細胞分化・形態変化・細胞分裂をタイムラプスで観察
- 3 日前
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Etaluma社Lumascopeによるライブセルイメージング
細胞分化、細胞増殖、細胞分裂などの生命現象を理解するためには、実験前後の画像を比較するだけでなく、細胞が時間とともにどのように変化したかを継続的に観察することが重要です。
細胞分化の過程では、細胞の大きさ、形状、突起、核、コロニー構造、細胞間接着などに変化が現れることがあります。また、細胞分裂では、細胞の円形化、染色体の分配、分裂溝の形成、娘細胞への分離といった一連の現象が進行します。
Etaluma社のLumascope(ルマスコープ)は、細胞培養インキュベーター内に設置できるコンパクトな倒立型蛍光顕微鏡です。培養環境を維持しながら、明視野、位相差、3色蛍光による画像、動画、タイムラプスシリーズを取得できます。

細胞の形態変化を「結果」ではなく「過程」として記録
細胞分化や細胞分裂は、一定の時点で突然完了する現象ではありません。刺激への応答、細胞形態の変化、分裂、移動、細胞間相互作用などが時間とともに進行します。
固定した細胞を観察する方法では、それぞれの時点における高精細な情報を取得できますが、同じ細胞がどのような経過をたどったかを直接追跡することは困難です。
タイムラプスライブセルイメージングでは、同一の細胞または細胞集団を一定間隔で撮影することにより、次のような変化を連続的に記録できます。
細胞分化に伴う形態変化
細胞の伸長や突起形成
細胞の円形化や扁平化
細胞分裂の開始と完了
娘細胞の形成とその後の挙動
細胞増殖とコンフルエンスの変化
コロニーの形成や組織化
細胞移動と細胞間相互作用
薬剤添加前後の形態変化
蛍光マーカーの発現と形態の関係
Lumascopeでは、数秒、数分、数時間、数日といった実験計画に合わせてタイムラプス撮影を設定できます。撮影した画像はコンピューターへ直接保存されるため、長期間の変化を時系列データとして記録できます。
細胞分化に伴う形態変化の観察
細胞分化とは、未分化な細胞や前駆細胞が、特定の構造や機能を持つ細胞へ変化していく過程です。分化の進行に伴い、細胞種によって次のような形態変化が観察される場合があります。
神経系細胞の分化
神経幹細胞や神経前駆細胞では、分化の進行に伴って細胞体の形状が変化し、神経突起が伸長する場合があります。
タイムラプス撮影により、突起が形成されるタイミング、伸長方向、分岐、細胞間ネットワークの形成などを追跡できます。
Etaluma社では、ヒト神経幹細胞の接着、ラメリポディアの形成、移動、増殖、コロニー形成をタイムラプスで観察した研究例が紹介されています。
心筋細胞の分化・成熟
多能性幹細胞由来の心筋細胞では、分化や成熟の進行に伴って細胞の配列や形態が変化し、自律的な拍動が観察されるようになります。
Lumascopeでは、iPSC由来心筋細胞の拍動をライブ動画として観察した事例が公開されています。2次元培養だけでなく、脱細胞化マトリックスを使用した3次元培養での観察例もあります。
脂肪細胞の分化
脂肪細胞への分化過程では、細胞形態の変化に加え、細胞内に脂肪滴が形成・蓄積する様子が観察されます。
明視野または位相差による形態観察と、脂肪滴や分化マーカーに対応した蛍光染色を組み合わせることで、分化の進行を多角的に評価できます。
骨芽細胞・軟骨細胞への分化
間葉系幹細胞から骨芽細胞や軟骨細胞への分化では、細胞密度、細胞形状、細胞外基質の形成、細胞集団の構造などが変化します。
タイムラプス観察は、分化誘導条件ごとの形態変化や、コロニー形成過程を比較する用途に活用できます。
オルガノイド・細胞コロニーの形成
幹細胞や前駆細胞から形成されるオルガノイドや細胞コロニーでは、サイズ、輪郭、内部構造、細胞の配置などが時間とともに変化します。
Etaluma社のユーザー事例では、Lumascopeを用いて、iPSCの分化やコロニー内での組織化を複数日にわたりタイムラプス観察した例が紹介されています。
位相差による非染色細胞の形態観察
細胞の形態や分裂を継続的に観察する場合、蛍光標識を使用せずに生細胞を観察したいケースがあります。
通常の明視野観察では、透明な培養細胞と背景のコントラストが低く、細胞の輪郭や内部構造を確認しにくいことがあります。
位相差観察では、細胞を染色することなく、生きた状態の細胞を比較的高いコントラストで観察できます。次のような用途に適しています。
細胞の輪郭や形状の確認
接着状態の観察
細胞の伸展・収縮の観察
細胞分裂のタイムラプス撮影
細胞増殖とコンフルエンスの確認
細胞移動やコロニー形成の観察
分化誘導前後の形態比較
薬剤処理後の形態変化の確認
LumascopeのLS820およびLS850は、明視野と位相差による透過光観察に対応しています。特に長期間の形態観察では、非染色で撮影できる位相差観察が、光毒性や蛍光退色を抑えたい実験に有効です。
蛍光観察で分化マーカーと細胞形態を関連付ける
細胞形態の変化は、細胞分化を評価するうえで重要な情報ですが、形態だけで細胞の分化状態を断定することはできません。
細胞形態観察に加えて、目的細胞に対応する分化マーカーを確認することで、より信頼性の高い評価が可能になります。
Lumascopeは、青・緑・赤の3色蛍光に対応しています。DAPI、Hoechst、FITC、GFP、Texas Red、mCherryなどの一般的な蛍光プローブや蛍光タンパク質を使用できます。
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
位相差画像による細胞形態の観察
核染色による細胞数や核形態の評価
GFPやmCherryによる分化関連遺伝子の発現観察
蛍光標識抗体による分化マーカーの確認
細胞骨格染色による突起や細胞形状の評価
細胞死マーカーと形態変化の比較
蛍光画像と明視野・位相差画像を同じ視野で取得することで、特定のマーカーを発現している細胞が、どのような形態を示しているかを比較できます。
細胞分裂をタイムラプスで観察
細胞分裂は、短時間のうちに複数の段階を経て進行します。観察間隔が長すぎる場合や、単一時点だけを撮影する場合には、分裂の開始や完了を捉えられないことがあります。
位相差または蛍光タイムラプスを使用すると、同一細胞の分裂過程を連続的に追跡できます。
観察できる主な現象
分裂前の細胞の円形化
核や染色体の形態変化
染色体の分配
細胞中央部における分裂溝の形成
細胞質分裂
2つの娘細胞への分離
分裂後の接着と伸展
娘細胞の移動や形態変化
正常分裂と分裂異常の比較
細胞分裂に要する時間
明視野または位相差では、細胞全体の輪郭や分裂の進行を非染色で観察できます。
さらに、核、染色体、細胞膜、細胞骨格などを蛍光標識することで、細胞分裂中の特定構造をより詳細に観察できます。
Etaluma社では、心筋細胞が分裂する様子を含むライブセルイメージング例を、Lumascopeのアプリケーションとして紹介しています。
細胞形態観察で評価できる項目
Lumascopeで取得したタイムラプス画像を利用することで、目的に応じて次のような指標を評価できます。
細胞数
一定時間ごとの細胞数を測定し、増殖速度や分裂頻度を比較します。
コンフルエンス
画像中で細胞が占める面積の割合を測定し、細胞増殖や培養状態を評価します。
細胞面積・周囲長
細胞の広がりや収縮など、形態変化を定量化します。
円形度・アスペクト比
細胞が円形に近いか、細長い形状を示しているかを評価します。
細胞突起
神経突起などの長さ、数、分岐、伸長速度を測定します。
核形態
核の面積、円形度、凝縮、分葉などを観察します。
コロニーサイズ
iPSC、ES細胞、幹細胞、がん細胞などが形成するコロニーの面積や成長速度を評価します。
細胞分裂時間
分裂開始から娘細胞の形成までに要する時間を測定します。
細胞移動
同一細胞を追跡し、移動距離、速度、方向、軌跡を評価します。
Etaluma社の細胞形態研究事例では、Lumascopeを用いて5分間隔、6日間の蛍光タイムラプス撮影が行われ、細胞密度、核サイズ、上皮細胞形態の経時的な変化が記録されています。
インキュベーター内で観察するメリット
一般的な顕微鏡で細胞を観察する場合、培養容器をインキュベーターから取り出して顕微鏡まで移動させる必要があります。
観察を繰り返すと、温度、CO₂濃度、湿度などの培養条件が変化し、細胞の状態や実験結果に影響する可能性があります。
Lumascopeはコンパクトなため、細胞培養インキュベーター、低酸素チャンバー、安全キャビネットなどの限られたスペースに設置できます。培養容器を装置上に置いたまま撮影することで、観察のたびに細胞を移動させる必要を減らせます。
長期観察に適した培養環境
インキュベーター内で撮影することにより、次のような長期実験を実施しやすくなります。
数日間にわたる細胞分化
長期間の細胞増殖
細胞コロニーやオルガノイドの形成
細胞分裂の頻度や周期の観察
薬剤添加後の形態変化
低酸素環境における細胞応答
長期的な蛍光レポーター発現
複数条件の並行比較
細胞分化・形態観察の基本的な流れ
1.細胞と分化誘導条件を準備
観察対象となる細胞を培養し、研究目的に応じた分化誘導因子、培地、基質、薬剤などを準備します。
2.培養容器に細胞を播種
ディッシュ、フラスコ、スライド、マイクロプレートなど、実験に適した培養容器を選択します。
Lumascopeは、マイクロプレート、マイクロ流体チップ、スライド、ディッシュ、フラスコ、カスタムチャンバーなど、幅広いラボウェアに対応しています。
3.撮影条件を設定
次の項目を実験目的に合わせて設定します。
観察方法:明視野・位相差・蛍光
対物レンズの倍率
露光時間
蛍光チャンネル
撮影間隔
観察期間
観察位置数
Zスタックの範囲
オートフォーカスの条件
4.タイムラプス撮影を開始
細胞を安定した培養環境に維持しながら、設定した間隔で画像を取得します。
5.画像を解析
細胞数、面積、形状、突起、コロニー、分裂時間、蛍光強度などを、研究目的に応じて解析します。
6.分化マーカーや機能評価と組み合わせる
形態観察の結果を、免疫染色、遺伝子発現解析、タンパク質解析、代謝測定、電気生理学的測定などと組み合わせて評価します。
用途に合わせて選べるLumascope
LS820|同一視野の長期観察に

LS820は、明視野、位相差、青・緑・赤の3色蛍光に対応した倒立型顕微鏡です。
モーター駆動Zフォーカスを備え、画像ベースのオートフォーカスとZスタック撮影に対応しています。XY方向は手動ステージのため、特定の視野や少数のサンプルを継続的に撮影する用途に適しています。
主な用途
1つのコロニーの長期観察
細胞分化の定点観察
細胞分裂のタイムラプス
神経突起の伸長観察
蛍光マーカーと形態の比較
少数条件の薬剤応答試験
Zスタックによる立体的な形態確認
LS850|複数ウェル・複数視野の自動観察に

LS850は、電動XYステージ、モーター駆動Zフォーカス、オートフォーカス、Zスタックを備えた全自動モデルです。
複数のウェルや観察位置を自動で移動しながら撮影できるため、分化誘導条件、薬剤濃度、培地、基質などを比較する実験に適しています。Etaluma社は、複数視野や最大1536ウェルを対象とした複数日間の自動撮影に対応すると説明しています。
主な用途
複数の分化誘導条件の比較
マルチウェルプレートの自動撮影
複数コロニーの成長観察
多点での細胞分裂観察
薬剤濃度別の形態比較
多数の視野を用いた形態解析
ハイコンテントイメージング
比較項目 | LS820 | LS850 |
|---|---|---|
明視野観察 | 対応 | 対応 |
位相差観察 | 対応 | 対応 |
3色蛍光観察 | 対応 | 対応 |
オートフォーカス | 対応 | 対応 |
Zスタック | 対応 | 対応 |
XYステージ | 手動 | 電動・自動 |
適した観察 | 定点・少数サンプル | 多点・複数ウェル |
主な用途 | 同一細胞の長期追跡 | 複数条件の自動比較 |
長期タイムラプス撮影で注意するポイント
撮影間隔
細胞分裂のように比較的短時間で進行する現象では短い撮影間隔、細胞分化やコロニー形成では比較的長い撮影間隔を設定します。
必要以上に撮影頻度を高くすると、データ量が増えるだけでなく、蛍光観察では細胞への光負荷が大きくなる可能性があります。
露光時間と照明強度
蛍光観察では、必要なシグナルを取得できる範囲で、露光時間と照明強度を抑えることが重要です。
LumascopeはLED光源と高性能光学系を採用し、長期ライブセルイメージングにおける光毒性を抑えるよう設計されています。
オートフォーカス
長時間の撮影では、温度変化や培養容器の状態によりフォーカス位置が変化する場合があります。
LS820とLS850のオートフォーカス機能を使用することで、タイムポイントごとのピントずれを抑えやすくなります。
観察位置
細胞密度や分化状態に偏りがある場合、1視野だけではサンプル全体を代表できない可能性があります。
複数視野を撮影する場合は、電動XYステージを搭載したLS850が適しています。
解析条件
細胞面積、円形度、蛍光強度などを比較する際は、倍率、露光時間、照明強度、画像処理条件を可能な限り統一します。
形態観察だけで細胞分化を判定できますか?
細胞形態は、分化状態を評価するための重要な指標の一つです。しかし、形態が類似していても、細胞の遺伝子発現、タンパク質発現、機能が異なる場合があります。
そのため、細胞分化の判定では、形態観察に加えて次のような評価を組み合わせることが推奨されます。
分化マーカーの免疫蛍光染色
蛍光レポーターの発現
qPCRによる遺伝子発現解析
ウェスタンブロッティング
フローサイトメトリー
細胞種に応じた機能評価
代謝活性や分泌物の測定
Lumascopeは、分化過程の時間的・空間的変化を画像として記録する装置です。遺伝子発現量やタンパク質量を直接測定する装置ではないため、研究目的に合わせて分子生物学的な測定方法と組み合わせて使用します。
細胞分化・細胞形態観察に関するよくある質問
Lumascopeで生きた細胞の形態を観察できますか?
はい。明視野または位相差を利用して、培養中の生細胞を非染色で観察できます。インキュベーター内に設置できるため、培養環境を維持しながら長期間のタイムラプス撮影が可能です。
細胞分裂を観察できますか?
はい。位相差タイムラプスを利用することで、細胞の円形化、分裂溝の形成、娘細胞への分離、分裂後の伸展などを連続的に観察できます。
核や染色体を蛍光標識すれば、細胞分裂時の核構造や染色体の動態も観察できます。
細胞分化の観察には位相差と蛍光のどちらが適していますか?
細胞全体の形状や増殖、分裂を継続的に観察する場合は位相差が適しています。
特定の分化マーカーや細胞内構造を確認する場合は蛍光観察が適しています。研究目的に応じて両方を組み合わせることで、形態と分子マーカーを関連付けて評価できます。
神経突起の伸長を観察できますか?
はい。適切な倍率と位相差条件を選択することで、神経系細胞の突起形成や伸長をタイムラプスで観察できます。
蛍光標識を併用すれば、特定の細胞や細胞骨格に関連する構造を識別しやすくなります。
iPSCの分化観察に使用できますか?
使用できます。Lumascopeは、iPSCコロニーの成長、形態変化、分化、コロニー内での組織化などの長期観察に使用された事例があります。
複数の分化条件を比較できますか?
複数ウェルや複数位置を自動撮影する場合はLS850が適しています。
分化誘導因子の種類、濃度、培地、基質、細胞密度などの条件ごとに撮影位置を設定し、形態変化を比較できます。
どの程度の頻度で撮影すればよいですか?
適切な撮影間隔は、対象となる現象によって異なります。
細胞分裂や急速な形態変化では数分間隔、細胞分化やコロニー形成では数十分から数時間間隔が検討されます。蛍光撮影では、光毒性や蛍光退色とのバランスを考慮して設定します。
3次元培養の観察はできますか?
培養容器やサンプルの厚さ、必要な観察深度によって異なりますが、Zスタック機能を利用して複数の焦点面を撮影できます。
ただし、厚いオルガノイドやスフェロイド内部の詳細観察では、広視野蛍光顕微鏡の特性上、焦点外光の影響を受けることがあります。必要な深度や解像度によっては、共焦点顕微鏡などとの併用を検討します。
細胞観察に適したLumascope構成をご提案します
細胞分化、形態変化、細胞分裂の観察に適した顕微鏡構成は、細胞種、培養容器、観察期間、倍率、撮影位置数、蛍光色素などによって異なります。
オレンジサイエンスでは、研究内容に合わせて、Lumascopeのモデル、対物レンズ、位相差観察、蛍光チャンネル、タイムラプス撮影、多点観察などの構成をご提案します。
お問い合わせの際に、次の情報をお知らせください。
観察対象となる細胞
分化させる細胞種
観察したい形態変化
使用する培養容器
使用予定の蛍光色素・蛍光タンパク質
必要な倍率
撮影するウェル数・視野数
撮影間隔と観察期間
インキュベーターの種類
定点観察または多点観察の希望


etaluma社 ライブセルイメージングシステム Lumascope

エタルマのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。
そのコンセプトのデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。
LS820
LS820 は、現行のモデルにオートフォーカス機能が追加され、低コストでのオートフォーカス3色蛍光観察が可能になりました。ソフトウエアも新しくなり、より簡単に、高画質な画像データの取得ができます。
LS850
LS850 は、現行の自動XYステージのついたLS720全自動モデルの改良版です。新たな位相差技術により、位相差照明をコンパクトにし、オプションのタレットにより、4つの対物レンズを搭載することが可能となりました。
各モデルの詳細は下記からご確認下さい。

