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突き刺し試験(穿刺抵抗試験)による軟組織・ハイドロゲル・生体材料の局所破壊評価

  • 3 日前
  • 読了時間: 14分

突き刺し試験(穿刺抵抗試験、puncture testing)は、針やプローブを試験片へ一定条件で押し込み、局所的な侵入や貫通に対する抵抗を評価する試験です。穿刺試験とも呼ばれ、針の刺入、膜の破裂、薄膜の貫通、ハイドロゲルの局所破壊など、実際の使用時に生じる集中荷重を再現するために用いられます。

軟組織、ハイドロゲル、膜、コーティング、組織工学材料では、材料全体を引っ張る引張試験や、面で押す圧縮試験だけでは、針先や突起物が接触したときの破壊挙動を十分に評価できない場合があります。突き刺し試験では、穿刺時の力と変位を記録することで、穿刺抵抗、破断力、穿刺前の変形、速度依存性などを定量化できます。

CellScale社のUniVertは、生体材料や軟組織の力学評価に適した卓上型の一軸材料試験システムです。穿刺治具と試験片に適したフォースセンサーを組み合わせることで、ハイドロゲル、組織、膜、薄膜などの変位制御・荷重制御による突き刺し試験に対応します。



突き刺し試験(穿刺抵抗試験)による軟組織・ハイドロゲル・生体材料の局所破壊評価






突き刺し試験・穿刺抵抗試験とは


突き刺し試験・穿刺抵抗試験とは

突き刺し試験では、試験片を支持または固定し、針、インデンター、プローブなどを所定の速度で試験片へ押し込みます。その間の力と変位を連続的に記録し、侵入開始から変形、破断、貫通に至るまでの応答を評価します。

突き刺し試験は、材料へ局所的に荷重を集中させる点が特徴です。そのため、次のような研究課題に適しています。

  • 針が組織へ刺入するとき、どの程度の力が必要か

  • 膜や薄膜が破れるまでに、どの程度の荷重や変位へ耐えられるか

  • 材料配合、架橋条件、含水率、厚さの違いが穿刺抵抗へ与える影響

  • コーティングや表面処理によって針の侵入挙動がどのように変化するか

  • 穿刺速度によって破断力や破壊挙動がどのように変化するか

  • 温度や水和状態が軟組織・ハイドロゲルの穿刺特性へ与える影響



突き刺し試験で評価できる主な項目

突き刺し試験では、力―変位曲線を基礎データとして、目的に応じた指標を評価します。

評価項目

得られる情報

穿刺力・貫通力

プローブや針が材料へ侵入または貫通するときに必要な力

最大穿刺力・破断力

試験中に記録された最大荷重、または膜・材料が破断した時点の荷重

力―変位挙動

穿刺開始から変形、破断、貫通までの連続的な材料応答

穿刺剛性

破断前の荷重増加と変位の関係から評価する局所的な変形抵抗

膜の破裂・引裂進展

初期破断の発生と、その後の引裂き・損傷進展の挙動

局所変形

破断に至る前に試験片周辺で生じるたわみや変形

速度依存性

穿刺速度の違いによる穿刺力、剛性、破断挙動の変化

水和・温度の影響

乾燥/液中、温度条件の違いによる材料応答の変化

穿刺エネルギー

必要に応じて、力―変位曲線の面積から評価する貫通・破壊までの仕事量

※採用する指標、算出区間、破断点の定義は、試験目的、材料、プローブ形状、参考規格や論文に合わせて事前に定めることが重要です。



突き刺し試験と引張・圧縮・押込み試験の違い

材料の力学特性は、荷重の加え方によって見え方が変わります。突き刺し試験は、他の試験を置き換えるものではなく、局所的な侵入や破壊に関する情報を補完する試験です。

試験方法

荷重の加え方

主な評価対象

適した研究目的

突き刺し試験・穿刺抵抗試験

針やプローブで局所的に押し込み、破断・貫通させる

穿刺力、破断力、貫通挙動、膜の健全性

針刺入、膜破裂、薄膜貫通、局所破壊の評価

押込み試験(インデンテーション)

プローブで局所的に押し込む

局所剛性、硬さ、変形応答

多くの場合、破断前の局所的な材料特性の評価

引張試験

試験片の両端を引っ張る

引張強度、弾性率、破断伸び

材料全体の引張特性や異方性の評価

圧縮試験

面またはプラテンで試験片を押す

圧縮剛性、圧縮強度、粘弾性

バルク材料の圧縮応答や荷重支持性の評価

例えば、同じハイドロゲルでも、圧縮試験では十分な強度を示す一方、細い針や突起物による局所荷重では早期に破断する可能性があります。実際の使用環境で生じる荷重様式に合わせ、複数の試験を組み合わせることが、材料特性の包括的な理解につながります。



生体材料研究における突き刺し試験の主な用途

針―組織相互作用の評価

注射針、マイクロニードル、穿刺デバイスなどが組織へ侵入するときの力を測定し、刺入抵抗、組織の変形、デバイスと組織の相互作用を評価します。薬物送達や低侵襲デバイスの研究では、針形状、表面処理、穿刺速度、対象組織の違いを比較するために利用できます。


膜・薄膜の健全性評価

生体膜、ECMシート、エラストマーフィルム、ポリマー膜、コーティングなどに対し、局所荷重による破裂や引裂きの開始を評価します。引張試験では再現しにくい、点または小さな接触面から始まる損傷を定量化できます。


ハイドロゲル・軟質バイオマテリアルの評価

ハイドロゲルは、大きな均一変形よりも、針や突起物の接触部から局所的に損傷することがあります。材料配合、架橋密度、含水状態、厚さ、培養期間などの条件を変え、穿刺抵抗や破断挙動を比較できます。


医療材料・組織工学材料の開発

創傷被覆材、カテーテル関連材料、インプラント材料、組織工学スキャフォールドなど、使用中に局所的な荷重を受ける材料の耐久性評価に利用できます。製造条件、滅菌、保管、処理前後の比較試験にも応用できます。


局所損傷・破壊モデルの構築

穿刺時の力―変位データは、組織損傷、破裂開始、局所破壊を再現する数値モデルや有限要素解析の入力・検証データとして活用できます。



突き刺し試験の主な対象サンプル


突き刺し試験の主な対象サンプル

  • ハイドロゲル、ソフトポリマーゲル

  • 皮膚、創傷治癒関連組織、創傷被覆材

  • 血管、心臓組織などの軟組織

  • 生体膜、胎膜、ECMシート

  • 薄いエラストマーフィルム、ポリマー薄膜

  • コーティング、バリア材料

  • 組織工学スキャフォールド、3D培養構造体

  • バイオインク・3Dバイオプリント構造体

  • 小型の医療機器材料、ウェアラブル材料

試験可能性は、サンプルの寸法、厚さ、形状、予想荷重、固定方法、必要な穿刺深さによって変わります。試験片が極めて小さい、または穿刺力が非常に小さい場合は、UniVertに加えてCellScale社MicroTesterも選択肢となります。



突き刺し試験の流れ:再現性の高い測定に向けた5ステップ

1.研究目的と評価指標を定める

最大穿刺力、破断力、穿刺剛性、穿刺エネルギー、速度依存性など、比較したい指標を決めます。同時に、破断点や貫通点をどのように判定するかを定義します。


2.プローブ・針と試験片固定条件を選ぶ

先端形状、直径、鋭さ、材質は、穿刺力と破壊様式へ大きく影響します。臨床用の針を再現するのか、鋭利な穿刺を評価するのか、鈍いプローブによる貫通を評価するのかを明確にします。膜や薄膜では、支持部の開口径、クランプ方法、初期張力も統一します。


3.フォースセンサーと試験条件を設定する

予想される荷重に適したフォースセンサーを選択し、穿刺速度、移動距離、予備荷重、接触検出条件、停止条件などを設定します。粘弾性材料や生体組織では速度依存性が現れるため、速度を比較する場合は十分なデータ取得条件も検討します。


4.水和状態・温度を管理して測定する

軟組織やハイドロゲルでは、乾燥や温度変化が測定結果へ影響する可能性があります。試験前の浸漬時間、溶液、温度、試験開始までの時間を統一します。必要に応じて、カスタム治具と液中環境を組み合わせた試験を検討します。


5.力―変位曲線を解析し、試験条件とともに報告する

最大荷重だけでなく、変形開始、破断前の勾配、破断時の変位、破断後の荷重変化も確認します。結果には、針・プローブ形状、穿刺速度、試験片厚さ、支持条件、温度、水和条件、センサー容量などを記録し、異なる実験間で比較できるようにします。



穿刺抵抗試験の再現性を左右する条件

突き刺し試験では局所的な破壊を扱うため、わずかな条件差が測定値へ反映されやすくなります。特に次の項目を統一することが重要です。

条件

確認ポイント

プローブ・針

先端形状、直径、材質、鋭さ、使用回数、ロット

穿刺速度

一定速度で実施するか、複数速度を比較するか

試験片

厚さ、寸法、採取方向、試験位置、表面状態

固定・支持

クランプ圧、開口径、初期張力、中心位置、たるみ

試験環境

温度、溶液、pH、水和時間、乾燥防止

接触条件

予備荷重、接触検出方法、開始位置

センサー

予想荷重に適した容量、分解能、校正状態

繰り返し

サンプル数、試験位置の間隔、ランダム化、除外基準

生体組織や不均一材料では、同一試験片内でも位置によって特性が異なる場合があります。比較試験では、採取部位や穿刺位置をそろえ、必要に応じて複数位置・複数試験片を測定します。



CellScale UniVertが突き刺し試験に適している理由

穿刺専用治具による局所侵入試験

UniVertは、穿刺治具を使用した局所的な侵入・膜健全性試験に対応します。変位制御または荷重制御により、ハイドロゲル、軟組織、膜、薄膜の穿刺力と破壊挙動を評価できます。


穿刺専用治具による局所侵入試験


試験片に合わせて選べるフォースセンサー

UniVertシリーズは、適切なセンサー構成により約0.02 Nの低荷重領域から、UniVert 1kNでは最大1,000 Nまでのプラットフォームレンジに対応します。柔らかい材料の小さな穿刺力から、比較的高い荷重を必要とする材料まで、予想荷重に合わせた構成を選択できます。


速度を制御した穿刺プロトコル

プローブの移動速度を制御し、一定条件で力と変位を記録できます。UniVert SへS2 Performance Upgradeを追加した構成では、最大速度とデータ取得レートが向上するため、穿刺挙動の速度依存性を比較する試験にも利用できます。


液中・温度条件を考慮したカスタム構成

軟組織やハイドロゲルでは、水和状態を維持した測定が重要です。試験目的とサンプル形状に応じて、カスタム治具や環境構成を組み合わせ、液中・温度制御下での穿刺試験を検討できます。

液中・温度条件を考慮したカスタム構成

画像と力学データを組み合わせた観察

標準の画像取得に加え、Scientific Imaging Systemを組み合わせることで、試験中の局所変形や破壊過程を画像で確認できます。力―変位曲線だけでは判断しにくい、破断開始位置や不均一な変形の解釈を補助します。


LabJoyソフトウェアによる試験制御とデータ記録

付属のLabJoyソフトウェアでは、荷重・変位制御、複数ステップ、繰り返し条件を設定し、試験中のデータをリアルタイムで確認できます。取得したデータは、条件間の比較や追加解析のために出力できます。

LabJoyソフトウェアによる試験制御とデータ記録

1台で複数の力学試験へ拡張

UniVertは、穿刺試験だけでなく、引張、圧縮、3点曲げ、剥離、疲労、粘弾性、せん断、ねじりなどへ拡張できるモジュール式システムです。同じ材料を異なる荷重様式で評価し、局所特性とバルク特性を組み合わせて検討できます。



UniVertシリーズの主な仕様

仕様

UniVert S

UniVert S+S2 Performance Upgrade

UniVert 1kN

最大荷重容量

200 N

200 N

1,000 N

フォースセンサー範囲

0.02~200 N

0.02~200 N

0.02~1,000 N

最大速度

20 mm/s

100 mm/s

20 mm/s

最大データ取得レート

100 Hz

500 Hz

100 Hz

※上記はUniVertプラットフォームの仕様です。実際の穿刺試験に適した測定レンジ、速度、治具、液中環境は、サンプルと試験条件によって異なります。



UniVertを使用した突き刺し試験の装置選定

突き刺し試験では、装置の最大荷重だけでなく、針・プローブ、試験片の固定、測定レンジ、試験速度、環境制御を含めて構成を選ぶ必要があります。

オレンジサイエンスでは、次の情報をもとに、研究目的に適したUniVertの構成をご提案します。

  • 試験片の種類、形状、寸法、厚さ

  • 想定される穿刺力・最大荷重

  • 使用したい針またはプローブの形状と寸法

  • 測定したい指標と破断点の定義

  • 穿刺速度と必要なデータ取得レート

  • 試験片の支持・固定方法

  • 液中測定・温度制御の必要性

  • 画像記録・局所変形観察の必要性

  • 参考にしている論文、試験規格、既存プロトコル



よくある質問

突き刺し試験、穿刺抵抗試験、穿刺試験は同じ試験ですか?

いずれも、針やプローブを材料へ押し込み、局所的な侵入・破断・貫通に対する抵抗を評価する試験を指す言葉として使われます。ただし、分野や規格によって試験片、プローブ、速度、評価指標が異なるため、名称だけでなく具体的な試験条件を確認することが重要です。英語ではpuncture testing、puncture resistance testingなどと呼ばれます。


突き刺し試験では何を測定できますか?

代表的な測定項目は、穿刺力、最大荷重、破断力、破断時変位、力―変位挙動、穿刺剛性、局所変形、速度依存性です。試験設計によっては、力―変位曲線から穿刺エネルギーを算出できます。


押込み試験と突き刺し試験の違いは何ですか?

押込み試験は、一般に材料を貫通させず、局所的な剛性や変形応答を評価します。突き刺し試験は、針やプローブによる侵入から破断・貫通までを評価する点が異なります。ただし、境界は試験目的やプロトコルによって変わるため、使用するプローブと終了条件を明確にします。


ハイドロゲルの穿刺抵抗を測定できますか?

はい。UniVertは、ハイドロゲル、軟組織、膜などの突き刺し試験に適しています。柔らかい試験片では穿刺力が小さいため、予想荷重に合ったフォースセンサーと、試験片の変形や滑りを抑える固定方法を選択します。


生体組織を液中で試験できますか?

試験目的、試験片形状、穿刺治具に合わせたカスタム構成により、液中での突き刺し試験を検討できます。生体組織やハイドロゲルでは、溶液、温度、水和時間を統一することが再現性の向上に重要です。


穿刺速度は結果へ影響しますか?

影響する可能性があります。軟組織、ハイドロゲル、ポリマーなどの粘弾性材料は、侵入速度によって穿刺力や破断挙動が変化することがあります。速度依存性を評価する場合は、複数の速度条件で比較します。


市販の注射針や独自形状のプローブを使用できますか?

試験内容に合わせたカスタム治具を検討できます。針またはプローブの寸法、固定方法、必要な移動距離、予想荷重などをご提示ください。


UniVert SとUniVert 1kNのどちらを選べばよいですか?

ハイドロゲル、軟組織、膜などの低~中荷重試験では、一般にUniVert Sが候補になります。高い穿刺力が予想される材料や、穿刺試験以外の高荷重試験も同じ装置で行う場合は、UniVert 1kNを検討します。最終的には、予想荷重、必要な分解能、速度、治具、試験環境をもとに選定します。



突き刺し試験・穿刺抵抗試験についてご相談ください

突き刺し試験の再現性を高めるには、装置だけでなく、フォースセンサー、針・プローブ、試験片固定、穿刺速度、温度、水和条件を一つの試験系として設計することが重要です。

オレンジサイエンスでは、軟組織、ハイドロゲル、膜、薄膜、スキャフォールド、医療材料などのサンプル情報と研究目的を確認し、CellScale UniVertの構成をご提案します。現在使用しているプロトコルや参考論文がある場合も、あわせてご相談ください。


突き刺し試験・穿刺抵抗試験についてご相談ください








製品のご紹介


CellScale社 UniVert/卓上 引張・圧縮・3点曲げ試験機

生体サンプルから工業製品の試験に



UniVert



 CellScale社のUniVertは、生体サンプルなどのバイオマテリアル試験に最適です。クリップやプレートなど様々なアタッチメントに対応し、生体組織、ゲル、フィルム、ファイバーなどの多様なサンプルでの強度測定に優れています。


 圧縮、引張、3点曲げなどのモードがあり、ロードセルは着脱式で、4.5N~200N(*1Kgモデルは1Kgまで)での測定が可能です。また、オプションのバスを取り付けることにより、横型、縦型での液中での測定も可能です。







MicroTester

マイクロスケール圧縮強度測定装置

MicroTesterはマイクロスケール生体サンプルや微粒子の粘弾性測定に特化した粘弾性測定装置です。

 

1㎜以下径のビーム(カンチレバー)とプレートで直接サンプルに接触して、非破壊で約0.005~500µNの粘弾性試験が可能です。生体サンプルの試験に特化し工業用の試験機では実現できないコンパクトさ、試験レンジを実現し、精度の高い試験・解析が可能となりました。チャンバー前方に取り付けられた高解像度カメラにより、サンプルの変位の画像解析も可能です。



MicroTester





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​Mechano Cultureシリーズの機械的刺激培養装置はモデルにより、360度伸展、シリコンチャンバー伸展、マテリアル伸展、流体圧縮、機械的圧縮+データ測定、マテリアル伸展+データ測定が可能です。



Mechano Cultureシリーズ




STREX/ストレックス社

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STBシリーズ




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