クライオスタットに代わる新しい選択肢 ― Precisionary社のCompresstome®ビブラトーム
- Orange Science
- 7 日前
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これまで、組織切片作製といえば「クライオスタット」しか選択肢がありませんでした。しかし、クライオスタットは高価で操作が難しく、凍結アーティファクトによる組織損傷も避けられません。
Precisionary社のCompresstome®(コンプレストーム)ビブラトームは、こうした課題を一挙に解決する切片作製システムです。
クライオスタットの課題
従来のクライオスタットには、次のような問題があります。
組織の凍結・保護に一晩以上の前処理が必要
氷晶アーティファクトによる組織変形
大型で高価、維持費も高い
冷却環境や熟練技術が必須
凍結試料にしか対応できない
これらは、研究スピードやデータ品質を大きく制限してきました。
Compresstome®ビブラトームとは
Compresstome®は、Precisionary社が開発した特許取得の圧縮固定機構を備えたビブラトームです。独自の構造により、新鮮・固定・凍結組織すべてに対応し、より滑らかでアーティファクトのない切片を得ることができます。
主な特長:
凍結不要で高精度な切片作製(0〜37℃で操作可能)
圧縮固定により、切片のゆがみや破断を防止
コンパクト設計でラボスペースを有効活用
30〜60分で作業完了 ― 従来法より1日以上の時短
凍結組織にも対応し、クライオスタットの代わりとして活用可能
比較表 ― クライオスタット vs コンプレストーム
特徴 | クライオスタット | Compresstome®ビブラトーム |
|---|---|---|
対応試料 | 凍結組織のみ | 新鮮・固定・凍結すべて |
準備時間 | 約24時間 | 約30〜60分 |
切片品質 | アーティファクト多 | 滑らかで歪みなし |
機器サイズ | 大型 | コンパクト |
メンテナンス | 頻繁・複雑 | シンプル |
導入コスト | 高額 | 比較的低コスト |
デモ | 不可 | 可能 |
保証期間 | 1〜2年 | 最大5年 |
実験シナリオでの比較
固定マウス脳試料の場合
クライオスタット:前処理(凍結・包埋)に24時間以上、切片にアーティファクト発生
Compresstome®:凍結不要、30〜60分で完了。形態保持に優れ、IHCに最適
凍結保存組織バンクの場合
クライオスタット:温度調整と試行錯誤に時間を要し、破断リスク高
Compresstome®:制御された解凍+安定化切片で再現性良好
よくある質問(FAQ)
免疫染色(IHC)に対応していますか?
はい。Compresstome®で作製した切片は、氷晶アーティファクトがないため、抗体反応性が向上します。
薄い切片(20μm以下)も作製できますか?
4μm〜2000μmまで対応可能で、クライオスタットより柔軟です。
習得は難しいですか?
操作はシンプルで、1〜2回のトレーニングで実用レベルに到達します。
導入のご案内
クライオスタットの代替として、今こそ切片作製の新基準へ。
オレンジサイエンスではPrecisionary社コンプレストーム デモ機の貸出を随時実施しています。
実際の組織でCompresstome®の性能を体感してください。
なぜ今、置き換えを進めるべきか
クライオスタットは長年の標準装置でしたが、時代は変わりました。Precisionary社のCompresstome®ビブラトームは、「高品質な切片を、より速く、より安く、より簡単に」という理想を実現します。
凍結という制約から解放され、研究を次のステージへ。
組織切片作製 Precisionary社 Compresstome

コンプレストーム(Compresstome)は、組織切片作製において従来のクライオスタットやビブラトームよりも高品質・高効率・低損傷なスライス作製を実現する装置です。以下のような用途で幅広く活用されています。
1. 組織構造を保った高精度スライス作製
コンプレストームは、特許技術を採用し、組織をシリコン製チューブでやさしく保持しながら切断でき、切片の歪みや裂けを防ぎます。
主な効果:
組織構造の変形・破壊を最小限に抑制
厚み4〜1000µmまで自由に調整可能
均一で滑らかな断面を持つ高品質な切片が得られる
特に、脳・心臓・肝臓・腫瘍組織など、繊細で軟らかい試料の切片作製に適しています。
2. 生体スライスを用いた機能解析・薬理試験
コンプレストームは、組織を凍結せずに生体のままスライスできるため、 従来のクライオスタットでは不可能だった生理学的機能の保持が可能です。
活用例:
神経活動の電気生理学解析(パッチクランプ、フィールド記録など)
カルシウムイメージングや蛍光ライブ観察
腫瘍スライスを用いた抗がん剤応答試験(ex vivo)
→ 生きた状態での薬効評価や神経機能解析を行える点が大きな強みです。
3. 組織透明化・3Dイメージングへの応用
コンプレストームは厚く安定した切片を作れるため、 組織透明化(Clearing)やホールマウント染色など、3D構造解析にも最適です。
具体的な応用分野:
CLARITY、CUBIC、iDISCO などの透明化法
共焦点顕微鏡・ライトシート顕微鏡での立体観察
臓器全体の細胞分布解析や神経回路の可視化
→ クライオスタットでは薄すぎて困難な立体的解析が可能になります。
4. 長期スライス培養への応用
切断時の損傷が少ないため、長期の臓器スライス培養(Organotypic Slice Culture)にも活用されています。
特徴:
数日〜数週間の培養に耐える健康なスライス
iPS細胞・ES細胞由来組織の培養にも対応
再生医療・創薬研究への応用が拡大中
→ スライス状態での細胞動態や遺伝子発現変化の追跡が可能です。
5. 作業効率とメンテナンス性の高さ
室温下で操作可能(冷却装置不要)
凍結・解凍工程が不要で作業スピードが向上
清掃・保守が容易で、初心者でも扱いやすい
導入面の利点:
卓上サイズ(約6kg)で研究室内設置が容易
5年間保証と技術サポート付き(Precisionary社)
Precisionary社 コンプレストーム
高精度な組織切片作製を支える次世代ビブラトーム

Precisionary社のコンプレストーム(Compresstome)は、独自の圧縮補助スライス技術により、従来のクライオスタットやビブラトームでは実現できなかった高品質な組織切片の作製を可能にした革新的な装置です。凍結を必要とせず、組織をやさしく保持しながら切断することで、歪みや損傷を最小限に抑え、均一で滑らかな断面を得ることができます。生体組織、固定組織、凍結組織に幅広く対応し、神経科学、腫瘍研究、薬理学、組織透明化など、多様な研究分野で活用されています。
コンプレストームは卓上設計で設置が容易、冷却設備を必要としないため、クライオスタットと比較して導入・運用コストを大幅に削減できます。操作性にも優れ、短時間のトレーニングで高精度な切片作製が可能です。充実した技術サポートと長期保証により、研究現場での信頼性と再現性を確保します。
高品質な組織切片を効率的かつ経済的に作製するなら、Precisionary社のコンプレストームが最適な選択です。
組織切片作製ソリューション
Precisionary社のビブラトームを使用して、組織研究用の健康で生存可能な組織スライスを作成します。
組織研究のための高品質で生存可能な組織スライスの入手
Precisionary Instruments 社のビブラトームは、サンプルの生理学的完全性を維持する正確で生存可能な組織切片を作成するように設計されており、下流の解析において最も信頼性の高いデータを確保します。
高精度振動ミクロトーム
Compresstome® VF-510-0Z は、サンプルの生存性と健全性を保ちながら、薄い組織スライスを作成するように設計されており、脳や肺の組織研究に理想的です。この完全自動システムは、研究で正確な結果を得るために重要な、組織切片の生理的完全性を確実に維持します。
アプリケーション
VF-510-0Zは、正確で迅速な切片作製を実現し、組織・細胞の健全性を保ちながら、組織研究のための最高品質の結果をサポートします。
アプリケーション
実験別
臓器
動物モデル
関連コンテンツ
Compresstome©ビブラトームの利点
アガロース包埋
アガロース包埋とは、Compresstome©振動型マイクロトームで組織切片を切り出す前に、組織試料をアガロース溶液で包埋することです。切片作製にかかる時間はほんのわずかで、より健康的で滑らかな組織スライドを作製できます。
Auto Zero-Z®テクノロジー
振動ヘッドは、Z軸方向の振動をなくすように正確に調整されています。Auto Zero-Z®テクノロジーは、生きた組織サンプルの表面細胞へのダメージを軽減し、薄切片のチャタリングを低減してイメージング結果を向上させます。
豊富なアプリケーション例
Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。
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EtalumaのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。日々顕微鏡を使用する科学者によって考案、設計され、そのコンセプトデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。
多点観察モデル、定点観察モデルがあり、様々な観察シーンに対応できます。





