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魚の切片作成を高品質・高再現性に

  • 7月23日
  • 読了時間: 13分

ゼブラフィッシュなどの魚類組織切片に対応するCompresstome®


ゼブラフィッシュなどの魚類組織切片に対応するCompresstome®

ゼブラフィッシュをはじめとする魚類は、発生生物学、神経科学、遺伝学、感染症研究、創薬研究など、幅広い分野で使用されている重要なモデル生物です。

一方、魚類の脳や内臓などの組織は、小さく、柔らかく、形状が不均一なため、切片作成時に組織が動いたり、圧縮されたり、切断面にチャタリングが発生したりすることがあります。

Precisionary社のCompresstome®は、組織をアガロースで包埋して安定させ、高周波振動するブレードで切断する振動ミクロトームです。魚類組織への物理的ダメージを抑えながら、均一で滑らかな組織切片の作製をサポートします。


「Compresstome®(コンプレストーム)」






魚類研究において高品質な組織切片が必要な理由


魚類研究において高品質な組織切片が必要な理由

魚類、特にゼブラフィッシュは、発生速度が速く、体外受精を行い、初期胚が透明であることから、器官形成や発生過程をリアルタイムで観察できるモデル生物として広く利用されています。

心臓、脳、神経系、肝臓、腎臓、消化管などの形成過程に加え、がん、神経疾患、心血管疾患、感染症などの疾患メカニズムを研究するモデルとしても重要です。

透明な胚を使用した全個体イメージングが可能な時期もありますが、成長した個体や特定の臓器について細胞レベルの構造や機能を解析する場合には、目的に適した組織切片を作製する必要があります。

魚類組織切片は、次のような研究に利用できます。

  • 魚類の脳切片を使用した電気生理学

  • 神経回路研究

  • ゼブラフィッシュの器官形成や組織構造のイメージング

  • 免疫組織化学、蛍光染色、in situハイブリダイゼーション

  • 魚類の感染症、遺伝性疾患、薬剤応答の解析

  • 魚類組織の切片培養やex vivo実験



魚の切片作成で発生しやすい課題

柔らかい組織が押されて変形する

  • 魚類の脳や内臓などの柔らかい組織は、ブレードが接触した際に押されたり、傾いたりすることがあります。切片作成中の圧縮は、組織構造の変形や細胞損傷につながり、顕微鏡画像や測定結果に影響を与える可能性があります。


小さな試料の固定と切断方向が安定しない

  • ゼブラフィッシュの臓器や小型魚類の脳などはサイズが小さく、試料台への固定や切断方向の調整が難しい場合があります。固定が不十分なまま切断すると、試料が動き、切片の厚さや切断面が不均一になることがあります。


切断面にチャタリングやビビリ跡が発生する

  • ブレードの不要な上下振動や試料の不安定性は、切断面に周期的な縞や凹凸を生じさせます。チャタリングのある切片は、免疫染色、蛍光イメージング、細胞形態の定量解析などの精度を低下させる原因になります。


生きた細胞や神経回路の機能を維持する必要がある

  • 電気生理学、カルシウムイメージング、薬理学的試験、切片培養では、切片作成後も細胞の生存性や組織内ネットワークを維持することが重要です。


そのため、切断時の物理的ダメージをできるだけ抑え、目的の領域を再現性よく切り出せる装置が求められます。



Compresstome®が魚類組織の切片作成をサポート

アガロース包埋で小さな魚類組織を安定化

Compresstome®では、組織試料をアガロースに包埋してから切断します。

アガロースが組織の周囲を支えるため、小型で柔らかい魚類組織や不規則な形状の試料でも、切断中の移動や傾きを抑えやすくなります。

また、アガロース包埋によって試料の向きを調整しやすくなるため、魚類の脳や特定臓器を目的の切断面に合わせて配置できます。


組織の圧縮と変形を抑えた切断

一般的な振動スライサーでは、ブレードが組織を押すことで、試料が圧縮されたり傾いたりする場合があります。

Compresstome®は、アガロースで試料を支持しながら高周波振動ブレードで切断することで、組織への物理的負荷を抑え、滑らかで均一な切断面の作製をサポートします。


Auto Zero-Z®テクノロジーで上下方向の振動を低減

Compresstome®の振動ヘッドには、Z軸方向の不要な振動を抑えるAuto Zero-Z®テクノロジーが採用されています。

ブレードの上下方向の振れを低減することで、切断面のチャタリングを抑え、生きた組織の表面細胞に与えるダメージの軽減と、イメージング品質の向上を図ります。


新鮮組織・生存組織の切片作成に対応

Compresstome®は、凍結包埋やパラフィン包埋を行わずに、新鮮組織や固定組織から切片を作製できます。

適切な緩衝液、温度管理、酸素供給などを組み合わせることで、魚類の脳切片を使用したパッチクランプ、薬理試験、神経回路解析などへの応用が可能です。



魚類研究におけるCompresstome®の用途

魚類の脳切片と電気生理学

魚類の神経系は、感覚情報処理、コミュニケーション行動、運動制御、学習・記憶などを研究するための有用なモデルです。

脳組織の細胞生存性と局所神経回路を維持した切片を作製することで、次のような実験に利用できます。

  • ホールセルパッチクランプ

  • 細胞内電位・膜電流測定

  • シナプス応答の解析

  • イオンチャネルの薬理学的解析

  • 神経回路の時間情報処理研究


弱電気魚を使用した研究では、Compresstome® VF-200によって厚さ300 µmの水平脳切片が作製され、神経細胞のホールセル記録やシナプス入力の時間特性解析に使用されています。


ゼブラフィッシュの発生・器官形成研究

ゼブラフィッシュは、心臓、脳、血管、肝臓、腎臓などの器官形成を研究するモデルとして利用されています。

組織切片を作製することで、全個体観察だけでは確認しにくい内部構造や細胞配置を解析できます。

  • 胚・幼生

  • 成魚における器官形成の比較

  • 遺伝子改変個体の組織形態解析

  • 蛍光タンパク質を発現した組織の観察

  • 細胞分化や細胞移動の空間的解析

  • 疾患モデルと正常個体の比較


免疫組織化学・蛍光イメージング

滑らかで均一な切断面は、抗体や蛍光プローブの浸透性、画像の鮮明さ、定量解析の再現性に関係します。

Compresstome®で作製した魚類組織切片は、免疫組織化学、蛍光染色、共焦点顕微鏡観察、in situハイブリダイゼーションなどに応用できます。


魚類の感染症・疾患メカニズム研究

魚類は、感染症、免疫応答、遺伝的疾患抵抗性、環境ストレスなどの研究にも使用されています。

組織切片を利用することで、病原体の局在、組織障害、免疫細胞の分布、疾患関連遺伝子の発現部位などを組織レベルで解析できます。

Precisionary社の魚類研究に関する文献リストには、タイセイヨウサケの伝染性膵臓壊死ウイルスに対する抵抗性と上皮型カドヘリンの関係を解析した研究も、Compresstome®を使用した魚類研究例として掲載されています。


魚類組織の切片培養

魚類の肝臓、脳、腎臓などの組織を一定の厚さに切り出し、切片として培養することで、組織構造や細胞間相互作用を維持したex vivoモデルを構築できます。

魚類組織の切片培養は、次のような研究への応用が考えられます。

  • 薬剤や化学物質への応答評価

  • 毒性試験、環境汚染物質の影響評価

  • 代謝機能や遺伝子発現の解析

  • 感染実験や免疫応答研究

  • 個体実験を補完するex vivo試験



魚類の切片作成にCompresstome®を使用した研究例

弱電気魚の脳におけるシナプス情報処理

Georgeらは、弱電気魚の脳からCompresstome® VF-200を使用して厚さ300 µmの水平切片を作製し、神経細胞の電気生理学的記録を行いました。

この研究では、興奮性入力と抑制性入力の時間的な重なりによって、多様なシナプスフィルターが形成されることが示されました。

George AA, Lyons-Warren AM, Ma X, Carlson BA. A diversity of synaptic filters are created by temporal ßç of excitation and inhibition. J Neurosci. 2011 Oct 12;31(41):14721-34. PMID: 21994388; PMCID: PMC3214667.


魚類神経細胞におけるBKチャネルの機能解析

KohashiとCarlsonは、弱電気魚Brienomyrus brachyistiusを使用し、Compresstome® VF-200で厚さ300 µmの水平脳切片を作製しました。

切片は、薬剤を組織内部へ浸透させながらホールセル記録を行う実験に使用され、BK型カルシウム活性化カリウム電流が神経細胞の時間選択性を調節することが示されました。

Kohashi T, Carlson BA. A fast BK-type KCa current acts as a postsynaptic modulator of temporal selectivity for communication signals. Front Cell Neurosci. 2014 Sep 17;8:286. PMID: 25278836; PMCID: PMC4166317.


タイセイヨウサケのウイルス抵抗性研究

Moenらは、養殖タイセイヨウサケにおける伝染性膵臓壊死ウイルスへの抵抗性を解析し、上皮型カドヘリンをコードする遺伝子が抵抗性を決定する主要因であることを報告しました。

魚類の感染症研究では、遺伝子解析と組織レベルの観察を組み合わせることで、疾患抵抗性に関与する遺伝子の発現部位や組織変化を評価できます。

Moen T, Torgersen J, Santi N, Davidson WS, Baranski M, Ødegård J, Kjøglum S, Velle B, Kent M, Lubieniecki KP, Isdal E, Lien S. Epithelial Cadherin Determines Resistance to Infectious Pancreatic Necrosis Virus in Atlantic Salmon. Genetics. 2015 Aug; 200 (4): 1313-26. Epub 2015 Jun 2. PMID: 26041276; PMCID: PMC4574245.




研究目的に合わせて選べるCompresstome®シリーズ


VF-510-0Z


Compresstome VF-510-0Z

全自動で切片作成を行うモデルです。

切片厚、切断速度などの条件を設定し、再現性の高い切片を継続的に作製したい研究に適しています。

主な用途

  • 電気生理学

  • 組織切片培養

  • 蛍光

  • 明視野イメージング

  • 魚類の脳や臓器の連続切片作成





VF-210-0Z


VF-210-0Z

手動で厚み送りを行う半自動モデルです。

切断条件を細かく確認しながら操作できるため、試料数が比較的少ない研究や、さまざまな魚類試料を扱う研究室に適しています。

主な用途

・電気生理学

・組織イメージング

・魚類の脳切片作成

・研究・教育用途




VF-800-0Z


Compresstome VF-800-0Z

大口径の試料に対応した振動ミクロトームです。

大型魚類の臓器や広い切断面が必要な試料など、通常モデルでは収まりにくい大型サンプルの切片作成に適しています。

各モデルの自動化レベルや主な用途は、オレンジサイエンスの製品ページで確認できます。





魚の切片作成に関するよくある質問

Compresstome®でゼブラフィッシュの切片を作製できますか?

はい。ゼブラフィッシュの脳や各種臓器など、小さく柔らかい組織の切片作成に使用できます。アガロース包埋によって試料を支持できるため、小型試料の固定や切断方向の調整がしやすくなります。ただし、成魚の全身切片や、骨・鱗などの硬い構造を多く含む試料では、事前のトリミングや脱灰処理が必要になる場合があります。


生きた魚類組織の切片を作製できますか?

適切な採取方法、緩衝液、温度管理、酸素供給などを組み合わせることで、生存性を維持した魚類組織切片の作製が可能です。実際に、魚類の脳から作製した300 µm切片を使用したホールセルパッチクランプ研究が報告されています。


パラフィン包埋は必要ですか?

Compresstome®による振動切片作成では、通常、パラフィン包埋を行わず、アガロースで試料を支持して切断します。生存組織や比較的厚い切片を使用する電気生理学、切片培養、3Dイメージングなどに適しています。数µm程度の非常に薄い病理切片が必要な場合は、パラフィン包埋とロータリーミクロトームの方が適していることがあります。


魚類の脳切片はどの程度の厚さで作製できますか?

適切な切片厚は、魚種、組織、脳領域、実験目的によって異なります。電気生理学の文献では、弱電気魚の脳から厚さ300 µmの水平切片を作製した例があります。一方、免疫染色やイメージングでは、抗体の浸透距離や使用する顕微鏡に合わせて条件を最適化する必要があります。


魚類研究にはどのモデルが適していますか?

小型から中型の魚類組織を扱う場合は、VF-210-0ZまたはVF-510-0Zが主な候補となります。大型の臓器や広い切断面が必要な場合は、VF-800-0Zを検討します。試料サイズ、必要な切片厚、処理数、自動化の必要性、電気生理学・染色・培養などの用途を確認したうえで選定することが重要です。



魚類組織の切片作成についてご相談ください

魚類の組織切片では、魚種、成長段階、対象臓器、固定方法、切片厚、切断方向、その後の実験方法によって、適切な切断条件が異なります。

オレンジサイエンスでは、次のようなご相談を承っています。

  • ゼブラフィッシュや魚類組織を切片化できるか確認したい

  • 魚類の脳切片を電気生理学に使用したい

  • 切片のチャタリングや組織変形を改善したい

  • 生存性を維持した魚類組織切片を作製したい

  • 試料サイズに適したCompresstome®を選定したい

  • デモ機で実際の試料を使用して切断を確認したい


魚種、対象組織、試料サイズ、希望する切片厚、切片作成後の実験内容をお知らせください。研究用途に適したモデルと切断方法をご提案します。



Compresstome VF-510-0Z







組織切片作製ソリューション


Precisionary社のビブラトームを使用して、組織研究用の健康で生存可能な組織スライスを作成します。



組織切片作製ソリューション


組織研究のための高品質で生存可能な組織スライスの入手

Precisionary Instruments 社のビブラトームは、サンプルの生理学的完全性を維持する正確で生存可能な組織切片を作成するように設計されており、下流の解析において最も信頼性の高いデータを確保します。


高精度振動ミクロトーム

Compresstome® VF-510-0Z は、サンプルの生存性と健全性を保ちながら、薄い組織スライスを作成するように設計されており、脳や肺の組織研究に理想的です。この完全自動システムは、研究で正確な結果を得るために重要な、組織切片の生理的完全性を確実に維持します。


アプリケーション

VF-510-0Zは、正確で迅速な切片作製を実現し、組織・細胞の健全性を保ちながら、組織研究のための最高品質の結果をサポートします。







アプリケーション


実験別


臓器


動物モデル



関連コンテンツ





Compresstome©ビブラトームの利点


アガロース包埋

アガロース包埋とは、Compresstome©振動型マイクロトームで組織切片を切り出す前に、組織試料をアガロース溶液で包埋することです。切片作製にかかる時間はほんのわずかで、より健康的で滑らかな組織スライドを作製できます。


Auto Zero-Z®テクノロジー

振動ヘッドは、Z軸方向の振動をなくすように正確に調整されています。Auto Zero-Z®テクノロジーは、生きた組織サンプルの表面細胞へのダメージを軽減し、薄切片のチャタリングを低減してイメージング結果を向上させます。


豊富なアプリケーション例

Precisionary社は、20年近くにわたり組織スライス装置を専門に扱ってきた会社です。免疫組織学や組織切片の培養、電気生理学や植物研究など、幅広いアプリケーションと引用実績があります。








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