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バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機

  • Orange Science
  • 10月27日
  • 読了時間: 14分

バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機とは、生体材料(バイオマテリアル)の力学的特性(弾性、粘弾性、破断強度など)を精密に評価するために設計された材料試験装置です。通常の金属・樹脂用試験機とは異なり、生体組織やハイドロゲルなど柔らかく水分を多く含む試料を対象とする点が特徴です。


以下に主な特徴を整理します。

  1. 低荷重・高感度設計 バイオマテリアルは非常に柔らかいため、微小な力を高精度に測定できるロードセルが搭載されています。

  2. 湿潤環境での測定対応 生体模倣条件を再現するために、試験部に温度・湿度・培地環境を制御できるチャンバーを備えています。これにより、生理的条件(37°C、pH7.4など)下での評価が可能です。

  3. 多様な試験モード 引張試験・圧縮試験・クリープ試験・応力緩和試験などが行えます。粘弾性解析にも対応するモデルが多く、時間依存的変形特性を取得できます。

  4. 対象材料の例 ・コラーゲンゲル、フィブリンゲル、アルギン酸ゲルなどのハイドロゲル ・軟骨、血管、皮膚などの生体組織 ・バイオポリマーや再生医療用スキャフォールド ・iPS細胞由来組織などの再生組織構造体


バイオマテリアル向け引張圧縮試験機は、生体環境下での柔軟素材の力学応答を高精度に再現・測定するための特化機器です。 通常の工業材料試験機では測定が難しい、生体材料特有の「柔らかさ」「時間依存性」「湿潤環境での挙動」を再現可能にした点が最大の特徴です。


バイオマテリアル特化の引張圧縮試験機を活用目的

バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機を使用する目的は、生体材料の力学的特性を定量的に把握し、その性能や生体適合性を評価することです。特に再生医療、医用デバイス、組織工学などの分野で、材料や組織が生体内でどのような力に耐え、どのように変形・破壊するかを理解するために用いられます。

以下に主な目的を整理します。


  1. 力学的特性の定量評価 バイオマテリアルの引張強度、圧縮強度、弾性率(ヤング率)、破断伸び、粘弾性などを測定します。 これにより、材料が目的の生体組織(例えば軟骨や血管など)の力学特性に近いかを判断できます。

  2. 生体模倣材料の設計・最適化 人工関節、血管グラフト、皮膚代替材などの設計時に、生体組織と同等の柔軟性や強度を再現するための指標として利用されます。 材料配合や架橋密度の調整により、望ましい機械的性質を得るための設計指針を提供します。

  3. 再生医療用スキャフォールドの評価 細胞を播種する足場材料(スキャフォールド)が、培養中や体内移植後に適切な力学的支持を提供できるかどうかを評価します。 力学的安定性が不足すると、細胞の増殖・分化が阻害されるため重要な試験です。

  4. 生体組織や再生組織の成熟度の評価 iPS細胞やES細胞由来の再生組織(例:心筋シート、軟骨組織など)の発達段階を、機械的強度の変化から評価します。 組織が成熟するにつれて弾性率や引張強度が増加するため、分化や機能的発達の指標になります。

  5. 医用デバイスとの相互作用評価 ステント、縫合糸、人工靱帯などのデバイスが、生体材料と接触する際の変形・応力分布を評価することで、安全性や耐久性を確認します。


バイオマテリアル用引張圧縮試験機は、材料や組織が生体環境下で受ける力に対してどのように応答するかを定量的に評価することを目的とし、設計・開発・品質評価・基礎研究に不可欠な装置です。


バイオマテリアル特化の引張圧縮試験機を使用するメリット

バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機を使用するメリットは、生体材料特有の性質を正確かつ再現性高く評価できる点にあります。一般的な工業材料試験機では測定が難しい、柔軟で水分を多く含む試料の力学的挙動を、生理的環境に近い条件下で解析できることが最大の利点です。


  1. 生体環境を模倣した測定が可能 温度(37°C)や湿度、培地環境を制御できるチャンバーを備えており、生体内条件を模倣した状態で測定できます。 これにより、実際の生体中での材料挙動に近いデータが得られます。

  2. 柔軟で脆い試料にも対応 ハイドロゲル、コラーゲン、軟骨、血管などのような低剛性の試料に対しても、微小荷重で高感度に測定できるロードセルを搭載しています。 通常の試験機では誤差が大きくなる領域でも、精密な測定が可能です。

  3. 多様な試験モードへの対応 引張・圧縮に加え、クリープ試験、応力緩和試験、繰り返し変形試験など、粘弾性や疲労特性の解析も可能です。 これにより、生体材料の時間依存的変形挙動を理解できます。

  4. 小型サンプルや生体組織の測定が容易 微小な試料を固定できるクランプ設計やカスタム治具を備えており、組織片や細胞シートなど、取り扱いの難しい試料の試験にも対応します。

  5. 再生医療・組織工学への応用性 iPS細胞やES細胞由来の組織の成熟度評価、スキャフォールド設計、細胞外マトリクス(ECM)の力学解析など、再生医療分野での研究に直接応用できます。

  6. データの再現性と信頼性が高い 微小荷重域でのノイズ低減や高精度センサーにより、研究や製品開発で求められる再現性の高いデータ取得が可能です。

  7. 医用デバイス評価における有用性 人工血管、縫合糸、インプラント材料など、生体と接触するデバイスの力学的適合性を定量的に検証でき、安全性・耐久性の評価に役立ちます。


バイオマテリアル用引張圧縮試験機を使用するメリットは、「生体条件下での正確な力学評価」「再生医療・医用デバイス開発への高い実用性」にあります。これにより、より信頼性の高い材料設計と臨床応用への橋渡しが可能になります。



バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機の活用分野

バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機は、生体由来または生体適合性を持つ材料の力学特性を評価する必要がある研究・開発分野で広く使用されています。主に、再生医療、医用デバイス、組織工学、薬理学、生体材料科学などが中心です。以下に主要な使用分野を挙げます。


  1. 再生医療分野 iPS細胞やES細胞を用いた再生組織(心筋、軟骨、血管、皮膚など)の力学特性を測定し、組織の成熟度や機能性を評価します。 組織がどの程度「生体組織らしい弾力や強度」を持つかを確認するために利用されます。

  2. 組織工学分野 細胞培養用スキャフォールド(足場材)や細胞外マトリクス(ECM)の機械的安定性を解析します。 力学的強度や弾性が適切でないと、細胞の接着や分化が阻害されるため、材料設計に不可欠な評価手法です。

  3. 医用デバイス・インプラント開発分野 人工血管、人工靱帯、縫合糸、人工皮膚など、生体と直接接触する医療機器の材料強度や伸縮性を評価します。 生体内での応力負荷や変形に耐えうるかどうかの検証に用いられます。

  4. 生体組織の基礎研究分野 動物やヒト由来の軟組織(血管、腱、皮膚、軟骨など)の引張・圧縮挙動を解析し、生体の構造的特性や力学応答を理解します。 疾患モデルや加齢変化など、組織特性の変化解析にも利用されます。

  5. ハイドロゲル・バイオポリマー研究分野 生体模倣材料として用いられるハイドロゲル(コラーゲン、フィブリン、アルギン酸など)や、生分解性ポリマー(PLGA、PCLなど)の弾性や粘弾性を測定します。 材料開発や処方設計の評価指標となります。

  6. 薬理学・創薬研究分野 細胞や組織への薬剤投与後の力学的変化(硬化・軟化など)を解析し、薬剤効果や副作用の力学的指標として利用されます。

  7. 歯科・整形外科分野 骨や歯の代替材料、軟骨修復材、骨補填材などの機械的特性を評価します。 臨床応用に向けて、生体力学的適合性を確認するために重要です。


バイオマテリアル特化の引張圧縮試験機は、生体材料や生体組織を対象とするすべての研究・開発分野で用いられ、再生医療から基礎研究、医用製品開発まで幅広く活躍しています。


バイオマテリアル特化の引張圧縮試験機のアプリケーション例

バイオマテリアルに特化した引張圧縮試験機は、生体材料や再生組織の力学的特性を定量評価する実験に幅広く応用されています。以下に、具体的なアプリケーション例を分野別に示します。


1. 再生医療・組織工学分野

  • 心筋組織の収縮力評価 iPS細胞やES細胞から分化した心筋シートを引張方向に負荷し、収縮応答や弾性率を測定。 組織の成熟度や拍動特性を定量的に解析します。

  • 軟骨再生組織の圧縮試験 コラーゲンやアガロースゲルを基材とした再生軟骨を圧縮し、弾性率や粘弾性を測定。 ネイティブ軟骨との力学特性比較により、機能的成熟度を評価します。

  • 血管スキャフォールドの引張試験 再生血管やバイオチューブを円周方向に引張し、伸張率・破断強度を測定。 生理的血圧条件下での耐久性や弾力性を確認します。


2. バイオポリマー・ハイドロゲル研究

  • コラーゲンゲルやフィブリンゲルの引張特性評価 架橋条件や濃度による弾性率の違いを測定し、細胞培養に適した機械的環境を検討します。

  • アルギン酸ゲルの圧縮試験による粘弾性評価 生体模倣ハイドロゲルの弾性回復挙動を解析し、ドラッグデリバリーや3Dバイオプリンティング用途に応用。


3. 医用デバイス開発

  • 縫合糸や人工靭帯の引張強度評価 生体内使用を想定し、湿潤環境下での破断強度・伸び率を測定して耐久性を評価します。

  • 人工皮膚や創傷被覆材の伸縮試験 材料の柔軟性・応力分布を解析し、実際の皮膚伸展に近い条件での性能確認を行います。


4. 生体組織の基礎研究

  • 皮膚・腱・血管などの生体試料の力学特性解析 動物由来の組織を引張・圧縮して、疾患や老化による力学的変化を評価します。 例えば糖尿病モデル動物の皮膚弾性低下を定量化する研究などに用いられます。

  • 骨や軟骨の微小試験 微小サンプルを対象とし、骨形成や治癒過程における力学特性変化を解析します。


5. 薬剤効果・毒性評価

  • 薬剤投与による組織硬度変化の測定 抗線維化薬や抗がん剤処理後の組織の弾性変化を定量化し、治療効果や副作用を力学的指標として評価します。

  • 細胞外マトリクスの硬化・軟化解析 細胞が分泌するECMの機械的性質を測定し、細胞応答や組織リモデリングの影響を解析します。


これらのアプリケーションに共通する目的は、「生体材料がどのような力に耐え、どのように変形するか」を定量的に理解することです。


 この理解をもとに、再生組織や医用材料の設計最適化、臨床応用への信頼性向上につなげることができます。



バイオマテリアル特化の引張圧縮試験 CellScale社のUniVert




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CellScale社のUniVertはバイオマテリアルの引張圧縮試験に特化した試験機です。バイオマテリアルの引張・圧縮試験では下記のような機能で様々な用途に活用できます。


UniVertの機能

  1. 小~中力域の精密力測定(柔らかい材料や小試料に対応) UniVertは幅広いロードセル(0.05N領域の超低荷重センサーから10kN帯まで)を選択でき、ハイドロゲルや小動物組織、薄いスキャフォールドなどの「柔らかく低荷重で破損しやすい試料」を高感度に測定できます。これにより、微小な力学差(配合や架橋条件の違いなど)を定量化可能です。

  2. 湿潤・温度制御下での試験(生理条件を模擬) UniVertは液体バス(温度制御された浴槽)や環境チャンバーなどのアクセサリを利用して、37°Cや培地中などの湿潤・温度条件下で試験できます。生体模倣条件での力学特性を取得する際に重要な機能です。

  3. 多様な試験モードと治具の利用(引張・圧縮・曲げ・せん断・ねじりなど) 標準で引張・圧縮・3点曲げなどに対応し、追加軸や治具(せん断軸、トルク軸、圧力・半径方向荷重用治具など)を組み合わせることで、血管モデルや関節モデルなど複合的な力学条件を再現できます。円筒サンプル(人工血管)、シート状試料(細胞シート)、小片組織など、形状に合わせた治具で評価できます。

  4. 画像計測/非接触ひずみ計測(真のひずみ制御と局所ひずみ計測) UniVertはカメラ/画像解析(DICなど)を組み合わせられ、グリップ滑りや非均一変形を回避して「試料の実際のひずみ」をリアルタイムで計測・制御できます。これにより、微小変形領域や局所応力集中の解析が可能になり、粘弾性試験や疲労試験の精度が向上します。

  5. 低ノイズ・高分解能のデータ取得(校正・トレーサビリティ) 上位モデルでは高い力分解能や校正トレーサビリティが提供され、定量比較や長期の研究プロジェクトで再現性の高いデータを得ることができます(例:高分解能の力分解能や国家基準にトレースされた校正)。

  6. 動的・時間依存挙動の評価(クリープ・応力緩和・循環負荷) UniVertは変位制御・力制御の両モードや繰返しサイクル設定により、クリープ試験、応力緩和試験、周期的伸縮(収縮シミュレーション)などを実行できます。心筋や血管、粘弾性ハイドロゲルの時間依存性を解析する用途に適しています。

  7. 教育から研究開発までスケールの柔軟性 UniVertは機種ラインナップと豊富なアクセサリにより、教育実習での基礎計測から研究開発や品質管理のための高精度測定まで幅広く使えます。性能要件に合わせてロードセルや治具を選べます。



具体的な実験例

  • iPS由来心筋シートの周期的伸張・収縮試験(能動収縮力の定量化、成熟度評価)— 画像追跡で同期解析。

  • ハイドロゲル(コラーゲン、アルギン酸等)の引張・圧縮・応力緩和試験(架橋条件の比較、粘弾性モデル適合)。

  • 人工血管スキャフォールドのリング/円周方向引張試験(破断強度、コンプライアンス評価)— 湿潤・温度管理下での評価。

  • 縫合糸や小型インプラントの引張耐力試験(湿潤環境での疲労試験)。


UniVertは「低荷重から高荷重までの柔軟なロードセル選択」「生理条件下での液体バスによる湿潤試験」「画像追跡による真ひずみ制御」「複合荷重試験(ねじり・せん断等)」といった特徴を活かし、ハイドロゲル、再生組織、人工血管、縫合材などバイオマテリアル研究の多様な実験要求に対応できます。


CellScale社のUniVert

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「CellScale社のUniVert」は、バイオマテリアルの力学特性評価に特化した高精度な引張圧縮試験システムです。再生医療、組織工学、医用デバイス開発など、幅広い分野で利用されており、柔軟で繊細な生体材料の評価に最適な設計がなされています。


本製品は、バイオマテリアルの引張圧縮試験を高い再現性と感度で実施できることが最大の特徴です。低荷重域から高荷重域まで対応し、ハイドロゲルやコラーゲン、細胞シートなどの軟材料に対しても正確な引張試験および圧縮試験を行うことができます。また、専用のロードセルや治具の交換が容易で、試験条件に応じた最適な設定が可能です。


さらに、UniVertは温度や湿度、培地環境を維持した状態での測定にも対応しており、生体模倣環境下での引張試験機圧縮試験機として活用できます。これにより、実際の生体条件に近い状態で材料の粘弾性や変形挙動を評価でき、より信頼性の高いデータ取得が可能となります。


「CellScale社のUniVert」は、バイオマテリアル研究における精密な力学解析を実現し、研究開発の品質と効率を飛躍的に高める理想的なソリューションです。









製品のご紹介


CellScale社 UniVert/卓上 引張・圧縮・3点曲げ試験機

生体サンプルから工業製品の試験に



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 CellScale社のUniVertは、生体サンプルなどのバイオマテリアル試験に最適です。クリップやプレートなど様々なアタッチメントに対応し、生体組織、ゲル、フィルム、ファイバーなどの多様なサンプルでの強度測定に優れています。


 圧縮、引張、3点曲げなどのモードがあり、ロードセルは着脱式で、4.5N~200N(*1Kgモデルは1Kgまで)での測定が可能です。また、オプションのバスを取り付けることにより、横型、縦型での液中での測定も可能です。







MicroTester

マイクロスケール圧縮強度測定装置

MicroTesterはマイクロスケール生体サンプルや微粒子の粘弾性測定に特化した粘弾性測定装置です。

 

1㎜以下径のビーム(カンチレバー)とプレートで直接サンプルに接触して、非破壊で約0.005~500µNの粘弾性試験が可能です。生体サンプルの試験に特化し工業用の試験機では実現できないコンパクトさ、試験レンジを実現し、精度の高い試験・解析が可能となりました。チャンバー前方に取り付けられた高解像度カメラにより、サンプルの変位の画像解析も可能です。



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