電子顕微鏡
- Orange Science
- 5月20日
- 読了時間: 13分
電子顕微鏡用組織切片・スライス作製ソリューション
Precisionary社のビブラトームとミクロトームを使用して、電子顕微鏡用の超薄切片を一貫して作製できます。

電子顕微鏡用の精密な組織切片を実現
電子顕微鏡(EM)では、高解像度の画像を確実に生成するために、超薄切片の組織切片が必要です。EMの要求を満たすには、画像のアーチファクトや歪みを避けるために、組織切片は一貫して薄く滑らかでなければなりません。
Precisionary社のビブラトームとミクロトームは、信頼性の高いEMイメージングに必要な極薄で均一な切片を作成するように設計されており、すべてのサンプルで最適な鮮明度と細部を確保します。

電子顕微鏡用超精密振動ミクロトーム
Precisionary社の最もポピュラーなモデルであるCompresstome® VF-510-0Zは、電子顕微鏡用の超薄切片を安定して作製できるように設計され ています。この全自動システムは高精度スタビライザーを搭載しており、使用するたびに再現性の高い高品質の切片を得ることができます。

実験用途
電子顕微鏡用の安定した薄切片作製
高解像度イメージング用の微細組織構造の保存
超微細構造研究用の再現性の高いスライス
電気生理学およびオプトジェネティクス用のマウス脳スライス
器官培養および腫瘍研究用の新鮮なスライス
IHC および ISH 用の薄い固定切片
Compresstome VF-510-0Z は、要求の厳しい顕微鏡アプリケーションに比類なき信頼性と精度を提供します。
Compresstome® VF-510-0Z
電子顕微鏡用の迅速で高信頼性の切片作製
Compresstome® VF-510-0Zは、健康で生存能力の高い組織切片を作製するために特別に設計されています。完全自動化されたシステムにより、細胞の生存率を高める迅速で精密な切片作製が可能となり、電子顕微鏡用のアプリケーションに理想的です。
VF-510-0Zは、正確で迅速な切片作製を実現し、組織・細胞の健全性を保ちながら、最高品質の結果をサポートします。
論文
電子顕微鏡とは
電子顕微鏡(Electron Microscope)は、電子ビーム(電子線)を利用して試料を観察する顕微鏡です。光の代わりに電子を使うことで、光学顕微鏡よりもはるかに高い分解能(細かい構造を見分ける力)を持ち、ナノメートル(10⁻⁹メートル)単位の微細構造を観察することができます。
電子顕微鏡使用の目的
電子顕微鏡の使用目的は、光学顕微鏡では観察できない微細な構造を詳細に観察・分析することです。以下に、具体的な目的を分類して整理します。
1. 微細構造の観察(高分解能観察)
細胞内部構造の観察(TEM) 例:細胞小器官(ミトコンドリア、リボソーム、核膜など)
微生物の構造観察(SEM/TEM) 例:ウイルス、細菌の形態や表面構造
組織の超微細構造解析(TEM) 例:脳神経のシナプス構造、腎臓の糸球体膜
2. 材料の表面観察と欠陥解析(主にSEM)
金属・セラミックスの破面解析 例:破壊面から破損原因を調べる(工業材料評価)
ナノ材料の構造評価 例:カーボンナノチューブ、ナノ粒子、半導体素子の微細加工状態
電子部品やICチップの構造調査
3. 元素分析との併用(EDSなど)
電子顕微鏡に**エネルギー分散型X線分析装置(EDS/EDX)**を装着することで、元素の定性・定量分析も可能。
未知の物質の元素組成分析
微量金属の局在確認(例:生体組織内の金属沈着)
合金の組成分布調査
4. 医学・生物学研究
ウイルスの形態観察(例:SARS-CoV-2など)
病理組織の超微細変化の検出
オートファジーやアポトーシスの細胞レベルでの観察
5. 工業・製造プロセスの品質管理
半導体製造のラインで微細構造の検査
コーティング膜や接着界面の状態確認
不具合品の不良原因解析(例:断線、異物混入)
電子顕微鏡を使用するメリット
電子顕微鏡を使用するメリットは、主に次のような点にあります。これは光学顕微鏡では不可能または困難な観察や解析を可能にするものです。
1. 非常に高い分解能
原子レベル(~0.1ナノメートル)の観察が可能(特にTEM)
光学顕微鏡の分解能(約200nm)を大きく上回る
ミトコンドリアやリボソームの詳細構造、結晶格子、原子配列まで観察可能
2. 微細な表面構造の立体観察(SEM)
試料の表面を高精細かつ立体的に観察可能
微生物の表面、材料の凹凸、粒子の形状などが詳細に見える → ナノ粒子、細胞表面、微小破面などの評価に有効
3. 元素分析が可能(EDSなどとの併用)
電子顕微鏡に搭載された分析装置(例:エネルギー分散型X線分析器)を用いれば、観察している微細領域の元素組成の解析が可能
材料や生体組織に含まれる金属、鉱物、異物などの同定に便利
4. 幅広い分野で応用可能
生物学、医学、材料科学、ナノテクノロジー、半導体、法科学などで使用され、目的に応じた装置と観察法が確立されている
研究から産業応用まで幅広い利用ができる
5. 画像データの保存・共有が容易
得られた画像は高解像度のデジタルデータとして保存可能
解析ソフトと組み合わせて定量評価、3D再構成、計測も可能
6. 微小領域の異常検出・不具合解析に最適
故障原因の特定、汚染物・異物の検出、表面損傷の解析などに利用
工業製品や医療機器の品質管理・不良解析の重要な手段
電子顕微鏡に関連する研究テーマ
電子顕微鏡に関連する研究は非常に幅広く、基礎科学から応用技術まで多岐にわたります。以下に、主な研究分野と具体的なテーマを分類して紹介します。
1. 生物学・医学分野の研究
● 細胞・組織の超微細構造解析(主にTEM)
ミトコンドリア、リソソーム、核膜、ゴルジ体などの詳細構造
神経細胞のシナプス構造や軸索の微細構造
病変組織(癌組織、腎疾患など)の形態異常解析
● ウイルス・細菌の形態研究(SEM/TEM)
新型コロナウイルスなどの構造解析
ウイルスの細胞侵入メカニズムの可視化
細菌の鞭毛や菌体構造、バイオフィルムの形成
● オートファジー・アポトーシス機構の解明
細胞死の過程での超微細変化を捉える研究
2. 材料科学・ナノテクノロジー分野の研究
● ナノ材料の構造・物性評価(SEM/TEM)
カーボンナノチューブ、グラフェン、量子ドットの構造観察
ナノ粒子の分散状態、形状、界面構造の解析
● 結晶構造・転位・欠陥解析(高分解能TEM)
金属材料の結晶粒界、析出物、ひずみ構造の観察
電子線回折を使った結晶相の同定
● 薄膜・界面構造の分析
多層膜構造や半導体デバイス中の層構造評価
原子スケールの界面観察と組成分析
3. 工業・製造分野の研究
● 故障解析(Failure Analysis)
半導体の断線、クラック、異物混入の特定(SEM/EDS)
溶接部や接合部の接着不良や変形構造の分析
● 表面処理・コーティング評価
薄膜の均一性、膜厚、粗さ、剥離などの観察
金属表面の腐食・酸化層の解析
4. 地球科学・環境科学分野の研究
● 鉱物の構造・組成分析(SEM/EDS)
微細鉱物や鉱石中の元素分布調査
月や火星の岩石試料(例:探査機の回収試料)の電子顕微鏡解析
● 微粒子・PM2.5・大気粉塵の分析
大気中の微小粒子のサイズ・構造・成分の分析
環境汚染物質の形態と起源の解明
5. 電子顕微鏡技術そのものの研究
● 分解能の向上・新技術の開発
高分解能・高コントラスト観察のための装置改良
クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)の開発と応用(例:タンパク質構造解析)
● 3D再構成やトモグラフィーの研究
電子線トモグラフィーによる3次元構造再構成
ソフトウェア開発とAIによる画像処理の自動化
電子顕微鏡のアプリケーション例
電子顕微鏡のアプリケーション例(具体的な用途)は、研究・産業・医療などさまざまな分野に広がっています。
【1】医学・生物学分野でのアプリケーション
● がん組織の超微細構造観察(TEM)
正常細胞とがん細胞の細胞小器官の違いを可視化し、病態解析に利用。
● ウイルスの形態観察(Cryo-TEM)
例:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク構造の解析
タンパク質の立体構造解析(ノーベル賞受賞技術)
● 神経細胞のシナプス観察
脳神経回路の構造や神経伝達物質の放出部位をTEMで観察。
【2】材料科学・ナノテクノロジー分野
● カーボンナノチューブの構造解析(HRTEM)
チューブの壁数、開閉端、欠陥位置を原子レベルで観察。
● 半導体デバイスの断面観察(STEM)
トランジスタや配線層の断面構造や界面の品質評価に利用。
● 結晶格子や欠陥の可視化
金属合金中の析出物、転位、双晶などの微細構造評価。
【3】産業・工業応用
● 電子部品の不良解析(SEM+EDS)
異物混入、断線箇所、剥離、腐食などの原因調査。
● 塗膜・コーティングの膜厚や剥がれ評価
自動車や電子部品に使われる保護膜・導電膜の状態確認。
● 電池材料の構造観察(Liイオン電池など)
正極・負極材の微細構造変化、劣化メカニズムの解析。
【4】環境・地球科学分野
● PM2.5や大気中微粒子の分析(SEM+EDS)
粒子のサイズ、形状、元素組成から発生源を推定。
● 鉱物・岩石の組成解析
微細な鉱物粒子の構造・組成を調べて地質起源を調査。
【5】装置開発・手法応用
● 電子線トモグラフィーによる3D構造再構成
生体組織やナノ材料の立体構造を再構成して解析。
● AIを用いた電子顕微鏡画像の自動分類
製造ラインでの品質検査や欠陥検出の自動化に応用。
電子顕微鏡の研究でのビブラトームの活用
電子顕微鏡の研究においてビブラトーム(vibratome)は、主に試料(特に生体組織)を厚さ数十ミクロン単位で切片化するために使われる装置で、前処理工程の一部として非常に重要です。
以下に、電子顕微鏡研究におけるビブラトームの活用法を詳しく説明します。
電子顕微鏡用試料作製におけるビブラトームの役割
固定後の組織を厚切りするために使用
組織はグルタルアルデヒドやパラホルムアルデヒドなどで化学固定された後、厚さ30~100 µm程度の切片にカット。
この厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)観察用の超薄切片(50~100 nm)を作る前段階として適しています。
ビブラトームを使う利点
切削熱が少ない
振動切断方式により、組織へのダメージが少ない
化学固定した柔らかい組織にも対応
冷却しながらスライスできるため、脳などの柔らかい臓器にも最適
正確な厚みで均一な切片が得られる
特に立体構造の保持が重要な電子顕微鏡前処理で有効
目的領域の選択がしやすい
特定の領域(例:海馬CA1、皮質層IVなど)を選んで切片化可能
活用例(研究応用)
脳神経回路の微細構造解析:ビブラトームで脳組織をスライス → 特定部位を選んでTEM用に超薄切片化
がん研究:腫瘍組織から必要部位を厚切り → TEMで細胞間接着構造や異常なオルガネラを観察
マウスやラットの組織研究:肝臓、腎臓、小腸などの微細構造の前処理に使用
Precisionary ビブラトーム
Precisionary社のビブラトーム(振動式ミクロトーム)は、電子顕微鏡(特に透過型電子顕微鏡=TEM)の研究において、高品質な組織切片の前処理に非常に有効です。以下にその活用法を詳しく解説します。
Precisionary社のビブラトームの特徴
Precisionary社の代表的モデルは以下のような高機能性を備えており、電子顕微鏡試料作製に最適です。
固定組織の安定切断
グルタルアルデヒド等で化学固定済み組織を安定してカット
ゲルサポート技術
柔らかい組織(脳など)を包埋してブレなく切断
厚さ精度の高さ
例えば 30~300 µm など、厚さ設定が高精度で再現性が高い
切断中の振動制御
高速切断でも切断面が滑らかで歪みが少ない
【活用例:研究分野別】
神経科学
マウス脳をCompresstome®で切断 → CA1領域のシナプス構造をTEMで解析
腫瘍生物学
固定済み腫瘍組織から目的領域を厚切り → 樹脂包埋後にTEMでがん細胞の細胞間接着を解析
腎研究
腎皮質切片を均一に作成 → 糸球体や尿細管の微細構造をTEMで観察
消化器系研究
小腸絨毛構造や粘膜層の構造をSEMで観察するための厚切り前処理として使用
Precisionary社 Compresstome VF-510-0Zビブラトーム

アプリケーション
実験別
臓器
動物モデル
関連コンテンツ
Compresstome©ビブラトームの利点
アガロース包埋
アガロース包埋とは、Compresstome©振動型マイクロトームで組織切片を切り出す前に、組織試料をアガロース溶液で包埋することです。切片作製にかかる時間はほんのわずかで、より健康的で滑らかな組織スライドを作製できます。
Auto Zero-Z®テクノロジー
振動ヘッドは、Z軸方向の振動をなくすように正確に調整されています。Auto Zero-Z®テクノロジーは、生きた組織サンプルの表面細胞へのダメージを軽減し、薄切片のチャタリングを低減してイメージング結果を向上させます。
豊富なアプリケーション例
Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。
関連製品
flexiVent
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flexiVent肺機能測定・解析ソリューションは、in vivo呼吸力学測定のゴールドスタンダードとして広く知られています。従来の肺換気の抵抗とコンプライアンス力学を超え、中枢気道、末端気道、実質の力学的特性に関する重要な詳細を測定・解析します。
flexiVentは実験条件を精密にコントロールすることで、最高の感度と再現性を実現しています。
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vivoFlow
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vivoFlowは無拘束での呼吸機能解析装置です。全身、ヘッドアウト、ダブルチャンバーでの呼吸機能解析を提供します。
プレチスモグラフィは、意識のある自発呼吸の実験室被験者の肺機能を研究するための標準的な方法です。気圧脈波法では、被験者が呼吸している間、薬物やその他の刺激にさらされる前後に生じる流量と圧力の変化を測定します。さまざまな被験者のサイズやタイプに容易に適応でき、被験者を連続した実験日に何時間も研究する縦断的研究によく使用されます。

Etaluma Lumascope
インキュベーター内で使用できる3色蛍光ライブセルイメージング蛍光顕微鏡
EtalumaのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。日々顕微鏡を使用する科学者によって考案、設計され、そのコンセプトデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。
多点観察モデル、定点観察モデルがあり、様々な観察シーンに対応できます。
