以下の因子を調整しています。


VEGF分泌を最大化する条件

  • スフェロイドを構成する総細胞数

  • 内皮コロニー形成細胞(ECFC)の割合

  • 低酸素模倣刺激としてのCoCl₂濃度


PGE2分泌を最大化する条件

  • スフェロイドを構成する総細胞数

  • ECFCの割合

  • 炎症刺激としてのPam3CSK4濃度


その結果、VEGFMAXスフェロイドはPGE2,MAXスフェロイドより高いVEGF分泌を示し、PGE2,MAXスフェロイドはVEGFMAXスフェロイドより高いPGE2分泌を示しました。

さらに、VEGFMAXスフェロイドの培養上清は血管内皮系細胞の遊走を強く促進し、PGE2,MAXスフェロイドの培養上清はHaCaTケラチノサイトの遊走を強く促進しました。

つまり、単に「機能が向上したスフェロイド」ではなく、血管新生と上皮修復という異なる役割に合わせたスフェロイドが設計されています。



なぜスフェロイドの力学特性評価が重要なのか

スフェロイドの機能は、サイトカインや成長因子の分泌量だけでは評価できません。

サイズ、細胞密度、凝集度、硬さ、粘弾性などの違いは、次のような挙動に影響する可能性があります。

  • スフェロイド内部への酸素や栄養の拡散

  • 細胞生存率

  • 周囲の細胞外マトリックスとの相互作用

  • ハイドロゲル内での細胞接着と伸展

  • 細胞突起の形成

  • 治療部位への生着

  • 薬剤や培養条件に対する応答


研究事例では、小さく硬いVEGFMAXスフェロイドと、大きく柔らかいPGE2,MAXスフェロイドが、PEG-4MALハイドロゲル内で異なる広がり方を示す可能性が考察されています。

このように、MSCスフェロイドの物理的特性を定量化することで、生物学的機能やバイオマテリアル内での挙動をより多面的に解析できます。



MicroTesterによるMSCスフェロイドの力学特性評価

CellScale社MicroTesterは、従来の材料試験機では測定が難しい、微小で柔らかい試料を対象とした力学試験システムです。

微細なワイヤー状の力覚センサーで試料に荷重を加え、その際の力と変位を測定します。高解像度カメラによって、試料との接触、位置合わせ、圧縮中の変形を確認することも可能です。


MicroTester




MicroTesterの主な特長

微小なスフェロイドを直接測定

  • 数百µm程度のスフェロイドやハイドロゲルマイクロスフィアなど、一般的な試験機では取り扱いにくい微小試料の評価に対応します。


微小荷重の変化を検出

  • 交換可能なマイクロビームを使用し、柔らかい細胞凝集体やマイクロ組織の微小な荷重変化を測定します。


力と変形を同時に確認

  • 統合されたカメラにより、試料の位置、接触状態、圧縮量、変形挙動を視覚的に確認できます。


液中での測定に対応

  • スフェロイド、オルガノイド、細胞含有ハイドロゲルなどを、液体中で測定できます。温度管理を組み合わせることで、生理学的条件に近い環境での試験にも対応します。


弾性率や時間依存特性を評価

  • 圧縮試験だけでなく、インデンテーション、繰り返し負荷、荷重保持、応力緩和など、研究目的に応じたプロトコルを設定できます。



MSCスフェロイド測定の基本フロー

1.スフェロイドを作製する

細胞数、細胞組成、培養時間、添加因子など、比較する実験条件を設定します。


2.サイズと形状を記録する

スフェロイドの直径、形状、真円度などを画像から確認します。


3.試料と測定条件に合ったマイクロビームを選択する

予想される荷重や試料の硬さに応じて、適切な感度と測定範囲を持つマイクロビームを選択します。


4.圧縮試験を実施する

プレートでスフェロイドを圧縮し、力、変位、時間のデータを取得します。カメラ映像から接触状態や変形も確認します。


5.弾性率と生物学的指標を比較する

弾性率、ピーク荷重、応力緩和などの力学データを、分泌因子、細胞生存率、遊走試験、遺伝子発現などの結果と比較します。



想定される研究用途

MicroTesterによるスフェロイドの力学特性評価は、次のような研究に活用できます。

  • 間葉系間質細胞スフェロイドの硬さ評価

  • スフェロイドの細胞数と弾性率の比較

  • 培養期間による力学特性の変化

  • 添加因子や低酸素条件による変化

  • 単一細胞種と複数細胞種スフェロイドの比較

  • 創傷治癒・血管新生研究

  • 幹細胞メカノバイオロジー

  • オルガノイドの力学特性評価

  • ハイドロゲル内における細胞凝集体の挙動解析

  • 再生医療用マイクロ組織の品質評価

  • 細胞治療・ドラッグデリバリー研究

  • 組織工学・バイオマテリアル研究



生物学的評価に力学データを加えるメリット

生物学的評価

MicroTesterによる力学評価

VEGF・PGE2などの分泌量

弾性率・圧縮特性

細胞生存率

硬さ・凝集度

遺伝子・タンパク質発現

荷重に対する変形挙動

細胞遊走試験

応力緩和・粘弾性

ハイドロゲル内での伸展

マトリックスとの力学的適合性

生物学的データと力学データを組み合わせることで、「どの因子が増えたか」だけでなく、「どのような物理的特徴を持つスフェロイドが、その機能を示したのか」まで検討できます。



よくある質問

MSCスフェロイドのどのような特性を測定できますか?

圧縮時の力と変位を測定し、試料形状と解析モデルに応じて弾性率などを算出できます。繰り返し圧縮や応力緩和試験によって、時間依存性や粘弾性を評価することも可能です。


間葉系幹細胞スフェロイドにも使用できますか?

はい。「間葉系幹細胞」と「間葉系間質細胞」は文献や研究分野によって表現が異なりますが、MSCを使用した微小なスフェロイドや細胞凝集体の力学評価に活用できます。


スフェロイドを液中で測定できますか?

液体を保持できるチャンバーを使用し、スフェロイドやハイドロゲルなどの試料を水和状態で測定できます。試料や実験条件に応じて温度管理も検討できます。


弾性率と細胞機能にはどのような関係がありますか?

スフェロイドの硬さは、細胞密度、細胞間接着、細胞外マトリックス、培養条件などを反映する可能性があります。ただし、弾性率だけで生物学的機能を断定することはできません。分泌因子、細胞生存率、遊走試験などと組み合わせた評価が重要です。


どのサイズのマイクロビームを選べばよいですか?

試料サイズ、予想荷重、硬さ、測定方法によって適切なビームが異なります。測定対象と想定プロトコルをお知らせいただければ、装置構成や測定方法をご提案します。



MSCスフェロイドの機能を力学特性から評価

間葉系間質細胞スフェロイドは、培養条件や細胞組成によって、分泌因子だけでなくサイズや硬さも変化します。


CellScale社MicroTesterを使用することで、スフェロイドの微小な力学特性を可視化・定量化し、生物学的機能やハイドロゲル内での挙動との関係を検討できます。


創傷治癒、血管新生、上皮修復、幹細胞メカノバイオロジー、オルガノイド、組織工学などの研究における、スフェロイド評価手法の拡張にご活用ください。


測定したい試料の種類、サイズ、培養環境、評価項目をお知らせいただければ、適切なMicroTesterモデル、マイクロビーム、試験方法をご提案します。


CellScale社 MicroTester






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CellScale社 製品のご紹介



MicroTester

マイクロスケール圧縮強度測定装置

MicroTesterはマイクロスケール生体サンプルや微粒子の粘弾性測定に特化した粘弾性測定装置です。

 

1㎜以下径のビーム(カンチレバー)とプレートで直接サンプルに接触して、非破壊で約0.005~500µNの粘弾性試験が可能です。生体サンプルの試験に特化し工業用の試験機では実現できないコンパクトさ、試験レンジを実現し、精度の高い試験・解析が可能となりました。チャンバー前方に取り付けられた高解像度カメラにより、サンプルの変位の画像解析も可能です。



MicroTester




UniVert

卓上 引張・圧縮・3点曲げ試験機

 CellScale社のUniVertは、生体サンプルなどのバイオマテリアル試験に最適です。クリップやプレートなど様々なアタッチメントに対応し、生体組織、ゲル、フィルム、ファイバーなどの多様なサンプルでの強度測定に優れています。


 圧縮、引張、3点曲げなどのモードがあり、ロードセルは着脱式で、4.5N~200N(*1Kgモデルは1Kgまで)での測定が可能です。また、オプションのバスを取り付けることにより、横型、縦型での液中での測定も可能です。


UniVert






オレンジサイエンスが取り扱う製品


オレンジサイエンスでは、測定機器の他にも伸展刺激装置・圧縮刺激装置を取り扱っております。ご不明点や取り扱い装置に関する詳細など、お気軽にお問い合わせください。


CellScale/セルスケール社

​Mechano Cultureシリーズの機械的刺激培養装置はモデルにより、360度伸展、シリコンチャンバー伸展、マテリアル伸展、流体圧縮、機械的圧縮+データ測定、マテリアル伸展+データ測定が可能です。



​Mechano Cultureシリーズ




STREX/ストレックス社

​ストレックス社のSTBシリーズは独自のシリコンチャンバーを伸展させることにより、チャンバー上の細胞に伸展刺激を与えることが可能です。顕微鏡搭載モデルは、倒立顕微鏡での伸展細胞の観察も可能です。



ストレックス社のSTBシリーズ




IonOptix/イオンオプティクス社

​C-Stretchシステムはシリコンチャンバーを採用した伸展培養装置です。C-Pace EMシステムと使用することにより、伸展刺激と同時に、電気刺激を与えることも可能です。



​C-Stretchシステム





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オレンジサイエンス

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