副腎は、ストレス反応、代謝、ホルモン産生の調節において極めて重要な役割を果たしているため、研究における副腎の研究は極めて重要です。副腎に関する有意義な研究を行うには、健康で高品質の組織スライスを入手することが不可欠です。高品質のサンプルは、副腎の構造、ホルモン分泌、分子メカニズムの正確な分析を確実にします。組織切片の精度は、内分泌疾患、ストレス関連疾患、および副腎関連の健康問題に対処するための潜在的治療法の開発に関する知識を深めるために不可欠です。
副腎切片を作製する目的
副腎切片を作製する目的は、主に以下のような研究や診断に関連しています。
1. 組織学的観察
副腎の構造を顕微鏡で観察するために、切片が用いられます。
皮質(球状帯、束状帯、網状帯)や髄質の構造を明確に観察し、正常な形態と異常を比較することができます。
2. 病理診断
腫瘍(副腎皮質腺腫、副腎髄質腫瘍など)や副腎疾患(クッシング症候群、アルドステロン症など)の診断のために、組織切片が使用されます。
異常な細胞や組織構造の変化を確認します。
3. 免疫組織化学的研究
特定のタンパク質やホルモン(例:コルチゾール、アルドステロン、カテコールアミン)の分布を確認するために、免疫染色が行われます。
副腎皮質や髄質の細胞で発現している分子を特定し、機能や病態を調査します。
4. ホルモン分泌の研究
副腎切片を用いて、ホルモンの分泌を調べる実験が行われることがあります。
例えば、副腎皮質から分泌されるアルドステロンやコルチゾール、副腎髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンの分泌機構を研究します。
5. 発生学的・発達的研究
副腎の発生過程や成長過程を研究するために、胚や若齢個体の副腎切片が用いられることがあります。
発達中の副腎構造の変化を解析するのに有用です。
6. 薬理学的研究
副腎切片を使って、薬剤の効果や毒性を調査します。
薬剤が副腎ホルモン分泌や細胞構造に与える影響を評価します。
副腎切片の作製は、上記の目的に応じて適切な固定法(例:ホルマリン固定)や染色法(例:HE染色、免疫染色など)を選択して行われます。
副腎研究のアプリケーション例
副腎に関する研究のアプリケーションは多岐にわたり、基礎科学から臨床応用まで幅広い分野で利用されています。以下に具体例を挙げます。
1. 疾患研究
副腎疾患の病因解明
アルドステロン症やクッシング症候群など、ホルモン過剰分泌症の原因を調べる。
副腎皮質不全(アジソン病)や副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫)の分子機序の研究。
副腎腫瘍の診断と分類(良性腺腫 vs 悪性癌)。
遺伝的要因の研究
遺伝子変異(例:CYP11B2やPRKACA)と副腎疾患の関連性を解明する。
2. ホルモン分泌のメカニズム研究
副腎皮質ホルモン
アルドステロンやコルチゾールの合成・分泌の調節機構。
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の役割。
副腎髄質ホルモン
アドレナリンやノルアドレナリンのストレス応答での役割。
自律神経系との相互作用。
3. 薬理学的アプリケーション
治療薬の開発
ミトタン(副腎癌治療薬)やスピロノラクトン(アルドステロン症治療薬)などの効果検証。
新しい抗ホルモン剤やホルモン合成阻害薬の探索。
薬剤の毒性評価
副腎機能に対する薬剤の毒性や影響を調査するためのin vitroまたはin vivo研究。
4. ストレス応答と慢性疾患の研究
慢性的なストレスによる副腎疲労や過剰反応のメカニズム。
副腎ホルモンがメタボリックシンドロームや高血圧に与える影響。
精神疾患(うつ病、PTSD)とコルチゾール分泌異常の関連性。
5. 発生学と再生医療
発生学的研究
胚発生時の副腎皮質と髄質の分化と発達メカニズム。
副腎の再生能力や幹細胞研究。
臓器工学
副腎オルガノイドの作製と薬剤試験への応用。
6. バイオマーカー研究
血中や尿中の副腎ホルモン(例:コルチゾール、カテコールアミン)を用いた疾患診断。
ホルモン代謝産物の測定による病態進行のモニタリング。
7. エピジェネティクスと環境因子研究
エピジェネティクスの変化が副腎ホルモン分泌や疾患に与える影響。
環境ストレス(化学物質、食事、気候変動)が副腎機能に与える影響の解析。
これらのアプリケーションは、基礎的な生理学的知見を深めるだけでなく、新しい治療法や診断法の開発に直結しています。特に副腎ホルモンの調節が多くの全身性疾患に影響を与えるため、研究の応用範囲は非常に広いといえます。
Compresstome®ビブラトームの利点
優れた形態:組織の安定化により、組織の構造的完全性が保たれます。
滑らかな切片:組織安定化=アーチファクトなし
高速:圧縮による組織の安定化により、切片作製が格段に速くなります。
メンテナンスが簡単:オートZero-Zは、キャリブレーション不要のZero-Zを意味します。
使いさすさ:多くの研究室ではCompresstomeによって1回目または2回目で多くの生細胞を含む非常に滑らかなスライスを得ることができます。
従来の振動ミクロトームの問題点
形態の変化:組織の断裂、折れ曲がり、破砕により、組織に歪みが生じる。
スライス厚のばらつき:不均一な厚みはタンパク質の可視化に影響を与える。
切断アーチファクト:タンパク質染色に影響を与える明らかな切断アーチファクト。
メンテナンスとキャリブレーション:専門的な知識を必要とし、メンテナンスに時間がかかる。
習得の難しさ:特に組織前処理に慣れていないユーザーにとっては、完璧な結果を得るには多くの練習が必要。
Compresstome® ビブラトーム
実験の質は、組織切片の質に左右されます。Compresstome® ビブラトームは、他のビブラトームと比較して、薄切片をより安定的に、より信頼性高く作製できる ことが科学的に証明されています。
Compresstome® のビブラトームは、以下のような方法で、ビビリ痕のない安定した厚さの組織切片を作成します。
360度のアガロース包埋により、切断プロセス中に組織を安定化させる。
高速スライスを可能にすることで、連続切片作製の時間を短縮します。
高周波振動メカニズムにより、ビビリマークを低減または除去。
特許取得のAuto Zero-Z®テクノロジーにより、カッティングブレードのZ軸方向のたわみをなくすことで、ビビリマークを低減。

Compresstome® 振動式ミクロトームと他社製振動式ミクロトームの切片の比較(A, C)。他社製ビブラトームで同じ切削速度と振動で組織スライスを作製した場合、組織スライスの表面にビビリマークが発生している。
Precisionary ビブラトーム VF-510-0Z
Precisionary Compresstome® VF-510-0Zは細胞や組織の切片を特許取得済みの圧縮技術によりビビリなしで作製し、急性組織上の多くの生存細胞を維持します。解析した後、組織を取り出しスライスしたり、組織1つから複数の組織サンプルを取得することが可能です。
特許取得済みの圧縮技術によりビビリ・チャタリングなしで切片を作製し、急性組織上の多くの生存細胞を維持。良質な実験結果を保証します。
従来のビブラトームの5倍の速さで切開し、ブレードを組織に当てる時間を短縮し、より良い切開を実現
Auto Zero-Zテクノロジーにより、Z軸のたわみを1 µm未満に低減
持ち運びに便利な軽量設計
完全自動化:切開+厚み調整
Precisionary社 Compresstome VF-510-0Zビブラトーム

アプリケーション
実験別
臓器
動物モデル
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Compresstome©ビブラトームの利点
アガロース包埋
アガロース包埋とは、Compresstome©振動型マイクロトームで組織切片を切り出す前に、組織試料をアガロース溶液で包埋することです。切片作製にかかる時間はほんのわずかで、より健康的で滑らかな組織スライドを作製できます。
Auto Zero-Z®テクノロジー
振動ヘッドは、Z軸方向の振動をなくすように正確に調整されています。Auto Zero-Z®テクノロジーは、生きた組織サンプルの表面細胞へのダメージを軽減し、薄切片のチャタリングを低減してイメージング結果を向上させます。
豊富なアプリケーション例
Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。
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