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クライオスタットとコンプレストームの比較:コストと性能から見る切片作製装置

  • Orange Science
  • 10月22日
  • 読了時間: 10分

長年、組織切片作製といえば「クライオスタット」が主流でした。しかし、凍結操作によるアーティファクトや設備コストの高さが課題とされてきました。

Precisionary社のコンプレストーム(Compresstome)は、これらの問題を解決する革新的なビブラトーム型切片装置です。


コンプレストームはクライオスタットと比較し、費用が安く導入できます。これまでは切片作成の選択肢がクライオスタットしかありませんでしたが、コンプレストームの登場で、より安い費用で正確な組織切片を作製できるようになりました。クライオスタットに代わる新たな選択肢として、低コストで高品質な切片作製を可能にする点が評価されています。


コストと導入性の比較:コンプレストームはクライオスタットよりも手軽な選択

クライオスタットは装置サイズが大きく、冷却装置や定期メンテナンスが必要で、導入・維持コストが高いことが課題です。

一方で、コンプレストームは卓上サイズ(約6kg)のコンパクト設計で、冷却システムを必要とせず、設置も容易。

導入費用もクライオスタットと比較して大幅に低く抑えることが可能です。


技術的特徴の比較

項目

コンプレストーム VF-510-0Z

クライオスタット

装置サイズ

330 × 255 × 195 mm(コンパクト・卓上設置可)

約 780 × 700 × 1280 mm(床置き型)

重量

6 kg(13 lbs)— ポータブル

127–200 kg(280–440 lbs)— 重く移動困難

切片厚範囲

4–1000 µm — 生・固定・厚切りに対応

0.5–100 µm — 超薄切片用

切片形態

組織構造を保持し、変形が最小限

凍結による構造損傷・氷晶アーティファクト発生

スライス品質

均一で平坦な切片

操作精度・凍結条件に依存

操作性

簡単で短時間のトレーニングで使用可能

学習コストが高く環境依存

動作環境

室温下で使用可能、冷却設備不要

低温環境と凍結媒体が必要

特許技術

圧縮補助スライス技術により高精度化

従来型設計で革新性は低い


  • コンプレストームは小型で使いやすく、組織をより良好に保持。



実験応用の広がり

コンプレストームは、生体組織研究・免疫染色・腫瘍スライス薬剤試験・組織透明化など、現代の研究で求められる幅広い用途に対応します。

特に、生きた組織(ライブスライス)を扱える点がクライオスタットにはない強みです。



実験用途の柔軟性

アプリケーション

コンプレストーム

クライオスタット

組織学


生切片は電気生理、カルシウムイメージング、切片培養に最適です


凍結により組織が破壊されます

組織透明化・3Dイメージング


十分な厚みがあり安定した切片により、ホールマウント染色、深部イメージングに最適です


切片が薄く損傷が多いため、安定しません

腫瘍切片・薬効テスト


無傷の切片により、正確な薬効が見られます


凍結による変化や損傷のため、適切ではありません

免疫染色(IHC)


厚みのある切片は抗体浸透に機能します


通常、凍結した薄い切片が最適です

生切片培養


状態の良い切片は長時間の培養に理想的です


凍結切片は適切ではありません

組織タイプ

1台で固定組織、生組織の切片作成が可能です

凍結切片でしか使用できません

作業スピード

速い


サクロースの浸透などの前処理が少ないです

遅い


一晩サクロースの浸透が必要です


コンプレストームは現代の多様な解析手法に幅広く対応。


保証とサポート

Precisionary社のコンプレストームは5年間保証を提供し、デモにも対応。

導入後もスタッフによる技術サポートやプロトコル相談が受けられるため、初めての導入でも安心です。


保証とサポート

項目

コンプレストーム VF-510-0Z

クライオスタット

保証

5年 — 業界最長クラス

通常1–2年 — メーカーに依存

デモプログラム

ほぼ無(大型機のため困難)

メンテナンス

簡易清掃のみ、凍結機構なし

定期解凍・コンプレッサー整備が必要

トレーニング

簡易、短時間で習得可

専門的な冷凍技術訓練が必要

カスタマーサポート

研究者向けプロトコル支援・セットアップ対応

メーカーにより大きく異なる

輸送・設置

小型クレートで発送、設置容易

大型輸送・専門設置が必要



コンプレストームが選ばれる理由

  • 凍結アーティファクトなし、安定した切片品質

  • 直感的操作・ポータブル設計で省スペース

  • ライブイメージング・透明化・オルガノイドなど先進研究をサポート

  • 5年保証と手厚いサポート体制


クライオスタットが「凍結による超薄切片」に特化しているのに対し、コンプレストームは多様な研究に対応する柔軟性と経済性を兼ね備えています。

これにより、大学・企業研究室を問わず、より低コストで高品質な切片作製が可能となりました。


「正確・経済的・扱いやすい」切片作製を求めるなら、コンプレストームが最適な選択です。



組織切片作製 Precisionary社 Compresstome

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コンプレストーム(Compresstome)は、組織切片作製において従来のクライオスタットやビブラトームよりも高品質・高効率・低損傷なスライス作製を実現する装置です。以下のような用途で幅広く活用されています。



1. 組織構造を保った高精度スライス作製

コンプレストームは、特許技術を採用し、組織をシリコン製チューブでやさしく保持しながら切断でき、切片の歪みや裂けを防ぎます。

主な効果:

  • 組織構造の変形・破壊を最小限に抑制

  • 厚み4〜1000µmまで自由に調整可能

  • 均一で滑らかな断面を持つ高品質な切片が得られる

特に、脳・心臓・肝臓・腫瘍組織など、繊細で軟らかい試料の切片作製に適しています。



2. 生体スライスを用いた機能解析・薬理試験

コンプレストームは、組織を凍結せずに生体のままスライスできるため、 従来のクライオスタットでは不可能だった生理学的機能の保持が可能です。

活用例:

  • 神経活動の電気生理学解析(パッチクランプ、フィールド記録など)

  • カルシウムイメージングや蛍光ライブ観察

  • 腫瘍スライスを用いた抗がん剤応答試験(ex vivo)

→ 生きた状態での薬効評価や神経機能解析を行える点が大きな強みです。



3. 組織透明化・3Dイメージングへの応用

コンプレストームは厚く安定した切片を作れるため、 組織透明化(Clearing)やホールマウント染色など、3D構造解析にも最適です。

具体的な応用分野:

  • CLARITY、CUBIC、iDISCO などの透明化法

  • 共焦点顕微鏡・ライトシート顕微鏡での立体観察

  • 臓器全体の細胞分布解析や神経回路の可視化

→ クライオスタットでは薄すぎて困難な立体的解析が可能になります。



4. 長期スライス培養への応用

切断時の損傷が少ないため、長期の臓器スライス培養(Organotypic Slice Culture)にも活用されています。

特徴:

  • 数日〜数週間の培養に耐える健康なスライス

  • iPS細胞・ES細胞由来組織の培養にも対応

  • 再生医療・創薬研究への応用が拡大中

→ スライス状態での細胞動態や遺伝子発現変化の追跡が可能です。



5. 作業効率とメンテナンス性の高さ

  • 室温下で操作可能(冷却装置不要)

  • 凍結・解凍工程が不要で作業スピードが向上

  • 清掃・保守が容易で、初心者でも扱いやすい

導入面の利点:

  • 卓上サイズ(約6kg)で研究室内設置が容易

  • 5年間保証と技術サポート付き(Precisionary社)


Precisionary社 コンプレストーム

高精度な組織切片作製を支える次世代ビブラトーム


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Precisionary社のコンプレストーム(Compresstome)は、独自の圧縮補助スライス技術により、従来のクライオスタットビブラトームでは実現できなかった高品質な組織切片の作製を可能にした革新的な装置です。凍結を必要とせず、組織をやさしく保持しながら切断することで、歪みや損傷を最小限に抑え、均一で滑らかな断面を得ることができます。生体組織、固定組織、凍結組織に幅広く対応し、神経科学、腫瘍研究、薬理学、組織透明化など、多様な研究分野で活用されています。

コンプレストームは卓上設計で設置が容易、冷却設備を必要としないため、クライオスタットと比較して導入・運用コストを大幅に削減できます。操作性にも優れ、短時間のトレーニングで高精度な切片作製が可能です。充実した技術サポートと長期保証により、研究現場での信頼性と再現性を確保します。

高品質な組織切片を効率的かつ経済的に作製するなら、Precisionary社のコンプレストームが最適な選択です。








組織切片作製ソリューション


Precisionary社のビブラトームを使用して、組織研究用の健康で生存可能な組織スライスを作成します。



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組織研究のための高品質で生存可能な組織スライスの入手

Precisionary Instruments 社のビブラトームは、サンプルの生理学的完全性を維持する正確で生存可能な組織切片を作成するように設計されており、下流の解析において最も信頼性の高いデータを確保します。


高精度振動ミクロトーム

Compresstome® VF-510-0Z は、サンプルの生存性と健全性を保ちながら、薄い組織スライスを作成するように設計されており、脳や肺の組織研究に理想的です。この完全自動システムは、研究で正確な結果を得るために重要な、組織切片の生理的完全性を確実に維持します。


アプリケーション

VF-510-0Zは、正確で迅速な切片作製を実現し、組織・細胞の健全性を保ちながら、組織研究のための最高品質の結果をサポートします。







アプリケーション


実験別


臓器


動物モデル



関連コンテンツ





Compresstome©ビブラトームの利点


アガロース包埋

アガロース包埋とは、Compresstome©振動型マイクロトームで組織切片を切り出す前に、組織試料をアガロース溶液で包埋することです。切片作製にかかる時間はほんのわずかで、より健康的で滑らかな組織スライドを作製できます。


Auto Zero-Z®テクノロジー

振動ヘッドは、Z軸方向の振動をなくすように正確に調整されています。Auto Zero-Z®テクノロジーは、生きた組織サンプルの表面細胞へのダメージを軽減し、薄切片のチャタリングを低減してイメージング結果を向上させます。


豊富なアプリケーション例

Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。








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