ハイスループットセクショニングを実現する切片作製
- 4月23日
- 読了時間: 10分
更新日:5月11日
Precisionary社 Compresstome VF-800-0Zによる次世代組織スライス技術
ハイスループットセクショニングとは
ライフサイエンス分野において、研究のスピードとスケールはこれまで以上に重要な要素となっています。創薬、病理、神経科学、免疫学などの分野では、従来の「少数サンプルを丁寧に扱う研究」から、「多数サンプルを効率的に処理し、統計的に意味のあるデータを取得する研究」へと移行が進んでいます。
この流れの中で重要性を増しているのが、「ハイスループットセクショニング」です。これは、多数の組織サンプルから短時間で均一な切片を作製する技術を指します。
しかし、切片作製は依然として研究工程の中でもボトルネックになりやすいプロセスです。特に未固定組織や柔らかい組織を扱う場合、切断時の変形や損傷、再現性の低下といった課題が顕在化します。
こうした課題を解決し、ハイスループット化を現実的なものにする技術として注目されているのが、Precisionary社のCompresstomeです。

切片作製の基礎と従来技術の限界
切片作製の目的
切片作製とは、組織を薄くスライスし、顕微鏡観察や各種解析に適した状態にする工程です。用途としては以下が挙げられます。
組織構造の観察(病理学)
細胞レベルでの機能解析
免疫染色・蛍光染色
電気生理学的測定
生体外培養(ex vivo)
この工程の品質は、その後の解析結果に直接影響します。
従来の切片作製装置とその課題
一般的に用いられてきた装置には、以下のようなものがあります。
ミクロトーム(固定組織用)
クライオスタット(凍結切片)
ビブラトーム(未固定組織)
特に未固定組織の切片作製では、ビブラトームが広く使用されていますが、以下のような課題があります。
1. 組織の不安定性
柔らかい組織では、切断時に試料が動いたり変形したりするため、均一な切片を得るのが難しい。
2. 切断速度の制約
高速で切断すると組織損傷が増加するため、低速での処理が必要となり、スループットが低下する。
3. オペレーター依存性
切片品質が熟練度に依存しやすく、再現性にばらつきが生じる。
4. 大型サンプルへの対応不足
広い面積の切片作製が難しく、組織全体の解析に制限がある。
これらの課題が、ハイスループットセクショニングの実現を妨げてきました。
Compresstomeの技術原理
圧縮支持による新しい切断アプローチ
Precisionary社のCompresstomeは、従来のビブラトームとは異なり、試料をチューブ内で軽く圧縮・支持しながら切断する独自構造を採用しています。
この構造により、以下のような物理的効果が得られます。
切断時の試料の横揺れを抑制
刃との接触時の変形を最小化
均一な厚みの切片を維持
また、試料は通常アガロースなどで包埋されるため、さらに安定性が向上します。
従来法との本質的な違い
従来のビブラトームでは、試料は外部から固定されるのみであり、内部からの支持がありません。そのため、柔らかい組織では切断時に歪みが発生しやすくなります。
一方、Compresstomeは「内部からの支持」を提供することで、構造的に安定した状態での切断を可能にしています。
切片作製におけるCompresstomeの優位性
従来法(ビブラトーム)との違い
比較項目 | Compresstome | 従来ビブラトーム |
|---|---|---|
切断速度 | 高速 | 低速 |
試料安定性 | 高い(圧縮保持) | 低い(ズレやすい) |
切片サイズ | 大きい | 小さい |
軟組織対応 | 優れている | 制限あり |
再現性 | 高い | 技術依存 |
ハイスループットセクショニングを実現する要素
1. 高速切断性能
Compresstomeは従来のビブラトームと比較して最大で約5倍の速度で切片作製が可能です。
この高速化は単なる時間短縮にとどまらず、
実験サイクルの短縮
大規模サンプル処理の実現
研究全体の効率向上
に直結します。
2. 高い再現性
ハイスループット化において最も重要なのは「再現性」です。単に数をこなせても、データのばらつきが大きければ意味がありません。
Compresstomeでは、
試料の固定条件が一定
切断プロセスのばらつきが少ない
ため、サンプル間の均一性が高く保たれます。
3. 組織ダメージの低減
切断時のストレスが低減されることで、
細胞構造の保持
生理機能の維持
生体外培養への適合性向上
といったメリットが得られます。
4. 大型切片への対応
Compresstomeは比較的大きな切片の作製にも対応しており、以下のような用途に適しています。
脳全体の構造解析
腫瘍微小環境の解析
空間トランスクリプトミクス
適用分野とユースケース
神経科学
脳スライスは非常に柔らかく、切断が難しい組織の代表例です。Compresstomeはこのような組織でも安定した切片作製を可能にします。
主な用途:
電気生理実験
カルシウムイメージング
神経回路解析
創薬・毒性評価
多数のサンプルを扱う必要がある創薬研究では、ハイスループット化が重要です。
薬剤応答評価
毒性スクリーニング
ex vivoモデル
免疫学・感染症研究
リンパ組織や脾臓などの柔らかい組織でも、高品質な切片作製が可能です。
腫瘍研究
腫瘍組織は不均一であり、従来法では切断が難しいケースが多く見られます。
Compresstomeでは、
組織構造の保持
微小環境の解析
に適した切片を作製できます。
Compresstome導入による研究効率の変化
Compresstomeを導入することで、研究現場には以下のような変化が生まれます。
実験スループットの向上
1日に処理できるサンプル数が増加し、研究のスピードが向上します。
作業負担の軽減
操作の安定性が高いため、オペレーターの負担が軽減されます。
データ品質の向上
再現性の高い切片により、信頼性の高いデータが得られます。
従来技術との比較
Compresstomeは、以下の点で従来技術に対して優位性を持ちます。
高速処理によるハイスループット対応
試料安定性の向上
再現性の高い切片作製
難切断組織への対応力
これらはすべて、現代の研究において重要な要素です。
ハイスループット時代の標準技術へ
研究の大規模化・高速化が進む中で、切片作製技術にも革新が求められています。
Precisionary社のCompresstomeは、
高速性
再現性
組織保護
を高いレベルで両立し、ハイスループットセクショニングを現実のものとする装置です。
今後、創薬・基礎研究・臨床研究のいずれにおいても、重要な役割を担う技術となることが期待されます。
Compresstome® VF-800-0Z
ハイスループットビブラトーム

Precisionary社のCompresstome® VF-800-0Z組織スライサーは、前臨床用途向けに、大きな臓器や複数のサンプルを同時に包埋できる全自動の大口径ビブラトームです。
アプリケーション
高スループット組織切片作成
創傷培養組織の切片作成(薬剤スクリーニング用)
大径サンプル(例:霊長類の脳)

よくある質問(FAQ)
ハイスループットセクショニングとは?
多数の組織サンプルを短時間で効率よく切片化する技術です。
Compresstomeの最大の特長は?
試料を圧縮支持する構造により、安定した切片作製を実現する点です。
未固定組織に使用できますか?
可能です。特に新鮮組織の切片作製に適しています。
どのような研究に適していますか?
神経科学、創薬、免疫学、腫瘍研究など幅広い分野で利用可能です。
ハイスループット化のメリットは?
研究効率の向上、データ量の増加、再現性の向上が挙げられます。
組織切片作製ソリューション
Precisionary社のビブラトームを使用して、組織研究用の健康で生存可能な組織スライスを作成します。
組織研究のための高品質で生存可能な組織スライスの入手
Precisionary Instruments 社のビブラトームは、サンプルの生理学的完全性を維持する正確で生存可能な組織切片を作成するように設計されており、下流の解析において最も信頼性の高いデータを確保します。
高精度振動ミクロトーム
Compresstome® VF-510-0Z は、サンプルの生存性と健全性を保ちながら、薄い組織スライスを作成するように設計されており、脳や肺の組織研究に理想的です。この完全自動システムは、研究で正確な結果を得るために重要な、組織切片の生理的完全性を確実に維持します。
アプリケーション
VF-510-0Zは、正確で迅速な切片作製を実現し、組織・細胞の健全性を保ちながら、組織研究のための最高品質の結果をサポートします。
アプリケーション
実験別
臓器
動物モデル
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Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。
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